官民連携で”公園再生”の動きが高まる
川崎市と東急株式会社の両者は、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅前にある都市公園「こすぎコアパーク」で国内初の「都市公園リノベーション協定制度」を活用、整備を進めてきたが、このほどリニューアルオープンした。施工は東急建設株式会社が担当した。このリニューアルにより、駅前の立地特性や隣接する公共性を相互に活用し、日常的な賑わいが創出される。
官民が連携し、まちづくりと一体となった公園整備は今後、これを機にさらに伸びていくだろう。これからの都市公園における官民連携の様相も大きく変貌していくことが期待される。
今回、川崎市の建設緑政局総務部企画課みどり活用担当の栗林正義担当係長、同市中原区地域振興課地域コミュニティ強化担当の稲葉理一郎担当係長、東急都市開発事業部開発第一グループプロジェクト(1)担当の椎名僚平氏や施工を担当した東急建設の森弘史現場所長がそれぞれ解説する。
「都市公園リノベーション協定制度」とは?
「こすぎコアパーク」は、川崎市所有の三角状の都市公園で広さは約1,100m2。リニューアル前は、武蔵小杉駅から隣接するスペースにもかかわらず、公園というよりもイベント広場という認識が強かった。しかも高架下のフェンスや生垣が設置されていたため、物理的にも駅との一体感が遮断されてきた。
そこで川崎市は、回遊性と利便性を向上させ、憩いの場とするため、2018年8月にフェンスの解体をはじめとするリニューアルの検討を開始。2021年3月には東急との間で、都市再生特別措置法に基づく「まちなかウォーカブル区域」の特例制度「都市公園リノベーション協定」を締結、20年間の設置管理協定を結ぶことになった。2021年4月には本体着工し、このほどリニューアルオープンした。
「これまで、こすぎコアパークはイベントで人が集まってきましたが、これに加えて飲食店やベンチなどを整備することにより、様々な方が滞在、ご活躍できる公園をリニューアルしました」(東急)
東急は公園使用料を川崎市に支払い、公園内にある飲食店のテナントと賃貸借契約を結ぶほか、公園整備、日常管理、高架下整備、運営や店舗新築工事なども担当する。一方、川崎市は公園の維持管理を行うことが事業スキームとなる。
「都市公園リノベーション協定制度」は、国の改正都市再生特別措置法等の施行を受けて、都市再生整備計画に定める滞在快適性向上区域内の都市公園が、交流・滞在拠点として重要な役割を果たすよう、都市公園のリノベーションを促進する制度として設けられた。
特例の内容は、公園のパブリックスペースを運営する民間事業者を公募により選定する制度「パークPFI」と同様で、「設置管理許可期間」、「建ぺい率」や「占有物件」の3項目で、公共公園整備と飲食店等の収益施設を民間資金で一体整備できる。
「パークPFI」と異なる点は、公募は行わず、計画案の段階で事業者を特定でき、対象は新設ではなく、既存の施設の改修・増設のみに限定される。
ちなみに、都市再生整備計画の中で市町村が指定する「まちなかウォーカブル区域」とは、人々の滞在や交流を促進するために歩道を拡大し、都市公園を整備するにあたり、「居心地が良く歩きたくなる」空間形成を重点的に実施する地域を指す。