景観に対する住民の思いが強く染み付いている
――京都市で土木の仕事をしていて、「京都ならではだな」と感じることはありますか?
鳥取さん 住民の方々の地域を形成する町並みに対する思いが非常に強いと感じ ます。京都市主導で「こうする」「ああする」ではなく、住民の方々の思いを受け止めて、住民に寄り添いながら、一緒にまちづくりを進めていくところがあると感じています。
沖田さん 私たちが思ってもいなかったご意見をいただくこともあります。例えば、「町並みの見え方」とか。「こんなに見え方が違うんや」と驚いたことがあります。
――例えば、先斗町の路地を整備するといった場合、周辺住民などの思いを最大限尊重しながら、整備を進めていく、ということですね?
鳥取さん そうですね。先斗町や祇園、嵐山といった地域では、土木構造物を整備するには、まちづくり協議会との協議が必須になっています。例えば、舗装をやりかえる場合には、舗装の材質やデザインなどについて、協議会との意見交換が必要です。協議会との協議などが必要な地域は、他都市にもあると思いますが、京都市は、そういう地域が市内各所に多数散らばっています。この点、京都ならではのことなのかなと思っています。ちなみに、先斗町は昨年、四条から三条にかけて、やっと電線共同溝の整備が終わり、電柱が取り払われたところです。
沖田さん 景観に対する住民の思いが強く染み付いている地域では、なるべく人工物に見えないような、それを整備することで景観が良くなるような手法を採用しようという思いが、施工業者さんを含めて、根底にあります。これがまちづくりのスタートラインになっていると思います。

整備前の先斗町(写真提供:京都市建設局)

整備後の先斗町(写真提供:京都市建設局)
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「ありがとう」という言葉をいただける仕事
――公務員系土木技術者のやりがい、魅力はなんだとお考えですか?
沖田さん やはり発注者であることだと思います。コンサルさんや施工業者さんは、設計、施工という分野でそれぞれ優れた専門知識や技術、ノウハウをお持ちですが、最終的になにをどうするか決定するのは、私たち発注者です。同じ土木技術者でも、この点は大きな違いだと思っています。小さなことから大きなことまで物事を決めて、すべてを前に進めていく。私は、この発注者しかできない仕事に対して、ものスゴくやりがいを感じています。
――働きやすさについてはどうですか?
沖田さん 若いころは、京都市役所で働くことのありがたみを意識したことはありませんでした。ありがたみを感じるようになったのは、子どもが生まれて、 ワークライフバランスを意識し始めてからです。市役所という組織の一員である私に寄り添ってくれているという実感があります。
土木の世界では、女子だと不利な場面がありますが、一方で、女子が有利な場面もあります。うまく相手の懐に入りこめれば、通常なら難色を示される仕事でも 「しゃーないな」という感じで受け入れてくれたりするんです。「しゃーないな」と言わせたら、こっちの勝ちです(笑)。
――野瀬さんにとってやりがい、魅力どうですか?
野瀬さん 私は入庁4年目という割と早い段階で、子どもを産みました。来年、上の子は中学生になります。子育てに手がかかる時期も仕事とプライベートを両立できたのは、やはり公務員だからこそだと思っています。民間企業に就職した学校の友だちの話を聞くと、この両立がなかなかうまくいかず、退職してしまった人が多いです。
土木の施設は、みんなが使うもので、生きていく上で必要なものです。そういう施設を新しくつくったり、守っていく仕事は、やりがいのある仕事だと思っています。住民の方々から「ありがとう」という言葉をいただける仕事でもあります。
――鳥取さん、仕事のやりがいなどは?
鳥取さん 沖田さんや野瀬さんと同じく、ずっと残る土木施設を発注者として、「決めて、つくる」ことに非常にやりがいを感じています。また、公務員の魅力は、男性と同じお給料がもらえて、福利厚生がしっかりしていることです。
コンサルやゼネコンに就職した高専の友だちは、子どもができてしまうと、働きづらい、 職場で肩身が狭いと感じている子もいました。仕事を辞めた友だちもいます。今は民間企業の働く環境も変わりつつあると思いますが、私が入庁する前から、働いてこられた女性職員の皆さんが働きやすい職場づくりに尽力いただいた結果だと思います。
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