3D図面を施工計画や出来形・品質管理に活用

大成建設が作成した3Dデータ(大成建設提供)
――デジタル技術関連の取り組みはどうなっていますか。
矢部さん 構造物のCIMデータを発注者様からいただき、当社では、そのデータをもとに、設計照査や施工計画に活用しています。現場での機械の配置などに関する3Dデータを作成し、機械同士の干渉などをチェックしているほか、協力会社などとの打ち合わせにも活用しています。
今後は、鉄筋やコンクリートスランプなどの出来形品質データなども入れた3D図面を作成し、工事完了の際に納品することで維持管理などに活用していく計画です。iPadのアプリでも完成時の3Dデータなどを確認できるようにしているので、新規の入場者などに対して「完成形はこうだ」と手軽に説明することができます。
杭打ちに関しては、3次元の測量管理システムを活用しています。従来の杭打ちでは、2方向にトランシットを置いて、2人の測量士が杭の傾斜などを誘導しながら、オペレーターが打設していましたが、この管理システムは、トータルステーションのカメラとモーターで自動追尾できるようになっていて、連続的に自動で杭の位置や傾斜などをガイダンスできるようになっています。「何cm北に」というように数値で指示するので、精度が高いですし、人員も削減できます。
一番大きなメリットは、取得したデータはネットワーク上で共有できるようになっているので、その場にいなくても、タブレットやパソコンで状況を確認することが可能なことです。どこにいてもリアルタイムで情報共有できます。
今後の工事で言うと、地上より上の躯体コンクリート部分については、設計段階からプレキャストコンクリートブロックを使うことになっていますが、これを施工する際にも、自動追尾によるガイダンスシステムを活用することを計画しています。
――プレキャストは今のトレンドなんですか?
矢部さん 今後増えていくと思います。現場での作業時間を減らすという点では、やはり効果的ですので。工場での品質管理や運搬時の欠損防止、据付け精度といった新たに検討が必要な項目はありますが、工期短縮、生産性向上には大きく寄与するので、採用できるところは積極的に採用していく流れになると思っています。

大成建設が作成した3Dデータ(大成建設提供)
コアでない書類業務は本社支援室にお任せ
――働き方改革への対応はどうですか?
矢部さん 社員については、たとえば、早出した者は夕方には帰れるようシフトを組むといったことをやっています。協力会社さんについても、職長さんを3名ほど入れて、交替で休みが取れるよう話をしています。早出や残業をしなければならないときもありますが、月の残業が45時間を超えないよう努力しているところです。
とは言え、なかなか難しいです(笑)。GWや盆休みというところで長い休みが取れるようにはしていますが。
安全書類の作成や写真整理といったコアではない内業については、本社に作業所支援室という現場を支援する部署があるので、そこにお願いしています。支援室には、現場経験を持った社員が集中的に入っています。
――完成に向けてコメントをお願いします。
矢部さん 工程管理はもちろん、良いものをつくってお納めしたいというのが一番です。それが私の使命だと思っています。
そのためには、確実な施工計画を立てて、発注者様としっかりコミュニケーションを取りながら、進めることが重要であると思っています。一筋縄ではいかない現場ですが、海洋・河川や地盤に関する専門的知識を有する支店の部署から技術的な支援を受けながら、自分の経験をフルに活用して、その使命を果たしていきたいです。
自由に自分の意見を言える風土が一番の魅力
――ところで、矢部さんは入社何年目ですか。
矢部さん 10年目です。
――大成建設という会社の魅力をどう感じていますか?
矢部さん 社内では「自由闊達」ということがよく言われているのですが、その言葉通り、若い社員であってもなんでも好きな仕事をさせてくれる、なんでもチャレンジさせてくれる会社だと思っています。一担当者の意見であっても、会社としてちゃんと検討してくれるし、上司部下関係なく、自由に自分の意見を言える風土があります。そこが一番の魅力ですね。
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