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【三菱地所ホーム】幅広いフィールドで木造木質化を推進する「KIDZUKI」構想が始動

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長井 雄一朗
公開日:2022.08.05
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「KIDZUKI」のオリジナルプロダクトのプロトタイプ。三菱地所ホームの新オフィスに設置

「KIDZUKI」のオリジナルプロダクトのプロトタイプ。三菱地所ホームの新オフィスに設置

目次
  1. 産官学連携で地域活性化プロジェクトを展開へ
  2. 木造木質化は"一瞬のムーブメント"で終わらせてはいけない
  3. ウッドショックは国産材利用のチャンス
  4. 国産材使用率は注文住宅では82%

三菱地所ホーム株式会社はこのほど、幅広いフィールドで木造木質化を推進していく「KIDZUKI(キヅキ)」構想を始動し、WEBサイトを開設した。

現在、三菱地所グループは、環境問題、社会課題やSDGsを背景に、木造木質化を展開している。三菱地所ホームも、「木」に関する建築事業を38年間にわたって展開してきた知識や経験を生かすのがミッションであるという考えのもと、「KIDZUKI」の取組みが生まれた。幅広い分野の事業者、行政、教育機関、クリエイターや生活者がそれぞれの持つ課題とソリューションをシェアし、「木」に関する新たな共創が生まれるネットワークの形成を推進する。

「KIDZUKI」のプラットフォームでは、「木質製品や建築物などの(モノ)」、「ワークショップや研究など(コト)」や「木造木質化の活性化による社会貢献の(イミ)」を創出し、発信していく。WEBサイトでは今年8月頃から木に関する特集記事や連載コラム、取材記事、プロジェクトの進捗などを公開する。

「KIDZUKI」構想におけるプラットフォーム概念図

「KIDZUKI」構想におけるプラットフォーム概念図

具体的な取り組みとして、同社と木工家具メーカー「カリモク家具株式会社」、「株式会社石巻工房」や、「株式会社三菱地所住宅加工センター」がコラボし、第1弾としてトラフ建築設計事務所・鈴野浩一氏によるデザインの国産材(端材)を利用したオリジナルプロダクトを制作、三菱地所ホームの新オフィスに設置した。今後は、オフィス利用者のニーズ検証やフィールドバックを反映しながら、オフィスから住宅向けまでの幅広いプロダクトの企画開発に取り組む。

トラフ建築設計事務所・鈴野浩一氏が国産材(端材)を利用したオリジナルプロダクトのデザインを担当

トラフ建築設計事務所・鈴野浩一氏が国産材(端材)を利用したオリジナルプロダクトのデザインを担当

産官学連携で地域活性化プロジェクトを展開へ

同時に、地域活性プロジェクトである「(仮称)KIDZUKI for Local」を推進する。第一弾として、同社と玉川大学芸術学部の産学連携で、木製プロダクトを活用し、高齢化、人口減少、空き家問題など地域・社会課題を抱えている横浜市栄区を舞台に、また第二弾では両者と静岡県菊川市の産官学連携で、木製プロダクトを活用した地域活性化プロジェクトに取組む。

同社は、あわせて「CO2排出量削減戦略」を策定、その中で建設時、居住時、修繕や廃棄時における CO2排出量を2030年度までに2019年度比で60%削減し、2050年までにネットゼロ達成を目指すと発表した。

CO2排出量削減に向けた戦略として、ZEH物件、Nearly-ZEH物件を推進し、2030年度までにZEH率85%を目標とし、さらに国産材の積極的な利用、廃棄物を抑制する施工方法・リサイクルしやすい材料の選定、プレカット技術の促進の4点を強化する。

加藤博文社長は、「ウクライナ問題、円安の進行により足元の事業環境は不透明感を増しており、4~5月の新築需要はやや足踏みしているが6月に入って上向いてきた。一方、リフォームは順調に推移している。当社の新たなミッション“Discover your life すべての人生を建てよう”のスローガンをもとに、若手・中堅社員が中心となって検討を重ね、木造木質化を推進する新構想「KIDZUKI」を打ち出した。我々は、ネットワークを築いて木に関するリーディングカンパニーを目指していく。今日ほど木質にスポットライトが当たったことはなく、大きなうねりを感じる」と語り、「KIDZUKI」の構想の意義について強調した。

