最初「帰れ」と言われた住民と世間話
――岡林さん、仕事で嬉しかったことは?
岡林さん 難しい住民の方との用地交渉がうまくいったことです。最初は「話することはない、帰れ!」と言っていた人が、徐々に打ち解けて世間話をしてくれるようになって、最終的に交渉を成立させることができました。このときは嬉しかったですね。あとは、道路の歩道の拡幅工事が完了して、住民の方が「良くなったわ〜」と話しているのを聞いたときです。
ご高齢の女性の方などは、男性職員よりも女性職員のほうが話しやすいと思われている方もおり、私が現場に行くと、喜んでくれる住民の方がいらっしゃいました。
――土木職の女性職員が増えてほしいと思いますか?
岡林さん 道路などのインフラ施設を整備する土木の仕事は、生活に必要な仕事なので、女性にも関心を持ってもらいたいという思いはありますし、できれば、一人でも多くの女性に仕事の選択肢として選んでもらいたいと思っています。ものづくりの魅力、楽しさというものをもっと知っていただきたいです。
作業服に抵抗がある自分に気づいて「これはいかん」
―― 一般論として、世間の土木の対するイメージは悪いと言われていますが。
鈴木さん 建設業のイメージでいくと、作業服に対して抵抗があります。例えば、作業服を着て、保育所に子どもを迎えに行きたくないと思ってしまいます。ちょっと汚れがついていたりするからです。つまり、私自身の中にも、土木の作業着は恥ずかしいという意識があるということです。それに気づいたとき、「これはいかん」とハッとしました。
私が今思っているのは、土木を勉強している学生へのアピールと、一般の人へのアピールは、ターゲットとして全然違うんじゃないかということです。土木の仕事には、イメージだけでなく、リアルに3Kな部分もありますが、昔に比べるとかなり改善されてきました。土木を学ぶ学生には、良いところも悪いところも仕事のリアルをなるべく伝えたほうが良いと思います。一方、一般の人には、土木の大事さや魅力を発見できるようなアピールをしたら良いのではないかと思っています。
私自身、県庁で働いてから発見した土木の素晴らしさというものがありました。率直に「あ、すごーい」と思ったものです。学生はもちろん一般の人にも、そういう感覚を味わってほしいという思いがあるので、例えば、「感動」を与えるアピールをする必要があると感じています。
牟禮さん 私自身、車を運転しているときに、工事に伴い通行規制がかかっていると、正直「規制がなかったら良いな」と思ったり、現場の騒音がうるさいと感じたりすることはあります。なので、一般の方々が土木に対して良いイメージがないのは、わかる気がします。工事をしないと、快適に走れる道路は維持できないわけですが、それを一般の方々が理解するのは難しいと思います。
コケむした古い土木構造物を見るとモエる
――香川県庁の仕事のやりがい、魅力はなんでしょうか?
岡林さん 前にも言いましたが、県の面積が小さいので、異動してもだいたい自宅から通えるところです。また、土木職員同士の団結力が強いので、一つの目標に向かってみんなで取り組むことができるところです。あと、香川県は比較的災害が少ないので、その分、働きやすさにつながっていると考えています。
鈴木さん 岡林さんのお話と同じですが、どこの土木事務所に配属になっても、自宅から通えるのが魅力です。もう一つは、本庁勤務を経験して感じたことですが、国の政策が自分の生活にどうつながっているかが見えるので、そこにやりがいを感じることがあります。
私は、古い土木構造物が好きで、それを見るのが個人的にツボになっています。逆に、ピカピカの新しい土木構造物にはそこまでの魅力を感じません。歴史とか愛着みたいなものを、あまり感じられないからです。コケむした古い護岸や砂防えん堤などを見ると、「これは○年ごろの石積みやな。いいな〜」という感じで、一人で萌えたりしているんです(笑)。「このコたちをできるだけ延命させたい」という思いで、日々仕事をしていたりします。
牟禮さん お二人のお話とカブりますが、どこで働くことになっても、自宅から通えるのが、香川県庁の一番の魅力だと考えています。土木職という意味では、やはり発注者なので、土木の計画から維持管理まで幅広く携わることができるほか、自分が携わった一つひとつの仕事を身近で見続けられるのも魅力だと感じています。「なんでもやりたい精神」を貫くには最高の職場です(笑)。
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