交通規制をかけずに、橋梁を撤去、架設するのは初めて

喜連瓜破高架橋
――今の現場はどういう現場ですか?
藤本さん 阪神高速松原線の喜連瓜破高架橋の架け替え工事です。高架橋上に仮設桁を設置し、移動台車やクレーン設備により既設のPC橋梁を撤去。その後、鋼製橋桁を設置する工事です。
――同様の工事の経験はあるのですか?
藤本さん いえ、大成建設に入ってからはずっと新設橋梁ばかりだったので、橋の架け替えは初めてです。交差点の直上で、交通規制をかけずに、既設桁を撤去し、新たな桁を架けるのは、大成建設としても初めてです。おそらく全国でも例がないのではないでしょうか。
――大成建設の総力を上げて取り組んでいるのでしょうか?
藤本さん そうですね。いわゆるECI業務として、大成建設が工法などを提案し、受注した現場なので、大成建設本社のいろいろな部署の人間が関わっています。この現場では、いろいろな機械を使いますし、鋼桁も扱いますので、そういう部署の人間と連携しながら仕事を進めています。
――施工管理上のポイントはなんですか?
藤本さん いろいろありますが、最大限配慮しているのが、飛来落下対策です。高架橋直下には交通量の多い道路が通っています。絶対にモノを落とすことはできません。そのため、強度の高いメタルの作業足場や外周全面に鋼製枠による防護設備を設置します。万が一に備え、防水処理も施しています。
また、騒音対策も重要なポイントです。この現場は夜間作業が非常に多いのですが、現場近くにマンションがあります。鉄を叩く音などはどうしても周りに響くんです。極力土日祝日は音の出る作業を控える、低騒音型の機械の使用、防音設備など、考えうる対策はすべて講じて、低騒音作業を徹底していく考えです。
――メタルの足場はあまり一般的ではないと思われますが。
藤本さん そうですね。枠組み足場、木の板、ネットが一般的です。鋼製足場は、費用がかかるし、重くなるし、取り付けも大変なんです。ただ、今回は交通量の多い上空での作業であり、重いコンクリートを撤去するため、万が一でも物を落とさないために必要な設備です。

仮設桁上(瓜破交差点付近)から見た様子。確かにマンションが近い。
来年年始から半年間がヤマ場
――工事の進捗としてはどんな感じですか?
藤本さん 仮設桁を設置している準備段階なので、予算ベースで6%ほどです。今年秋から作業足場をつけて、来年の年始ぐらいから撤去作業に入ります。そこから半年間がこの工事のヤマ場になります。なんにせよ、実際にコンクリートを切断してみないと、どのような挙動を示すかなど、いろいろわからないところがあるので、一層気を引き締めて作業を進めていく考えです。
――工期的にはやはりタイトですか?
藤本さん はい。閉所は月4日でやっています。もちろん、社員などの休みは交代して確保しています。
――いわゆるICTは使っているのですか?
藤本さん 起工測量には、3Dレーザスキャナを使いました。現場周辺の点群データをとって、信号や照明など支障になりそうなものを割り出し、支承物を撤去したほか、現場で使用する機械などの選定にも活用しました。既設橋を撤去するに際し、躯体の挙動などを把握するため、自動計測センサーを設置しています。安全対策として、機械にもセンサーを取り付けることにしています。
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