なにも知らない状態で、質問攻めにあう
――思い出に残っている仕事はありますか?
澤さん やはり、上海で会社を立ち上げたときですね。現地で一から試験機器を調達して、研究自体はわりとすぐに行えるようになったのですが、工場がまだ完成しておらず、合弁を組んだ中国企業が持っていた別の工場を使わざるを得ませんでした。
中でも、乳剤製造については、その工場は完全アナログのちゃっちい設備しかありませんでした。今となってみれば、そんな条件の悪い工場で、通訳を介して現地社員に指導しながら仕事をしたことが、強く思い出に残っています。
――メンタル的に大丈夫でしたか?
澤さん 大丈夫でした。ニチレキも、メンタルが強い社員ばかりを出向させたのだと思っています(笑)。
――大野さん、思い出に残っている仕事は?
大野さん 私が静岡営業所に異動したばかりのときに、中部横断道の橋梁の防水工事の完了試験を担当したことです。防水に関してなにも知らない状態でいきなり担当したので、思い出に残っています。
会社としては私に経験を積ませるために担当させたと思いますが、他の会社の方々にしてみれば、ニチレキというメーカーから来たプロという感覚なので、なんでもかんでも質問されるわけです。非常に大変な思いをしました。「自分はメーカーの人間なんだ」ということを強く認識しました。お叱りを受けることもありましたが、最終的には感謝していただいたので、良かったです。人間的にも成長できたと思っています。
――例えば、どういう質問を受けたのですか?
大野さん 現場ということもあって、材料に関する質問の中でも適用条件や品質確保に関する質問が多かったです。弊社には「HQハイブレンAU工法」という高性能な防水工法があるのですが、コンクリート床版がどういう状態だったら施工しても良いのかとか、試験結果が悪かった原因はなにかといったことを聞かれました。
当時は、知識が足りなかったり、全ての現場に張り付いていたわけではないので、リアルタイムでちゃんと答えられないことが多かったんです。
――メンタル削られそうですけど、大丈夫でしたか?
大野さん 上司にいろいろなことを教えてもらいながら、何とか乗り切りましたが、とにかく大変でした(笑)。
スマホによる舗装調査サービスを開発
――硲さん、思い出に残る仕事は?
硲さん 今もそうですが。新しい点検技術の企画提案に携わったことです。AIによる自動点検とか、遠隔点検といった技術開発です。最近では、東京大学などと共同で行ったスマホによる調査技術にニチレキの窓口として携わって、昨年7月に新技術としてリリースされたところです。
3年ほど前、スマホによる調査技術の開発がスタートした当初は、周りから「スマホで調査なんかできないよ」と言われましたが、途中から「使えそう」みたいな雰囲気に変わって、リリースにこぎつけることができました。
――スマホで画像を撮るのですか?
硲さん スマホで写真を撮って、その写真をもとにAIでヒビ割れなどを検知し、診断するシステムです。名称は「GLOCAL-EYEZ(グローカルアイズ)」 です。
――すでにサービスを開始しているのですか?
硲さん そうですね。すでにいくつかの自治体さんにはお使いいただいています。
社員の能力を認めて、ホメてくれる
――ニチレキに入社して良かったと思うことを教えて下さい。
澤さん チャレンジすることに抵抗がないところです。社員がやりたいようにやれる環境があります。たとえ失敗しても、それなりのフィードバックがあれば、良しとする風土があります。そこがニチレキの一番良いところですね。
大野さん 澤さんと同じですが、いろいろなことにチャレンジさせてくれるところです。若い社員であっても、その能力を認めてくれるのもニチレキの良いところだと思います。社員それぞれ「この子はこれが得意だ」ということをしっかり把握した上で、仕事を割り振ってくれます。社員の能力を認めてくれて、ホメてくれる。そういうところが、ありがたいと思っています。
硲さん お二人と同じになってしまいますが、新しい仕事なども、どんどん任せてもらえるところです。論文なんかも、学生のころよりも書いています。論文は、昨年の土木学会で発表しました。
「スゲーな」と思われる製品を開発したい
――今後やりたい仕事はありますか?
硲さん 私はずっと調査解析の仕事だけをしてきたので、いまさらほかの部署に行って、やっていけるのだろうかという不安が先に立ちます。これまでに自分が手がけてきたことを、ニチレキ社内に浸透させて、市場展開していかなければいけない。そんな気持ちでいます。
大野さん ニチレキの製品には、業界の規格にない、新しい特徴、性能を付加した物があります。例えば、「シナヤカファルト」という製品は、舗装が壊れにくくなる非常に良い製品なのですが、多くの実験をもとにその効果を検証しています。私は、このような説明が難しそうな製品でも、その良さがパッと見てわかる資料をつくってみたいです。極端に言えば、小学生が見ても「これスゴいヤツだ」とわかるような資料を。
――転勤は苦にならないですか?
大野さん 苦にならないですね。実家に帰るのに大変でなければ、どこでも行ってみたいです。東北民なので、西日本はちょっとコワいですが(笑)。
――東北の人は「行っても東京まで」という人が多いみたいですね。
大野さん そうですね。実は静岡に来る前は、静岡を西日本だと思っていました(笑)。
――澤さん、今後やりたい仕事を。
澤さん 誰が見ても「これはスゲーな」と思われるような製品を開発したいです。海外でも通用するような製品をつくりたいと思っています。
――乳剤を使ってということですね。
澤さん そうですね。ここまで来たら、突き詰めてやろうという感じですね。
――いまさら異動させられても困る?
澤さん いや、本音では異動はしたいんですよ。日本国内の現場、営業所での技術営業をまったく経験していないからです。現場を知らないと、本当のことはわからないんじゃないか、常々そう思っています。現場に行って、視野を広げたいですね。絶対に広がると思っています。
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