エリアを見極めた街づくりを
――渋谷は100年に一度の再開発により、街も大きく変わりました。今後は大規模再開発と再生建築の両輪で街を再生していく方針でしょうか。
藤井氏 ええ。大規模な再開発のみを展開していくと、人の流れは再開発した場所にのみ集中してしまいますから、物件ごとの特性を考慮し、街にとってどちらがベストであるかを見据えながら進めていく考えです。とくに、渋谷には「食」「住」「遊」がそろっていますし、新しいものも古いものも、多様なものが混在しているのが渋谷の良いところだと考えています。エリアを見極めながら、これらを掛け合わせた街づくりを点ではなく面で展開していくことが大きな戦略で、これは渋谷駅を中心とした広域渋谷圏についても同様です。

東急不動産のリノベーションビル取組み事例(アジアビル)
――ちなみに、コロナ禍の渋谷はいかがですか。
藤井氏 コロナ禍で渋谷が打撃を受けているといった記事も多かったのですが、テナントの戻りは一番早く、現在は渋谷の空室はほぼない状況です。これは渋谷の企業は意思決定が早いことに起因すると考えています。また、コロナ禍も3年目を迎え、対面での仕事の重要性が再評価され、人材採用の観点でも渋谷に戻ろうという決定が進んでいる印象です。
――「東京ポートシティ竹芝」など、竹芝地区の開発にも注力されていますが。
藤井氏 スマートシティの国家戦略特区である竹芝エリアでは、都有地を活用した国際ビジネス拠点づくりやエリアマネジメントによる周辺地域の活性化に取り組んでいます。「ビジネスエアポート竹芝」が2020年9月にオープンし、街区も「東京ポートシティ竹芝」と命名し、竹芝地区の開発には力を入れています。それ以外の地域でも、再生建築も含め、案件の特性にあった再開発やさまざまな手法を用いつつ、開発を行う方針です。

2020年9月にオープンした「ビジネスエアポート竹芝」でスマートシティを目指す
再生建築を文化として一般化していく
――「再生建築」を通じた仕事のやりがいを教えてください。
石井さん 多くの会社が「持続可能な社会」や「環境貢献」を打ち出していますが、なにかメッセージを出したら、それで終わってしまう印象が強いです。しかし、再生建築を通じてであれば、収益性に加えて持続して「環境貢献」もできる仕事ですので、やりがいの大きい事業であると感じています。

「再生建築」を推進することでサステナブルな社会が実現へ
――今後の「再生建築」を通した戦略は。
藤井氏 再生建築でも十分に街に開かれたオフィスや店舗が展開できるのであれば、より環境に貢献した街づくりを実現できます。再生建築はまだ一般的ではありませんが、徐々に増えておりますし、再生建築を文化として一般化していくためには、新制度の制定など行政に働きかける必要もあると考えています。次のステップに進めるためにも、色々な企業とアライアンスを組む局面もあると思います。
再生建築を通じてサステナブルな社会の実現へ / YouTube(東急不動産ホールディングス)
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