ふてくされた態度を示す「鉄筋工の職長」
工期も半ばになった頃、3階の床コンクリートを明日に控え、打ち合わせの席で、問題が明らかになった。
「3階床の鉄筋のほうは大丈夫か?人間が足りてないんじゃないのか?」と言うN主任の言葉に、鉄筋工の職長が半分ふてくされた顔で「もともとこんな工程じゃ無理ですよ」と答えた。コンクリート打設の前日なのに、開き直った言い訳だ。彼の年齢は30歳前くらい。
彼は最初から冷めた人間だった。実は、現場がスタートして間もない頃、メインの躯体業者の職長が集められ顔合わせがあった。この席で、各々の自己紹介と抱負の発表が行われたのだが、私は「鳶工事を担当します。ここで会ったメンバーは、各会社から選ばれて派遣された職長だと思います。たまたま行き会っただけという訳ではないはずです。ここにいる私たちがけん引役になってこの現場を盛り上げていきましょう」と話した。
ほとんどのメンバーは賛同したのだが、その中で、この鉄筋工の職長だけは私の方を見て、何を偉そうに言ってるんだ、たまたまここで行き会っただけじゃねえか、という顔で私を見ていたヤツだった。厳しい工程を必要に応じて増員や残業などで何とか間に合わせてきた他職の職長たちの努力は、ここで寸断されようとしていた。
工程の大事さと、今まで努力してきた皆の気持ちを代弁したかのように、N主任は「今からほかの現場からでも職人を呼べないのか?」と鉄筋工の職長に問いかけた。しかし、彼の口からは「無理です」と、冷ややかで無気力な返答が返ってきた。
打ち合せの席には、マズい空気が流れた。ある職長は「俺らがここまで頑張ってきたのにふざけんな」と、言わんばかりの表情。打ち合せの司会をしていたN主任の顔色も良くない。しかし鉄筋工の職長はあくまでも自分の責任じゃない、俺は関係ないと言いたげな素振りだ。
職長会組織の役割とは何か?
人手が足りず、このまま床の鉄筋の工事が進まないと、明日のコンクリートが打てる状況にならない。
こんなピンチの時こそ、現場の中心者を立てることに徹しなければ!
私は手を挙げて「N主任、鉄筋屋さんが足りなければ、私ともう一人の若手が手伝います。鉄筋の結束は下手かもしれないけど、鉄筋の揚重やスラブ筋を運ぶことぐらいはできます」と発言した。次の瞬間、設備の職長、あの茶髪の職長Kが「あの……。うちも4~5人は、午後から出せます」と加勢してくれた。そして、彼を口火にうちも2人、俺も3人と、いつも口うるさい鍛冶工のオヤジまでもが、俺もやりますと、次々に手を挙げた。
普段からみんなに声を掛け、彼らの現場に対する何かしらのストレス解消のために気を使い、自ら行動して来た結果が、一人、また一人と良い方向へと変革させていった。結局、十数人の有志たちが午後から、にわか鉄筋工として手伝うことになった。この時のやり取りを見ていたN主任は、顔を赤らめて「この床のコンクリートの工程はキープランから見ても、とても重要なポイントなんです。大変に助かります!」と、眼にうっすらと光るものを浮かべていた。そして「よし、今から○○に電話をしてハッカーを20本取り寄せろ!お前らも午後からは鉄筋屋だ!」と、鉄筋工事を担当していた若手職員にもゲキが飛んだ。
この日の午後、3階のデッキ上は職員をはじめ、いろんな職種の職人で賑やかだった。そして、額に汗するそれぞれの笑顔はみんな輝いていた。困っている人や、仲間に対して自分が何かをしてあげられること以上の本当の幸せを感じることはない。この気持ちを参加してくれたみんなが実感できた。作業終了後、N主任はみんなに「ありがとう、おかげさまで明日、床のコンクリートが打設できます」とお礼を言ってまわっていた。
現場は生きている!
