設計積算、施工管理など5つのプロセスを一気通貫
――「BuildApp」はどのようなサービスになるのでしょうか。
山﨑氏 先ほど申し上げた各課題については、「建設プロセスの断絶」が要因にあると着眼しました。BIMで設計しているゼネコンも増えましたが、ゼネコンとサブコンの間で情報が断絶しているため、施工図を作成する際、BIMデータが活用されることなく、一から作図する事例などは最たるものです。
そこで、「BuildApp」は、設計・積算、生産、流通、施工管理と、維持管理の5つのプロセスごとに次工程との連携が容易となるサービスを整備しました。BIMを起点としたデータが、設計から維持管理までの建設プロセス全体と関係者をつなぐことで、設計・施工の手間・手戻りの減少、これまで手動だった作業の自動化、その結果としての建設プロセス全体の生産性向上とコスト削減を目指しています。とりわけゼネコンの場合、積算・見積・業者選定・精算関連業務の約50%の削減を見込んでいます。また現場の廃材削減やCO2削減などにも大きく貢献していくことになります。

「BuildApp」サービスマップ
――対応する工種は。
山﨑氏 まず、内装工事と建具工事から開始します。これは、ゼネコンは躯体、設備、外装等の各工事では、自前で行う考えが強いですが、当社が強みを持つ領域である内装と建具工事業界は、ゼネコン視点では会社が細かく、広く存在するため、デジタル化に着手しづらい業界であるためです。今後、鉄筋等と工種をさらに広げていく予定です。
BuildApp サービス紹介 / YouTube(BuildApp(ビルドアップ))
――いまお話に上がった内装・建具工事業界には、どのようなムダが存在するのでしょうか。
山﨑氏 ゼネコンとしては見積もりや調書作成に時間が掛かり、その上多くが概算計算なので明確なコスト把握が難しく後工程で多くの調整手間を引き起こします。現場の廃材も多く出ているため、産廃費用・環境負荷も膨大であるため、何とか解決したい部分ではあります。
一方、内装工事店としては調書を記入しても手間ばかりが掛かって受注できないケースも多く、また膨大な図面が紙で回ってくるので、印刷しなければならないといった課題もあります。

BIM化が後回しになっている内装・建具工事から対応
ですが、ゼネコンではBIM積算をするにも詳細なBIMデータの作成が大変ですし、内装工事店はそもそもBIMデータを扱える人間がいないこともあります。さらに、建具メーカー・建具工場では、BIMデータが製作機械に繋がっていません。
ですから現状、内装・建具工事業界にBIMをいきなり導入しても課題の解決には繋がらないわけです。だからこそ、当社は建材商社として色々なプレイヤーの間に入って、プロセスの断絶を解決するためのハブとなり、「BuildApp」というサービスを展開することに至りました。