新人は「ヤル気」と「元気」で勝負する
小倉さん 1年目は、稲川さんの下について、江戸川の河道掘削工事の現場に入りました。簡単な書類処理や、写真管理などをやっていました。今の現場は、一応担当技術者として名前を出しながら、いろいろやっています。仕事の内容はあまり変わっていないんですけど(笑)。まだ日が浅いので、自分的にも、なにか大きなことを成し遂げたという感覚はないのですが、河道掘削の現場で、河川の水が増水したときに、いっぱい魚が入ってきたことがありました。「新人はヤル気と元気だ」ということで、魚一匹一匹を抱えて、河川に戻したのが思い出に残っています。
稲川さん 私もそばにいて、「根性あるなあ」と思って見ていました。「そのガッツがあれば、どんな現場に行っても大丈夫だよ」と言いました(笑)。
小倉さん 現場では、女性は私一人ですが、稲川さんをはじめ、周りの方々がいろいろ気遣ってくださるので、みんな優しくて、助かっています。丁張りの杭打ちをやったことがあるのですが、「こうやってやるんだよ」と教えてくれました。ありがたいことだと思っています(笑)。
ICT施工はとにかく「メッチャ便利」
――実際にICT施工に関する仕事に携わって、どう感じていますか?
矢吹さん 基本的には「メッチャ便利だな」と感じています。一番便利だと感じているのは、重機のガイダンス機能です。丁張りを出さなくて良いからです。現場の作業員はメッチャ楽になっていると思います。もちろん、起工測量や出来形計測もラクになるので、とにかく「便利」の一言に尽きます(笑)。ただ、設計データをつくったり、ICT施工に関する打ち合わせや書類づくりの必要があります。そこは面倒ですが、全然、許容範囲だと思っています。
強いてデメリットを挙げれば、重機のオペレーターさんはモニターを見ながら作業するわけですが、周りの作業員さんなどにとって、重機がどこをどう掘るのか、パッと見わからないことぐらいです。ここはうまいことやらないといけないなと感じているところです。
――社内的には、ICT施工はデフォルトですか?
矢吹さん デフォルトですね。どんな工事でも、なにかしらICTを活用していますから。基本的に、工事を落札した段階で、どこにICTが活用できるか検討していますし。
――ICT施工の仕事は楽しいですか?
矢吹さん 今は楽しいです。現場に出ているときは、やらなきゃいけないからやっていたので、別に楽しいとかは感じなかったですけど、現場から一歩引いたところでサポートするポジションになってからは、楽しいと感じます。会社がバックアップしてくれるので、心強いですね。
3Dの前に2Dの図面をイジれるようにならなければ
――稲川さんもICT施工をやっているのですか?
稲川さん 自分で3Dの設計データをつくって、重機にデータを入れたりしています。矢吹さんがおっしゃっていたように、会社がバックアップしてくれるので、ありがたいなと思っています。基本的には自分でデータをつくるのですが、現況に擦付けする部分とか現場に合わせなきゃいけないところの調整などは、矢吹さんに相談しながらできますし、発注者との打ち合わせもやってもらえるので、スゴく助かっています。
――松崎さん、ICT施工はどうですか?
松崎さん ICTには以前から関心はありました。ラクだからです。ただ、私は矢吹さんなどと違って、自分でICT施工をバリバリやる先輩についてしまったので、私がICT施工に触れる機会はまったくありませんでした(笑)。今のポジションになって、やっと3D設計データの作成などを任されるようになった感じです。もちろん、矢吹さんが在籍するi-Construction推進室に教わりながらやっているところです。
――小倉さんはICTはやっているのですか?
小倉さん 私はまだまだです。今のところは、ICTでなにができるのか知っておくぐらいかなと思っています。それよりも、従来の施工方法を勉強中という感じです。3Dの前に2Dの図面をしっかりイジれるようにならないといけない、という段階です。
――従来の方法を一通り勉強した上で、ICTについて学びたいと考えていますか?
小倉さん できれば、両方同時に学んでいきたいと思っています。そうしないと、追いつかないと思うので。
ICTは作業を進めるための手段にすぎない
――今後どういう仕事をやりたいですか?
矢吹さん しばらくは同じようなICT関係の仕事をしていくことになるのかなとは思っています。来年ぐらいからBIM/CIMも本格化するので、やるべきことが増えてくると思います。また、ICTアドバイザーとしての講習会や、広報活動などもやっているのですが、学生向けのICT体験実習・講習などであれば、私が担当したりしています。
建設業界に興味を持ってもらうため、今まで以上に外部発信をやっていく必要があるのかなと思っています。今後は無人化施工なんかも進んでいくと思うので、とりあえず、デジタル関係の最先端の動きを追っかけ続けられるようにはしておきたいです。
稲川さん 盛土といったICT施工の現場を任されることが多いので、とりあえずICTに関するスキルをもっと身につけたいと思っているところです。
今一番身につけたいのは、発注者との交渉に関するスキルです。ICTは現場の作業を進める手段の一つに過ぎません。現場監督には、現場が抱えるいろいろな問題を解決していきながら、最終的にモノを完成させる能力が必要不可欠だと考えています。そのためには、こういう方法がありますよとか、こうしたら良いんじゃないですかということについて、発注者としっかり交渉できるようになりたいと思っています。上の人になると、その辺のスキルがスゴいので。
その上で、ゆくゆくは、段取り、材料、お金を含め、現場全体を俯瞰して見られるようになりたいです。
松崎さん 今のポジションは補助なので、現場の完成形を見れていません。最初から最後まで現場を任せてもらえるようになりたいと思っています。稲川さんが言ったように、発注者への対応とかもやれるようになりたいです。この工種の工事をやりたいと言うよりは、いろいろな工種の工事をやりたいです。
小倉さん とりあえず、いろいろな現場に出て、いろいろな先輩の下につきながら、勉強していきたいと思っています。3年目の先輩の多くは現場代理人をやっているので、そこに早く追いつきたいです。現場代理人になったら、まずは親に自慢したいです(笑)。
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