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【一建設】長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建住宅の供給を全国展開

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長井 雄一朗
公開日:2024.10.09
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左から一建設 執行役員の鈴木里司氏、一建設 生産管理本部設計部次長の茂庭光広氏

左から一建設 執行役員の鈴木里司氏、一建設 生産管理本部設計部次長の茂庭光広氏

目次
  1. 2024年度の分譲住宅の供給は1万500棟へ
  2. 「断熱性」「耐震性」が住宅トレンド
  3. 長期優良住宅は分譲住宅の8~9割
  4. 長期優良住宅ではローン金利引き下げなどメリットも

年間46,000戸以上の住宅を供給する飯田グループホールディングスの中核企業である一建設株式会社(東京都豊島区)は、国土交通省が普及促進する長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建住宅の供給を2024年8月から全国の営業エリアで順次開始した。分譲戸建住宅のうち8割から9割を同制度に対応させる予定だ。

「長期優良住宅認定制度」とは、長期で良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅の建築・維持保全に関する計画を「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき認定するもの。2009年6月4日から新築住宅を対象とした認定を開始している。「長期優良住宅」として認定を受けるためには、8つの認定基準をクリアする必要があり、認定を受けた場合、住宅ローンなどの金利優遇、税金面の優遇が得られる。

一建設はこのほど、東京都・豊島区の本社で「長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建住宅の供給開始に伴う記者説明会」を開催。長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建住宅の供給や今後の住宅トレンドについても解説した。

2024年度の分譲住宅の供給は1万500棟へ

まず記者説明会の冒頭、執行役員の鈴木里司氏が一建設の概要説明から入った。同社の2023年度の売上全体では合計3,315億円で、うち分譲戸建住宅事業が2,770億円と全体の約83.6%を占め、マンション事業が約273億円(約8.3%)、注文住宅が約127億円(約3.8%)、その他事業が約143億円(約4.3%)の構成比で続く。

分譲戸建て住宅は2023年度では年間約9,000棟を供給し、「ちょうどいい(サイズ・性能・価格)」と3つのコンセプトで提供している。また、コンパクトで無駄をなくした32坪の住宅を供給。新たな取組みでは市場動向と顧客の声を踏まえ、経済性や省エネに配慮し、約30坪の住宅「デザイナーズエコ」の供給を2022年度下期より開始した。ちなみに2024年度の分譲住宅の供給は、1万500棟を目標に置く。

また、2022年4月以降の確認申請分より、国土交通省が指定した第三者機関が、住宅の安心・安全度合を客観的に評価する「住宅性能表示」の5分野・7項目で最高等級取得を標準化している。また、土地の仕入れ、住宅図面の作成、地盤調査、基礎工事、躯体工事、建物の引き渡し、入居後のアフターサービスまですべての作業工程を自社で直接管理。飯田グループHDのスケールメリットも活かし、資材をはじめ、キッチンなどの設備機器もグループ会社から仕入れているため、ちょうどいい価格を実現する。

「断熱性」「耐震性」が住宅トレンド

次に「今後の住宅トレンド」の内容を発表した。一建設は2023年度から、住宅へのニーズを把握し商品開発に活かすため、分譲⼾建住宅の購⼊者に対して意識調査を実施。「一戸建て分譲住宅を購入する際の意志決定に影響したと感じる情報」に対する問いでは、「一戸建てそのものの情報」がトップであったが、「地域のハザードマップ」が2位(前年3位)、「耐震性」が7位(同8位)へ、「断熱性」が7位(同12位)の項目で順位が上がった。今年当初での地震により耐震性の高さが示されたほか、住宅性能の向上そのものにとどまらず、経済的メリットにも関心が高まっていると分析した。

住宅性能表示制度については、「内容まで理解している」との回答は22.5%で、2023年度に実施した調査結果とほぼ変わらない結果となり、理解の促進が必要とした。また、物件を探す際に、「太陽光発電」については、「重視しなかった」が37.3%と最も多い反面、「太陽光発電」が備わっている新築一戸建て分譲住宅を購入した家庭では、「満足している」と「やや満足している」の合計では36.5%。一建設は、太陽光関連では国や地方自治体の方針に沿って取り組み、関心の高まりを期待する方針だ。

