研究は短期的には大変だが、長期的に見れば楽しい
――清水さん、現在どのような研究をしていますか。
清水さん 私はある石油会社と石油精製プラントでのロボットによる点検について共同で研究をしています。カメラを使って自動点検することをテーマにしていて、メーターなどの数値をカメラで読み込んだり、サビの侵食などに伴う配管などの異常検知といったことをしています。
――研究は楽しいですか。
清水さん 長期的に見たら楽しいです(笑)。研究をしていると、いろいろな課題に直面するので、短期的には大変ですが、そういった課題を一つひとつ乗り越えた結果、最終的な研究成果につながるからです。
――イさん、どうですか。
イさん 農機メーカーとトラクターの自動走行に関する共同研究をしています。普通はGPSでトラクターの位置情報を取得しますが、この研究では、GPSが届かない環境下でもカメラやレーザで位置情報を取得することをターゲットにしてやっています。今はパソコン上でトラクターの位置推定や姿勢などのシミュレーションをしているところですが、今後は実際のフィールドでシミュレーションしたプログラムを実装して検証する予定です。
朝倉さん 私は、伊賀上さんと同じく、ゼネコンとの共同研究として、RGBカメラを用いた構造物の3次元形状の計測といったところを研究しています。この手法はもともと、トンネルや配管といった円筒長尺なものやスゴく小さいものを計測するのに有利な手法なのですが、それらとは異なる形状の構造物にも応用できないかをテーマにやっています。
――たとえば、どういう形状の構造物ですか。
朝倉さん たとえば、ダムとか橋とかといった形状の構造物です。そういったインフラもカメラだけで計測できれば、とても便利になるかもしれないということで、応用できるかやっているという感じです。今のところは、研究を始めてまだ日が浅いので、精度が良くありません。今後は、手法そのものも含めて、いろいろ見直しながら、研究を前に進めていきたいと思っています。
――山下先生、これまでのところでコメントをお願いします。
山下さん ここにいるみんながやっているのは、基本的にロボティクスの研究です。ハードも扱いますが、ソフトも扱います。異常を検知するだとか、3次元形状や座標を算出するといったプログラムをまず書いた上で、現場でちゃんと動くか確かめるというのが、研究の流れになります。
――それぞれの研究に対する山下先生のスタンスはどんな感じですか。
山下さん 基本的には、それぞれの学生ごとに自分自身で考えながら、全部やってもらうようにしています。私は「そんなことやってるんだ。スゴイね」という感じで見ています(笑)。
「位置計測のスペシャリストと言えば、私だ」と言える存在に
――今後の目標はなんですか。
千野さん 私自身建設業に身を置いているわけですが、建設業はこれまで生産性が低いとか、機械化、自動化が遅れていると言われてきました。山下研究室で得た経験や知識を活かして、建設業の生産性の向上というところに、微力ながらも貢献していきたいと思っています。私の研究は、どちらかと言うと要素技術的な分野なので、いろいろなものと組み合わせる必要があり、すぐに現場の役に立つというものではありません。ただ、「位置計測のスペシャリストと言えば、私だ」と言えるような存在になって、現場でもドンドン使えるような技術を生み出していければと思っています。
伊賀上さん 今のところは、一つひとつ研究成果を残していくことができれば、それで満足だと思っています。いずれは研究者になりたいという思いはありますが、視野を広げるという意味で、企業に就職して、いろいろ勉強することも考えています。
清水さん 私は来春、カメラ・センサ系の会社に就職することが決まっています。仕事の内容は、山下研究室の研究内容とも近いので、自分が研究してきたことを活かしたいと思っています。
イさん 私は研究者になりたいので、ずっと研究を続けていきたいと考えています。就職するにしても、一般の企業への就職はあまり考えていません。リアルタイムで自動走行するクルマ、そのためのシステムをつくりたいです。
朝倉さん 私は、とりあえず2年後は就職かなと考えています。人からお金をもらって研究するのは、プレッシャーがあるので、自分には向いていないと感じているからです。もともとは海外に駐在する仕事に憧れを持っていましたが、山下研究室でいろいろな先輩のお話を聞いているうちに、研究室に関連する企業にも興味が湧いてきました。今はその両方で考えているところです。
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