都市計画はもう「土木の花形」ではない?
――堀さん、これまでどのようなお仕事をしてきましたか。
堀さん 最初の配属先は、安佐南区役所の土木課でした。小さな現場の設計や工事監督を担当しました。その後、道路交通局の道路課で区役所のとりまとめや、予算の割り振りなどをやりました。ちょうど笹子トンネル事故が起きたころだったので、市内のトンネルについても点検することになって、残業も多く、忙しかった覚えがあります。その後、本庁を転々として、今年4月から都市計画課というところで、法律に基づいた手続きを中心に仕事をしています。まだまだ勉強中ですね。
――都市計画と言えば、「土木の花形」みたいな言い方を聞きますけど。
堀さん 確かにそういう言い方は聞きますが、あまりピンと来ていません(笑)。私の担当は、都市計画道路などの変更手続きなどの仕事なので、事業課から依頼があって初めて動くので。都市計画課主導で、事業を進めているわけではないんです。
去年までは、緑政課というところで、広島の緑に関わる仕事をしていました。広島市には造園職という職種もありますが、土木職で緑政課は珍しいかもしれません。緑政課では、主に「緑の基本計画」の改定の仕事をやりました。その仕事の中で、緑の役割をいろいろと勉強させてもらいました。
この仕事をするまで、緑にはまったく興味がありませんでした。たとえば、街路樹は落ち葉が落ちて邪魔、維持費かかるからなくしたほうがいいとしか考えていませんでした。でも、この仕事をしてから、考え方が120度くらい変わりました。180度でなく、120度しか考え方が変わっていないのは、街路樹を例に挙げると、広島市は山が多いので、市内全体どこでもかしこでも、あればあるほど良いというわけではなく、都心部などの賑わいのあるところにあるのがよいという考え方からです。
今は道路と民有地の緑化は、行政と民間が別々で進めていますが、そこは連動して緑をつくって、それが緑のネットワークになって、そこを観光客や市民が歩く。そんなネットワークができるように、行政が働きかけられる仕組みがつくれたらいいなと思っています。
広島は、原爆を落とされたとき、75年間は草木も生えないとまで言われていたのに、今はこんなに緑にあふれているので、広島の「緑」は平和の象徴と言われていますし、こんなに緑について興味を持ったのは初めてで、本当に貴重な経験をさせてもらいました。
市役所の仕事は、とにかく楽しいし、おもしろい
――志賀さん、これまでのお仕事について、お願いします。
志賀さん 最初の配属先は、道路交通局の道路計画課というところで、サブとして、いろいろな道路事業に携わりました。2年目から担当の道路事業を持たせてもらって、ワークショップなどを行いながら、「裏袋」と呼ばれている袋町裏通りでの道路空間を活用したまちづくりを担当しました。地元の方々と話し合いながら進める事業なので、スゴい楽しかったです。
その後は、安佐南区役所の地域整備課異動になり、道路整備の担当になったのですが、平成30年の豪雨災害が発生したので、災害対応を兼務することになりました。現場に出て、状況を調査して、復旧工事のための査定を受ける業務をやりました。ここで、初めて自分が思う土木らしい仕事をすることができたと思っています。査定が一段落した後は、本来の道路改良などの仕事に携わりました。安佐南区役所には3年間いました。
昨年から経済観光局の観光政策を所管する部署にいます。一見土木とはまったく関係なさそうな部署ですが、平和大通りにある緑地空間の利活用という仕事のほか、観光サインの更新といった仕事を担当しています。これはこれでおもしろいと感じながら、やっています。
――周りは事務屋ばっかりですか?
志賀さん そうです。土木職は私1人です。正直、最初の1年は苦痛でした。たとえば、「これって土木的にどうなの?」といったことを聞かれるのですが、経験や知識を基に答えられるものは良いですが、それら以外は周りに相談できなくて辛かったです。
同じ土木職女性同士、お互いを気にかけ合う空気がある
――広島市役所は働きやすいですか?
横畠さん 働きやすいです。地域密着型ながらも、政令市として市民とある程度の距離感を保てるところがあります。私としては、30年間自由にやらしてもらったと思っています。自由だからこそ、自分自身を律しながら、日々切磋琢磨しながらやってこれたのかなという気がしています。今思えば、温かい先輩がいっぱいいらっしゃいました。
堀さん 私も働きやすいと感じています。男女関係なく、対等に接してくれる雰囲気があると思っています。公務員だから当たり前なのかもしれませんが、「女性だからこの仕事はさせない」とかいったことはないので。
志賀さん 私も働きやすいと思っています。と言うのも、ここ数年土木職の女性職員がどんどん増えているからです。私が市役所に入ったころは40人ほどでしたが、今は80人ほどいます。絆とまではいかないかもしれませんが、同じ土木技師同士、お互い気にかけ合うようなところがあるんです。若手にしてみれば、先輩方が気にかけてくれると、相談なんかもしやすくなります。ちょっとわからないことがあったら、違う部署でも、気軽に電話で聞けたりするんです。私はそういうところが心強いと思っています。
人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!
「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。