現場での違和感
これは数年前、プラント建設工事現場で安全担当の仕事をしていた時の話だ。
当時所属していた会社には、7社の下請け業者がついており、常に60人前後の作業員が働いていた。私は初対面の人たちばかりだったが、会社としては下請け業者7社すべてと過去やり取りがあり、所長や他の職員はほとんどが顔見知りだった。
過去にやり取りがあったとはいえ、付き合いの深い浅いがあるようで、それぞれの下請契約の形態は少しづつ異なっていた。直接契約で動いているサブコンもあれば、二次、三次と形としては孫請けになってる業者もあった。
現場に入ってすぐ、私は違和感を覚えた。下請け業者の1社と所長との関係性が、誰がどう見ても他の下請け業者と違っていたからだ。
不公平な扱い
その下請け業者の職長は、決まった担当者がいるにも関わらず、あらゆる相談をすべて所長に直接持ちかけ、所長もその職長の意見に反論も注意もせず、すべてそのままOKを出していた。
担当者が何かの指示を出しても、それに対する意見はすべて所長に伝えるありさまで、間に入っている担当者は透明人間のような扱いをされていた。
周りの人間もその違和感を感じ取っていたため、他の下請け業者の人間からは「扱いが違い過ぎる!ちょっと変だよな!」と案の定評判は最悪だった。
下請け業者の連中が不公平感を抱いているのは非常にマズイ!と感じていたが、職長と所長は相変わらずで、現場が進むにつれ癒着はさらにひどくなっていった…。