職長会に力があれば、現場トップの考えをベースに、最高の環境を作り上げることが可能だ。
余談だが、この現場では、職長同士でホットプレートを持ち寄り、低予算で焼き鳥パーティーを何度か開催した。鶏肉とネギは近くのスーパーで買い込み、会を重ねるたびに参加人数も増えて盛り上がっていった。忌憚のない意見はどんどん出てきたが、後ろ向きの話は皆無に等しく、新しく入ってくるメンバーもすぐに打ち解けあい、何でも話せる風通しのよい組織ができあがっていった。
そして、スーパーマーケットの建設工事は無災害で、めでたく竣工を迎えた。その後、同じ敷地内に計画されている中高層マンション、超高層マンションの建設工事が続いていくが、スタッフが入れ代わっていく中で、担当者、責任者のカラーが出てくる。トップの考え方が違うと、職長会組織に能力があっても、その力を生かすことができずに組織が崩壊をはじめていくこともある。現場組織も、職長会組織もトップの決意と指導力、そして信頼関係が大きな役割を果たすことに変わりはない。
現場は生きている、いや、生かさなければならない。
今の時代、たとえば躯体の最終形コンクリート打設に対しても、職員自体の危機感が薄れてきているような気がする。多少のトラブルや手配ミスなどで、どんどん工程がずれていく。1つの問題で半日、1日と平気で工程を書き換えるから、工程表自体が力を失い、ただの紙切れ、紙屑状態になって、最終的には大事にされなくなっている。これこそ、現場の負の連鎖ではないのか?
みんな、熱くなれ!コンクリートだって水とセメントの化学反応によって熱くなって、そして強度を増してゆくのだ!
まずは、明日の朝礼で褒めたい人材、宝の原石を、みんなで探そう。それが現場をポジティブに変え、信頼関係を築くことにつながると思う。
私、鉄筋工なんですけど、この状況じゃ明日コンクリ打てないなんて事をほざいてる時点でクソ無能セコカンでしょう・・・つーか、脳内作文じゃないの??あ、記事書いてる人は鳶?足場鳶か重量鳶か知らないけど、すっごくウソ臭いですね。
これが物語だったとしても良いものです。
逆に現場において協調性なく否定的な貴方は
どれほど優秀なのですか?
現場は生き物だし多種多様な人間がいる。
このような職人を上手く使うのも大事なことなので、
私は今日から褒めるところを探し発表する朝礼をしようと思いました。
素晴らしい発想だとをもいます。
作り話として面白いです。
こういう無理な工程を残業までして無理矢理納めるから元請けが現場の作業員の事を考えない工程を平気で引いていく。
そして、そういうことが建設業の魅力低下に繋がっていると思う。
こういう話を聞くとやはり若い人には建設業は薦められない。
美談にするのでは無く発注者に余裕のある工期で発注する様に呼び掛けることが大事だろう。
この人がどうかは別としてでかい現場ほど職長会なんてのはお遊戯会の延長線でしかなくなる。
使えもしないパソコン並べて、偉そうなだけで空っぽの頭で喫煙所の清掃当番について真剣に話し合う。特別な人間であるかのように部屋まで与えられて1日そこでスマホゲーやネットサーフィンしてる馬鹿ばっかり。
いい大人が掃除当番のことだけで何時間も。笑っちゃうよ。
他社に鉄筋結束させるとか品質管理上も指揮系統としても大間違い。違法もいいとこ。
こんなの書くくらいだから冒頭に言った無意味な職長会のおやまの大将ってことだ。
その通りですね。
清掃や現場内の表示なんかでずーっと時間かけてますもんね。
めんどくさい物は設備、電気に丸投げ
楽しそうで羨ましいです。
ただの願望を工程に反映させた結果かと。
契約書に工期が明記されているはずなのにこのような事態になったということは契約工期と実際の工程に乖離があったか発注者としての優位な立場で強引な契約を行ったかではないでしょうか。
元請の担当は歩掛計算とコンプライアンスの勉強からやりなおしてどうぞ。
アルバイトにも経営者意識を!
ってフザけた話を思い出したわw
キツイ工程を無理やり熟しての満足感と達成感で熱く語ってますが、そもそもこの工程の組み方が間違えてるし、業者も工程歌ったのに熟せない現状の駄目な現場って事でしょ未熟者怪我人出たらって考えると良くやらしたなって思いますけどね
根本的考え方可笑しいですよ、右へ習えの典型的日本人ですね、だからこう言う事になるんだと思われます
前日に無理行ってる時点で監督職方無能だと思う。
他職に人貸せるほど暇なら他の現場応援行けと思います。