建設業界内にわれわれの世界観を構築し、シェアをとっていきたい
――レンタルも行っているのですか?
佐藤さん ハードに関しては、現状は販売のみです。ソフトは使用許諾というカタチでやらせていただいています。基本的にはハードとソフトはセットになります。
この辺は、弊社の事業戦略も絡んでくる話になるのですが、弊社の最終目標は「建設業界のGoogleになる」になっています。GoogleはアンドロイドというOSで世界のスマホOSシェアの70%以上を占めていると言われています。GoogleのOSに当たる部分が弊社のMODEL-VとMODEL-Eになります。OS上のアプリに当たる部分が遠隔化や自動化、パソコンのOSなどです。そういう世界観を建設業界に構築し、しっかりシェアをとっていきたいという戦略を描いています。
――まさに「プラットフォーマーになりたい」ですね(笑)。
佐藤さん そこはそうですね(笑)。ただ、弊社が独占したいということではなく、あくまでオープン・クローズ戦略です。
――となると、AIとかメタバースといったところもリンクしてくるのでしょうか?
佐藤さん その可能性はあると思っています。
遠隔化と自動化の棲み分けを視野に入れる
――建機操作のシミュレーターを開発されていますね。
佐藤さん はい、自動化のためシミュレーションをつくっています。自動化を実現するには、複雑なプログラムを組む必要があるのですが、極端な例で言うと、プログラミングによっては、右旋回を指示したら左旋回するとか、前に進めと指示したら、後ろに下がるといったことが発生する可能性があります。
バグかもしれませんし、ミスかもしれません。組んだばかりのプログラムでいきなり実際の建機を動かすのは危険なので、プログラムのテスト用としてシミュレーターを開発したわけです。テストのほか、オペレーターの教習用にも活用しています。このシミュレーターはオープンソースなので、無料でどなたでも利用することができます。ゲーム感覚で操作できるので、けっこう楽しいですよ(笑)。
――遠隔操作する際のカメラの解像度や通信速度について、どのようにお考えですか?
佐藤さん カメラの解像度については、一般的には5G回線を使えば解像度が上がると考えられていますが、Wi-Fi回線などと比べ、ものスゴい差が出るかと言えば、おそらくそうではないと思っています。
ただ、そうは言っても、解像度が高いに越したことはないので、弊社としても画像の解像度に関しては常に課題意識を持ちながら、より良いモノにアップデートするようにしています。
――あえて「解像度は追いかけない」という選択肢もあるような気がするのですが。
佐藤さん 良い映像でやろうとすればするほど、通信が重くなってしまいます。そこまで良い映像が必要な現場が果たしてどれだけあるのかと考えれば、たしかに違う選択肢もあり得るかもしれません。つまり、遠隔操作ではなく、自動操作という方法があるということです。自動操作なら、極論すれば映像自体必要ないからです。その辺の棲み分けができれば、うまくニーズに合うように思います。
量産化への対応が大きな課題
――会社として、優秀なエンジニアをどんどん採用したいと考えているのですか?
佐藤さん 必要な人材は確保したいですが、ものスゴく多くの人材が欲しいと考えているわけではありません。
ただ、最近、弊社プロダクトに対する需要が急速に大きくなっていると感じています。ハードウェアベンチャーにとって、プロダクトの量産化は「躓きの石」になりがちです。ものづくりの難しさですよね。過去に量産化で失敗したハードウェアベンチャーは多くありますし、大手企業でも量産化でコケた話もあります。
弊社にとっても、この量産化にどう対応するのかは、今後の大きな課題です。単純に人を増やすという方法もあるでしょうし、外部の人間を使うということもあるでしょう。今のところはその2つを軸に考えているところです。
遠隔化→自動化→プラットフォーム構築の3ステップ
――今後の目標についてどうお考えですか?
佐藤さん 営業的な話で言えば、「遠隔操作システムを実際の現場でもっと広く使ってもらいたい、届けていきたい」、そして、「ARAVという会社名をたくさんの方々に知ってもらいたい」という思いがあります。遠隔化の普及は自動化の普及につながると考えているからです。そしてその流れをARAVのプラットフォーム構想につなげたいと思っています。遠隔化で足元を固めて、自動化につなげ、プラットフォームを構築する。この3つのステップでいきたいと考えています。
建設業界を見渡すと、DX関係の商材はけっこう高いという認識を持っています。価格がネックになって、導入できない中小の建設会社様は少なくないと感じています。弊社としては、コストや販売方法などについてこれからしっかり考えていかなければならないと思っています。
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