時間外には受注者に電話やメールなどはしない

現場でチェックする秋森さん(本人提供)
――秋森さん、建設監督官としての業務はどうですか?
秋森さん 私は南国安芸道路について、完成した工事も含めると21件の工事を担当しています。建設監督官は今回が初めてですが、私も以前に出張所で監督員として現場に携わったことがあるので、とくに抵抗はありませんでした。施工業者の方々は、しっかりした技術者が多いので、逆に私が教えてもらいながら、仕事を進めていくこともあります。
――建設監督官として心がけていることはありますか?
秋森さん 現場がスムーズに、前向きに進むことが一番大事だと思っているので、発注者と受注者が対等な立場に立って、足並みを揃えて協力できる環境づくりを心がけています。
――住民対応などについては、どうですか?
秋森さん 対応が難しい住民の方とはまだ関わったことがないのですが、何かあったときに、すぐに対応できるようには努めています。たとえば、住民の方から「現場近くの水路の掃除をしてほしい」というご要望をいただいたときには、受注者にご協力いただいて、対応したということがありました。住民の方にはスゴく喜んでいただきました。
――施工業者から教えてもらったこととしては、どういうことがありますか?
秋森さん コンサルの設計成果をもとに工事発注するのですが、実際に現場に入ってみると、施工ヤードがスゴく狭いということで、受注者から提案を受けて、協議しながら、施工計画を変更したということがありました。
――働き方改革への対応についてはどうですか?
秋森さん 遠隔臨場を積極的に取り入れたり、工程会議をリモートで実施したりしています。現場によっては、ARを駆使したわかりやすい協議資料をつくってもらっています。当たり前のことですが、時間外には受注者に電話やメールなどはしないよう心がけています。
昔に比べれば、提出書類は減っている
――提出書類の簡素化は進んでいますか?
秋森さん 「土木工事書類作成マニュアル」があるので、基本的にはこれに則って作成することになっています。あとは、「工事関係書類等の適正化指針」というものもあって、この書類は受注者が作成するのか、発注者が作成するのかといったことが定められていますので、お互いの書類作業を簡素化できるように努めているところです。
成岡さん 昔に比べれば、こちらが提出を求める書類の量は減っていると思います。以前は、担当者によっては、参考資料として大量のバックデータを求めるケースもあったそうですが、最近は、余計な資料はなるべく求めないよう指導が入っています。
秋森さん 今はASPの電子決裁を導入しているので、昔の紙ベースでの決裁に比べれば、時間的にもかなり短縮されていると思います。
楽しくもあり、苦痛でもある(笑)
――単刀直入に聞きますが、四国地方整備局の仕事は楽しいですか?
成岡さん 楽しくもあり、苦痛でもあります(笑)。楽しいのは、現場でなにかあったときに、あれこれアイデア出しができることです。自分が出したアイデアがちゃんとハマったときには、やりがいを感じますし、業者さんや住民の方からお礼の言葉をいただけると、なお良いです。その一方で、なかなか良いアイデアが出なくて、長い時間悩んでしまうようなこともあります。そんなときは苦痛に感じます。
――イマドキの若者論の一つとして、引っ越しを伴う転勤をイヤがるというのがありますが、転勤についてはどうお考えですか。
成岡さん 私はイマドキの若者とまったく同じ考えです(笑)。「転勤はなるべくしたくない」と思いながら、40年間仕事をしてきました。家族の事情と高知県が大好きという事情があったからです。そのうちの転勤生活は10年間ほどです。
高知出身なので、地元のために働きたいという思いが強いことと、地元の方とのコミュニケーションをとるに当たって、濃密な地元情報を常に収集し、それを持って接すると、地元の方々が心を開いてくれることが多々あるように思い込んでいます(笑)。
転勤してしまうと、その地元に関する情報が乏しい状態で仕事をすることになりますし、私としては心細い環境となりトラブルになるのではと思い込んでいます。都合のいい思い込みかもしれません(笑)。
――秋森さん、仕事は楽しいですか?
秋森さん 楽しいです。先輩からも「建設監督官は楽しいよ」という話は聞いていたのですが、実際にやってみて、最前線の現場に携われるのは、やはり楽しいと感じています。
――では、ツラいことはないということですね。
秋森さん もちろん対応が大変な現場というものはありますが(笑)、そういったことも含めて、仕事全体としては楽しいということです。南国安芸道路という規模の大きな事業に携われるからです。
――引っ越しを伴う転勤についてはどうですか?
秋森さん 家族帯同での転勤や単身赴任も経験しましたが、基本的には四国内の転勤なので、週末を利用して帰省することができます。そういう意味では、転勤がスゴく苦に感じるということは、私の場合はあまりないです。
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