「KIDZUKI(キヅキ)」構想の発表の席で、「ネットワークを築いて木に関するリーディングカンパニーを目指していく」と強い意志を示した加藤博文社長

「KIDZUKI(キヅキ)」構想の発表の席で、「ネットワークを築いて木に関するリーディングカンパニーを目指していく」と強い意志を示した加藤博文社長

 

また、「KIDZUKI」のオリジナルプロダクトを制作した鈴野氏は、「国産材を無駄なく活用し、健全な循環利用を目的としている。通常使用しない端材などを活かしていくのが特徴だ」とプロダクト制作の意義について述べた。

説明後の質疑応答では、加藤社長、同社技術開発部の小滝慶太氏が対応した。

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木造木質化は”一瞬のムーブメント”で終わらせてはいけない

――木造木質化に取り組む意義は。

加藤博文氏(以下、加藤社長) 最終的にはマーケットの中で使われないと意味がありません。その点については、コストが重要であると認識しています。中高層建築おいてRC造と比較すると木造は高価で、一般の経済観念からすると選択されにくいものですが、SDGsを背景に導入されている物件もあります。しかしこれだけで終わると単なるムーブメントで終わってしまいます。

我々は木造木質化を積み上げていかなければなりません。一つは技術開発で耐火技術を向上させ、安全・安心の問題をクリアしていく。次に行政の規制緩和を望んでいます。日本は木造利用では厳しい国ですが、一方、世の中全体がこれらの点についてクリアしていく動きになっています。個々の企業での対応では難しいため、一般社団法人住宅生産団体連合会などの団体を通じて、政府や行政に陳情していますので、いずれは実現していくかと思っています。

また、当社は木造中高層建築の研究をしています。いずれ発表できるようにいろいろと試行錯誤をしています。現在、「Flat Mass Timber構法」を展開し、規模においては、5階建て中層建築の実現を目指した技術開発が進んでいます。これをさらに進め8層あるいは14層までを実現できるようにしたいと考えています。

ウッドショックは国産材利用のチャンス

――今の足元の情勢の分析を教えていただきたい。

加藤社長 アメリカや中国が好景気の情勢を受けて住宅市場も好調で世界的なウッドショックが続いています。一方、国産材の利用についてはいいチャンスでもあります。もともと国産材活用を推進し、その比率を高めていく方針ですが、コストや林業の問題を含めてもリーズナブルとは言えません。しかし、三菱地所グループのMEC Industry 株式会社がこのほど、「鹿児島湧水工場」が完成して本格稼働を開始しました。これにより中間コストを削減し、価格を下げていけば、国産材を活用しても十分戦えるようになっていくのではないかと考えています。

次に行政の支援では、森林活用や林業がマーケットに通用するようなシステムをつくっていくことが大切です。当社としても行政に働きかけながら、実績を積み上げていくことが大切です。

国産材使用率は注文住宅では82%

――国産材の使用率にいては。

小滝慶太氏 2021年度の実績では、当社の注文住宅のブランド「ONE ORDER」や、「オーダーグラン」などでは82%の使用率を占め、すべての商品ブランドについては約71%です。ツーバイフォー工法、ツーバイシックス工法の木材は、鹿児島建材の杉などを、「LVL材」では、山梨県材のカラマツを使用しており、集成材などは外国産材の比率が多くなっています。

国産材の使用率などを説明する三菱地所ホーム技術開発部の小滝慶太氏

国産材の使用率などを説明する三菱地所ホーム技術開発部の小滝慶太氏

――これから地域へどう寄り添っていくのでしょうか。

加藤社長 林野庁経由で各地方自治体と対話している中でも、皆さんは地元材、県産材をどうやったら使用してもらえるかについて問題意識を抱いております。「KIDZUKI」のプラットフォームに関わらず、これまでもコミュニケーションを行ってきましたが、当社も多くの情報発信を展開し、それが多くの地方自治体や事業者の方々に伝われば何らかの相乗効果も生まれると思います。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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