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【砂防職の魅力を探るvol.3】国土交通省入省3年目 土谷麻菜さんのケース

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公開日:2024.06.03
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道路と砂防はおもしろさのジャンルが違う

――最初の配属先はどちらでしたか?

土谷さん 中国地方整備局広島国道事務所の計画課でした。

砂防職なのになぜ道路配属なのかについては、配属される前に、砂防部の方から説明を受けました。その内容としては、国交省で働いていくなかで、砂防だけでなく河川や道路事業などにも関わる場合があり、いろいろと経験しておく必要があるというものでした。

新人の1年生が1年間だけ業務を経験したところで、どれだけ身に付くのかというのは気になるところですが、とりあえず納得して、仕事しました。

――どのような仕事を担当しましたか?

土谷さん 新規道路の事業化のための調査や開通した道路のPR(事業効果)といった部分の仕事に関わりました。たとえば、西条バイパスの4車線化の事業調査とか、開通した東広島安芸バイパスのセレモニーやPRといったことです。

――逆に、「あれ、道路のほうがおもしくね?」と思っちゃったということはなかったですか?

土谷さん (笑)。「おもしろさのジャンルが違う」とは思いましたね。たとえば、道路は、防災以外にも、経済効果といった視点で事業を見ているのですが、それは砂防にはあまりない視点なので、それはそれでおもしろかったです。ただ、それはそれとしても、「砂防の仕事をやり続けたい」という気持ちに変わりはないです。

――砂防職はキズナが強いそうですが。

土谷さん それはそうだと思います。私が広島国道にいたときも、広島県内のほかの職場に砂防職の先輩の方が何人かいたので、砂防職同士で集まって、飲み会をしたりしていました。その先輩のはからいで、広島の砂防堰堤を見て回る機会もありました。

――意外と、属人的なところで物事が決まっていくことがあるんですね?

土谷さん そうですね(笑)。

――休みの日はなにをしていましたか?

土谷さん 自分のクルマを持っていなかったので、電車で行ける範囲で、お買い物したり、散策したりしていました。中国地整に出向中の総合職の新人職員の何人かとつながって、一緒に遊びに行ったりしました。あとは、祖父母の家が隣の県にあったので、夏休みなどにバスで遊びに行ったこともありました。

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ハードソフトの区別なく、砂防全般の仕事に携わる

――次の職場はどちらに?

土谷さん 大阪府庁に出向しました。都市整備部河川環境課砂防グループというところで、いろいろな調査ものの処理とか、大阪府砂防協会の事務局をやったりしました。

――仕事はどうでしたか?

土谷さん グループの職員数は6人と比較的少人数だったので、ハードソフトの区別もなく、全部の仕事に関わることができたのは、良かったなと思っています。もちろん、わからないことだらけなので、上司に教えていただきながらではありますが、自分なりに頑張りました。砂防の現場を見に行く機会も何度かありました。

――大阪府の砂防事業はどんな感じですか?

土谷さん 砂防事業としては大阪北部や南河内での事業が多いです。大阪というと都会がイメージされるかと思いますが、生駒山地や金剛山地など、意外と山が近くにあります。あとは、急傾斜地崩壊対策事業が多いですね。

――休みの日は?

土谷さん 相変わらずクルマを持っていないので、電車で行ける範囲で、お買い物に行ったりしています。府の方にいろいろとおすすめのお店やスポットを教えてもらって、そこに足を運ぶことも多いです。

初めての現場監督で緊張の毎日を送る

土谷さんと砂防堰堤の現場(本人提供)

土谷さんと砂防堰堤の現場(本人提供)

――その次は?

土谷さん 今の職場です。大阪府都市整備部で1年間勤務して、その出先である富田林土木事務所建設課河川砂防グループに異動しました。千早赤阪村にある砂防堰堤の新設工事や、急傾斜地工事の現場監督などを担当しています。

砂防堰堤を新たにつくる予定で、今年度はそのための付け替え道路工事と新たな急傾斜地工事を私が発注することになっています。あとは、委託業務として、土砂災害防止法の基礎調査と、砂防堰堤の全体計画づくりを担当しています。

――現場監督はどうですか?

土谷さん 上司もいるのですが、それぞれの業者さん、現場代理人さんとのやりとりなどは、私が担当しています。現場で日々いろいろなことがあるので、緊張の毎日を送っています(笑)。たとえば、砂防堰堤を山に付ける際は、どうしても設計と合わないところが出てきます。そこは業者さんだけでは判断できないので、発注者であるわれわれが現場を確認して、判断する必要があります。その辺の判断はなかなか難しいです。

――国の仕事と自治体の仕事の違いをどう感じていますか?

土谷さん 砂防事業は、基本的に都道府県がやる事業なんです。規模が大きく複数の都道府県に跨っているとか、深層崩壊が発生した箇所で技術的に都道府県がやるのが難しいとか、特殊な事情がある場合に国の直轄事業になります。

急傾斜地事業に至っては、直轄事業はありません。都道府県のみです。土砂災害のレッドゾーン、イエローゾーンの指定も都道府県知事が行います。今まさにそういった都道府県での事業に携わることができ、勉強の毎日です。

砂防職は「土砂災害から人々を守る先端の場」

――砂防職の魅力について、どうお考えですか?

土谷さん 土砂災害に対して、人々を守るための仕事ができることだと思います。日本には土石流やがけ崩れなどが起きやすい地形が多くあり、そうした地形が暮らしの場になっています。

土砂災害対策は日本の暮らしに必要な技術である一方で、研究段階の部分があり、また社会情勢も刻々と変化しています。砂防職は最新の技術と社会状況を把握し、土砂災害から人々をどのように、どうやって守っていくのかを考える先端の場の1つだと思います。

もしかしたら目の前の仕事はいろいろかもしれませんが…、人の命や暮らしを守るための仕事だと誇れることが魅力だと感じています。

私の場合、自身のやっていることが自身の認識のうえで社会に対して無意味であれば、きっと続けられないだろうと思います。その点、土砂災害対策というのは私としては社会に必要だと言い切れます。それに携わる砂防職の仕事はこれからも続けていきたい仕事です。

――女性の技術系総合職のキャリアパスについて、どうお考えですか?

土谷さん 現時点で、私自身は女性だからということで、なにか特別なことを考えているわけではないです。ただ、一般的なところでキャリアパスに大きな影響のある出産のことについては、流れてくる情報があるので、どのタイミングで育休を取るとか、ある程度はわかっているつもりです。工夫をすれば、ある程度計画的にまとまった休みを取ることはできるとは思っています。

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この記事を書いた人

四国の犬
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基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
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