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一人の「#電工女子」がたち上げた”女性技能者協会” 「『私は職人です』と堂々と言えるように」

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長井 雄一朗
公開日:2023.07.31
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(一社)女性技能者協会 代表理事の前中由希恵さん(なないろ電気通信株式会社(本社・京都府))

(一社)女性技能者協会 代表理事の前中由希恵さん(なないろ電気通信株式会社(本社・京都府))

目次
  1. 「職人のリアルな声って届いているんだろうか」
  2. クラウドファンディングは目標金額を8時間で達成
  3. 社会保険などの教育を進めないと、職人の立場はどんどん弱くなる
  4. 現場仕事とライフイベントが両立できる環境づくりを
  5. 多くの女性たちに、建設業界の可能性を信じて挑戦してほしい

電気設備会社でのアルバイトを機に電気工事士の道に進んだ前中由希恵さん。これまで約20年にわたり建設現場で活躍してきた。Instagramでは8,500人超(2023年7月時点)のフォロワーがおり、「#現場女子」「#電工女子」の投稿で、多くの建設業従事者から支持を集めている。

「これまで技能者を続けられたのは、仕事の共通の話題で盛り上がり、現場での女性特有の悩みを共有し合い、励まし合える環境があったから」と語る前中さん。

同じように、全国の現場女子同士がつながることができれば、若い女性技能者も現場で働き続けられるのでは、との思いからクラウドファンディングを活用し、「一般社団法人女性技能者協会」の設立に至った。今回、協会設立への想いや現在の活動などについて、前中さんに話を聞いた。

 

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なないろ電気通信(株)の前中由希恵(@nanairodenkitsushin)がシェアした投稿


前中さんのInstagram

「職人のリアルな声って届いているんだろうか」

――女性技能者協会を立ち上げられた理由を教えてください。

前中代表 これまでも日本建設業連合会(日建連)の「けんせつ小町」さんをはじめ、女性の専門組織ってたくさんあったと思うんですけど、ゼネコンだったり技術者さんが中心となって結成された組織が多いなと思っていて、そこに「職人、技能者のリアルな声って届いているんだろうか」って疑問に思ったんです。

とくに、若い子たちが辞めていってしまうのは、横のつながりが少ないことも一因だと思っていて。「女性の職人って、自分だけなのかな」って思ってしまっている子も多いんです。

私がこれまで建設業界で働き続けることができたのは、大手ゼネコンから工務店、ハウスメーカーまで、いろんな現場を経験する中で、たまたま現場で女性の職人さんと知り合って、ちょっと飲みながら愚痴を言い合うみたいな機会があったからなんです。こうした経験の中で、技能者の方々って一人親方だったり会社員だったり、夫婦共働きだったりと、いろんな形があるんだなっていうことも知ることができました。

でも、実際はこうしたつながりがなくて、自分の環境の中だけで生きている技能者の方も多くて、その現場で合わないことがあると、それが建設業の全てだと思ってしまって、辞めていってしまう子たちもいるんです。そういう人たちをつないでいって、「こんな世界もあるんだよ」と知ってもらいたいなと考えるようになりました。

そんな中、日建連の「第5回けんせつ小町活躍推進表彰」でトップランナー賞として表彰いただいたり、けんせつ小町さんのYouTubeチャンネルでインタビューしていただくうちに、「私たち技能者発信でも何かできることあるんじゃないかな」って。

「けんせつ小町チャンネル」に一番最初に投稿された動画に出演していたのが前中さん。「電工女子 仕事編 その1」 / YouTube(けんせつ小町チャンネル)

それで、20年近く建設業界で電気工事士として働いてきたこともあって、「やるなら今だな」と。私がまだ2、3年目で職人としてまだまだ修行中の身であれば、何か言ったとしてもあしらわれていたかもしれないですけど、これまで積み重ねてきた経験っていうのは重みがあるんじゃないか、声を聴いてもらうチャンスがあるんじゃないかと思って、女性技能者協会を立ち上げました。

日建連の「第5回けんせつ小町活躍推進表彰」で、「イイね!インスタグラムで電工女子を発信!!」により、トップランナー賞を受賞

日建連の「第5回けんせつ小町活躍推進表彰」で、「イイね!インスタグラムで電工女子を発信!!」により、トップランナー賞を受賞

女性同士の横のつながりができて、現場の情報交換ができることで、建設業界自体を辞めるんではなくて、転職したり、他の職種に移ったりと、いろんな現場に挑戦する女性技能者たちが増えてほしいなと期待しています。

――立ち上げはコロナ禍の2021年10月でしたね。

前中代表 コロナ禍で女性のほうが男性よりも失業率が高いというデータを見て、これだけ女性活躍が叫ばれていても、やっぱり働く上で女性の地位はまだまだ弱い立場であると感じました。

私は高校卒業後にすぐ就職する気持ちで工業高校に進んだんですが、予想外に就職先が決まらずで、無職になりかけていたところをこの業界に拾ってもらったんです。それから、なんとか生活を続けてこれたことにすごく感謝していますし、色んな方に建設業界や電気工事士っていう仕事を知ってもらえれば、女性が職を選ぶ際の選択肢を広げることもできるなと思っています。

私、好きなんですよね、いまの仕事。でも、周りからはずっと「女性なのに珍しいね」「女性なのにすごいね」って言われ続けてきて。私からしたら、自分の職場で、普通に働いてるっていうことが、なぜこんなにすごいって言われるんだろうってすごく違和感を持っていますし、仕事の良さを伝えて行けば、建設業界の人手不足もカバーできるんじゃないかとも考えています。

話し出すと、いろんな思いが出てきますね(笑)。

クラウドファンディングは目標金額を8時間で達成

――立ち上げにあたって、クラウドファンディングを使ったのはどうしてですか?

前中代表 いまお話したような普段から私が建設業界に対して思っていることを建設業界も含めた世間に広く表明したときに、「みんなの反応どうなんやろ?」と気になったからです。「私はこう思ってるけど、みんなはどう思いますか?」っていうところに対して、声がちゃんと返ってくる方法がよかったんですよね。

結果的には、おかげさまで約8時間で目標金額の50万円を達成し、最終的に182名もの方から約160万円の支援をいただきました。「こんな団体が設立されることを待っていました!」なんて応援メッセージもたくさんいただきましたし、多くの方からレスポンスをいただけたので、「いま私がやろうとしていることは少なからず正解に近いんではないか」と確信めいた感情も持ちました。

クラウドファンディングでは想定以上の金額と期待が集まった

クラウドファンディング(CAMPFIRE)では想定以上の金額と期待が集まった

まだまだ男性社会だと言われる中で、声を上げることに躊躇している女性も多いと思うんですけど、働く上で自分たちが持っている権利だったり、自分らしく働くためのより良い環境を求めることを、誰かにとがめられるっていうことは間違っていると思っていますし、女性技能者協会の活動によって、「私は職人です」と堂々と言える女性たちがどんどん増えたらいいなと思っています。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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