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「日本中に好立地を生み出す」群馬県での地域共創プロジェクトで、ハウスメーカーから総合デベロッパーへ

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長井 雄一朗
公開日:2024.02.21
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株式会社オープンハウスグループ事業開発部長の横瀬 寛隆氏

株式会社オープンハウスグループ事業開発部長の横瀬 寛隆氏

目次
  1. 地域課題解決に挑戦し、循環を取り戻す
  2. 温泉街の再生に"企業版ふるさと納税"を活用
  3. 新アリーナ「オープンハウスアリーナ太田」は太田市民の拠り所に
  4. 桐生南高校跡地をレンタルスペースに
  5. みどり市の国民宿舎の設計・運営も担う
  6. 街づくりが戸建て事業とのシナジー効果を生む

株式会社オープンハウスグループは、主力の戸建事業で用地の仕入から施工、販売の製販一体体制を整備、顧客に対して好立地に手の届きやすい価格で住宅を提供することで大きな存在感を示してきた。

首都圏のほか名古屋、関西、福岡にも営業エリアを広げ、マンション、収益不動産、アメリカ不動産も含めて、住まいや暮らしに関連する各種サービスを展開する同社が、社会貢献として取り組む「地域共創プロジェクト」に注目が集まっている。日本は少子高齢化や人口減少などの社会課題を抱え、特に地方は投資や人流の循環が弱まっている。オープンハウスグループは、地方で街を再生し、人流を作り、仕事を生む循環を取り戻し、「日本中に好立地を生み出す」という壮大で持続可能な社会の実現に向けチャレンジ中だ。

群馬県のみなかみ町の温泉街の再生や太田市でのスポーツを核とした街づくりなど、ハウスメーカーとしての枠組みを超えた幅広いプロジェクトに取り組むオープンハウスグループ事業開発部長の横瀬寛隆氏に話を聞いた。

地域課題解決に挑戦し、循環を取り戻す

――ハウスメーカーのイメージが強いオープンハウスグループですが、なぜ地域共創事業に取り組まれているのでしょうか。

横瀬 寛隆氏(以下、横瀬氏) 都心には人や仕事と様々なものが集まり、いい循環がなされています。オープンハウスグループもこうした首都圏を中心とした都市圏で、ビジネスを展開してきました。ですが、日本が持続的に成長していくためには、都心の周辺にも目を向けていく必要があると考えたためです。

そこで、オープンハウスグループでは5年ほど前から地方での街づくりに取り組みはじめました。まち・ひと・しごとの循環が途切れかけつつある地方で、まちづくりを通してその循環を取り戻し、人が居住を続けられ、仕事を生み出すことで、最終的には本業の住宅販売につなげていく考えです。

持続可能な社会の実現に向け「地域共創」に取り組む

持続可能な社会の実現に向け「地域共創」に取り組む

――地域共創プロジェクトを見ると群馬県がメインですね。

横瀬氏 オープンハウスグループの創業者・荒井正昭社長の出身地である群馬県内で積極的に地域共創プロジェクトを進めています。きっかけは、群馬銀行や地方自治体から「こういう物件があり困っているのですが、何とかなりませんか?」との相談が寄せられたことが始まりです。オープンハウスグループとしても、まずは地縁のある群馬県で地域の課題解決に向けた取組みを始めることで知見を蓄え、いずれは他県への展開を目指しています。

温泉街の再生に”企業版ふるさと納税”を活用

――次に個別の地域共創プロジェクトの内容を伺います。まず、みなかみ町の取組みから教えてください。

横瀬氏 みなかみ町は、首都圏の水がめの機能を持つ利根川の源流域に位置しています。また、年間を通して、様々な特性のある温泉を楽しめる温泉街が点在しており、夏は利根川を中心とした水のアクティビティ、冬はスキーが楽しめる観光地として栄えてきました。

しかし、バブル時代には社員旅行先として人気のあった水上温泉も、バブル時代が終わると団体旅行から個人旅行へとシフトし、大宴会会場を持つ旅館は取り残され、廃墟化が進んでいきました。また、スキー場も最盛期には多くの観光客が訪れた時期がありましたが、現在はその数が大幅に減少しました。

こうした一連の課題を解決するために、オープンハウスグループがみなかみ町の地域共創プロジェクトを開始したのが2018年の春です。町役場に課題をヒアリングしたところ、「温泉街の廃墟は民間が所有しているため、行政としては手が出せない。また、第三セクターが運営しているスキー場が年々赤字で、このままでは今年でたたむ可能性がある」とのことで、協力の要請がありました。そこでみなかみ町、群馬銀行、東京大学大学院、オープンハウスグループの4者で「産官学金包括連携協定」を結び、連携することになりました。

“水上温泉街廃墟再生事業”では、建物はいったん前所有者からみなかみ町に寄付され、オープンハウスグループは土地と一部の建物を引き取ります。建物の解体は民間がすべて実施すると多額の費用が必要になりますが、国も積極的に観光地の廃墟を減らす方針で、観光庁は補助制度を創設しており、この制度を活用することとオープンハウスグループがみなかみ町へ地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を実施することで、町と我々の負担を最小限にするかたちで段階的に解体・再生を行っています。

水上温泉廃墟再生事業のイメージ / 出典:みなかみ町資料

水上温泉廃墟再生事業のイメージ / 出典:みなかみ町資料

この企業版ふるさと納税は2016年度に創設された制度で、企業が地方自治体の地方創生の取組みに寄付をすると、法人関係税から税額を控除する仕組みです。2020年4月の税制改正で、当初約6割だった税の軽減効果が、最大約9割まで引き上げられました。みなかみ町やのちに説明する太田市の事業については、企業版ふるさと納税を活用することで、通常と比較して負担は1割と大幅に抑制されました。

企業版ふるさと納税の内容 / 出典:内閣府地方創生推進事務局パンフレット

企業版ふるさと納税の内容 / 出典:内閣府地方創生推進事務局パンフレット

事業を実施している場所は温泉街再生拠点の旧一葉亭(旧ひがきホテル)で、遊技場はすべて解体が完了し、新館は1階を除きすべて減築を終えました。かつては人の往来も多く、旅館も増改築を繰り返していましたが、これからは人が増えていく時代ではないので、最適な規模に抑制していく方針です。

一部解体した「旧一葉亭」

一部解体した「旧一葉亭」

みなかみ町は、2023年12月18日に旧一葉亭の対象施設を宿泊や飲食等の観光施設として活用する事業者を選定する公募をしました。旧一葉亭を活用する意向のある民間事業者による見学会、2024年2月から3月末までの応募書類受付などを経て、2024年5月に優先交渉権者を決める日程が組まれており、2026年以降に旧一葉亭をリニューアルした上での運営開始を目指しています。

新たな施設の内容は、街の中へ積極的に出ていけるような宿泊施設として、地元の住民やお子さんが気軽に立ち寄れ、街の周遊を活発にできればと考えています。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
「日本中に好立地を生み出す」群馬県での地域共創プロジェクトで、ハウスメーカーから総合デベロッパーへ 「日本中に好立地を生み出す」群馬県での地域共創プロジェクトで、ハウスメーカーから総合デベロッパーへ

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