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国交省のITS室長に聞いた!これまでのキャリア、仕事のやりがいや魅力とは?

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公開日:2022.03.24 / 最終更新日:2022.08.16
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外務省に出向し、フィリピンでODA絡みの仕事

――その後は?

坂井さん 5ヶ月ほど研修を受けた後、外務省に出向しました。在フィリピン日本国大使館の2等書記官として、3年ほど駐在し、インフラ関連のODAなどを担当しました。国交省以外の省庁からも出向者がいて、「ミニ霞が関」みたいな職場でした。

――畑違いな感じですが。

坂井さん そうですね。英語も得意ではなかったので、苦労しました。外から仕事を見てみたいなと思って、希望を出した結果です。

――どんなお仕事だったのですか?

坂井さん 例えば、フィリピン政府からいろいろなご要望を聞くという仕事です。道路をつくりたい、堤防をつくりたいので支援してほしいといったご要望です。現地にはJICAの専門家にヒアリングしながら、現地政府と実現に向けたやりとりをしていました。

あと、当時ODAを巡っては、付加価値税の未還付という問題に関わりました。日本企業がODAのために必要なものを調達する場合は免税になるのですが、当時の現地政府が付加価値税を還付をしてくれなかったという問題です。この金額が非常に大きくて、新規ODAを止めるという話にまでなりました。この問題解決のため、現地の財務省まで出向いて、一つひとつの案件について直接交渉しました。英語で交渉したので、大変でした。

――フィリピンは日本人も多そうですね。

坂井さん JICAの専門家などでフィリピンに駐在している方々、アジア開発銀行の方々など、たくさんの日本人がいらっしゃいました。日本人コミュニティの一員としても、いろいろと活動もしました。

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フィリピン人は会議に遅刻するが、日本人は会議が長引く

――いろいろな意味でカルチャーショックがスゴそうですが。

坂井さん ええ、カルチャーショックは大きかったですね。「日本の常識は世界の非常識」じゃないですけれど、生活の仕方も仕事のやり方も、自分の当たり前がまったく通用しないんです。大変でしたが、非常に勉強になりました。

例えば、フォリピン人は時間にルーズなので、会議があっても、平気で1時間ぐらい遅れてくるのですが、終了時間だけはキッチリ守るんです。一方、日本人は開始時間は守りますが、終了時間が来ても、ダラダラと会議を続けることがあります。日本人である私にも、時間にルーズなところがあるということを気付かされました。

フィリピン人と付き合うには、相手の立場に立って、物事を考えることが大切だと学びました。付加価値税の未還付問題で交渉した際には、この問題を解決することは、日本からではなく、あなたの上司からの評価につながるんだということをアピールしました。

つくばの研究所で6年間ITSの研究にドップリ浸かる

――フィリピンの後は?

坂井さん つくばにある国交省の国土技術政策総合研究所に行き、ITSの主任研究官をやりました。6年間いました。研究所に来るまでは、ITSについてほとんど知りませんでしたが、安全運転支援システムの実証実験などに携わりました。路車連携、路車協調、路車通信と言われるシステムです。当時は世界の最先端の研究でした。

ACC(アダプティブクルーズコントロール)を活用した渋滞低減に関する研究も、自動車メーカーと共同で行いました。車間時間を一定にして走れる車両が渋滞低減に効果があるかという研究です。交通渋滞は、この車間時間が不安定になることによって発生すると言われていましたが、当時まだ誰も実証していませんでした。研究の結果、条件付きで効果があることがわかりました。ACCによる渋滞削減の研究はその後、自動運転のほうにシフトしていきました。

あとは、ITSの国際連携です。日本のITS研究は当時も今も、世界の最先端を走っていて、米国や欧州と定期的に情報交換を行ってきていますが、情報交換の場の日本の窓口を担当しました。

――研究所の主任研究官として、日本政府の窓口になったのですか?

坂井さん 組織としての仕事の割り振りとして、私が担当ということになってしまったんです。英語ができるからぐらいの感覚だったと思いますが(笑)。

――米国や欧州とやりとりしていたのですか?

坂井さん ええ、メールや電話で直接やりとりしていました。

――盛りだくさんという印象ですが、大丈夫でしたか?

坂井さん 最初の1年間は大変でした。わからないことが多いので、勉強する毎日でした。

――それにしても、6年間は長いですね。

坂井さん ここは長かったです。この間に半年ほどベルギーにある欧州委員会に行っています。

――ベルギーですか。

坂井さん EUの行政組織で、日本で言えば、中央省庁に当たりますが、この中のDG-CONNECTという情報通信技術を所管する省庁の「ICT for  Transport」という運輸分野における民間のICTの研究開発を支援する部局に在籍していました。

日本が米国と欧州とそれぞれ覚書を結んだのですが、欧州との覚書の中に、お互いの職員を行き来させるという条項があったので、国際連携の窓口である私が、欧州に行ってきたという感じです。

――日本のITS研究は世界最先端というお話でしたが、なにが最先端なのですか?

坂井さん 日本にはいくつかの世界的な自動車メーカーがありますが、ITS関連の自動車技術は、世界トップレベルの技術力です。日本のITS技術開発は、自動車側の優れたITS技術をベースとして、道路側の技術を連携させて新しいITS技術を開発するという流れになります。

日本の路車連携は、米国や欧州よりも緊密なものになっており、非常にうまくいっています。例えば、ETCを考えても、この路車連携がうまくいっているからこそ、ちゃんと機能しているわけです。

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