安藤ハザマ(東京・港区、福富正人社長)は、相次いでスタートアップ企業への出資を発表している。
同社は3月30日、長期ビジョン「安藤ハザマ VISION2030」の実現に向けた取組みの一環で実施した「安藤ハザマ 新規事業共創プログラム 2022」の採択企業である(株) Cube Earth(大阪市、武田全史社長)に出資したと発表。「安藤ハザマ 新規事業共創プログラム 2022」ではCube Earthを含む3社を採択しており、今後、各社との協業の検討に入る。
Cube Earthは、米国と日本で特許を取得している地理情報システムのプラットフォーム「CubeEarth」を活用し、地方自治体への「スマート防災システム」の提供を進めるスタートアップ企業。同社の「スマート防災システム」は、災害時の被災状況、避難所の運営状況、避難者の安否情報などをタイムリーに伝達するシステム。プラットフォームとなる「CubeEarth」は、公開情報をメッシュデータに素早く変換できるシンプルな仕組みのため、安定性に優れフリーズしにくく、さらに停電時にはオフラインでも使用可能であり、災害時に有効なシステムといえる。
安藤ハザマは、システム構築などに必要な資金を出資するとともに、営業ネットワークを活用し、同社の事業拡大に向けて全面的にサポートする。近年、地球温暖化による気候変動により自然災害が激甚化・頻発化する傾向にあり一方、堤防などのハード面による防災には限界がある。一方で、ソフト面としての災害発生時の地方自治体の情報共有・伝達の手段は、依然としてアナログが主流だ。そこで地方自治体などを中心とする危機管理業務のデジタル化は、多くの需要が望まれる現状にある。
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次なる出資先は、東京大学発のスタートアップ企業・先進モビリティ(株)(茨城県・つくば市、青木啓二社長)だ。
先進モビリティは、無人運転バスや隊列走行トラックの技術開発・事業化を目指す。具体的には、経済産業省と国土交通省が策定した「自動走行の実現に向けた取組報告と方針」Ver.4.0のロードマップで提示された、2025年度以降の商業化を目指す「トラックの一部無人化隊列走行」を実現していく。2024年問題でも物流は大きな焦点であり、「ドライバー不足による路線バスの廃線・住民の利便性悪化などの地域の交通・物流に関する課題解決」や「新しい街づくりによる地域の活性化」など、サステナブルな社会の実現に貢献する。
安藤ハザマは、先進モビリティの事業拡大に必要な資金を出資するとともに、研究開発を進める自動運転などの各種技術の建設現場への展開などの協働も検討する。
「安藤ハザマ VISION2030」では、事業を支える2つの柱として本業である建設業と、建設外事業にも注力し、収益確保を図っていく方針であり、今後こうした建設外の事業への投資も増加していくものと想定される。