このほか平屋の分譲戸建住宅の購入者は、40代と50代が最も多い反面、20代と30代の購入者もそれぞれ約20%おり、平屋は幅広い世代に支持されていることが分かった。一建設は2023年度で約200棟の平屋の分譲戸建住宅を販売し、今後も継続して販売する予定で、2024年4月には東京都内で初めて平屋の分譲戸建住宅を引き渡した。

「以前は高齢者に支持されてきた平屋だが、若い層も望まれる理由には、間取り的に2階に上がらなくて済み、リビングから他の部屋からも近く、生活導線が使いやすいという意見がある。将来に向け、ご自身が高齢になった時をイメージされている点もある」(鈴木氏)

アンケート調査の発表後、生産管理本部設計部次長の茂庭光広氏が長期優良住宅認定制度を解説した。2009年6月から新築の住宅を対象とした認定が開始。2016年4月からは既存住宅の増築・改築を対象とした認定も開始され、また、2022年10月には既存住宅について建築行為を伴わない認定も開始された。

「長期優良住宅の供給については始まった当初から検討してきたが、社内の体制が整ったためこのタイミングで本格的に行うことになった」(鈴木氏)

「長期優良住宅の仕様と住宅性能表示制度が一緒のため、仕様の変更がなく認定の取得が可能であるため、導入に至った」(茂庭氏)

長期優良住宅は分譲住宅の8~9割

長期優良住宅として認定されている住宅の基準は、大まかに次の5点だ。

  1. 長期に使用するための構造および設備を有していること
  2. 居住環境等への配慮を行っていること
  3. 一定面積以上の住戸面積を有していること
  4. 維持保全の期間、方法を定めていること
  5. 自然災害への配慮を行っていること

新築戸建て住宅の認定基準では、「劣化対策(劣化対策等級3)」「耐震性(耐震等級3以上)」「省エネルギー性(断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6)「維持管理・更新の容易性(維持管理対策等級3)」「居住環境(所管行政庁が審査)」「住戸面積(75m2以上)」「維持保全管理(点検・補修等に関する計画を策定)」「災害配慮(所管行政庁が審査)」の8項目に及ぶ。

一建設は、長期優良住宅としての認定を受けるため、一部を除き認定基準をクリアして供給する。長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建住宅の供給を開始する背景では、脱炭素社会に向け、長寿命でライフサイクル排出量が少ない良質な住宅ストックを形成することは、住宅を大量に供給する事業者に対応が求められる喫緊の課題といえる。顧客と共に住宅の維持保全に努めることは、一建設が事業領域で規定する「ライフサイクルサポート事業」の推進にもつながり、顧客にも経済的メリットのある長期優良住宅の供給は“三方良し”の取組みであり、持続可能で快適な住環境の提供を目指す。

分譲戸建住宅で標準化している住宅性能評価の一覧

分譲戸建住宅で標準化している住宅性能評価の一覧

また、2024年4月1日以降の確認申請分から長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建て住宅の販売も開始。2024年8月から引き渡しをスタートしている。一部、3階建ての物件、土砂災害警戒区域に指定されているエリアを除き、対象となるすべての分譲戸建て住宅で長期優良住宅として認定された物件を全国の営業エリアで対応する。

「長期優良住宅は流動的で一部除外はされるが、それ以外は長期優良住宅とする考えであり、肌感覚としては分譲住宅の8~9割の物件で進むイメージを抱いている。長期優良住宅を始めた点についてはおおむね好評で、さらに一つ売りになる要素になった。現時点では分譲住宅販売でプラスになりつつあることは間違いない」(鈴木氏)

長期優良住宅ではローン金利引き下げなどメリットも

顧客の視点では、長期優良住宅購入は「地震保険料の割引」「住宅ローンの金利引き下げ」「子育てエコホーム支援事業の補助金」「さまざまな税の特例措置」などのメリットを享受できる。さらには中古物件で売却した際、長期優良住宅の認定を受けていることで評価に差が出ることもある。耐震性、耐久性、維持管理の容易性などの証明にもつながり、流通する際にプラスに働く材料となる可能性がある。

また、長期優良住宅の供給により、建設業の働き方改革の影響について質疑応答の中で言及。

「一建設はかなり前から長時間労働を改善している。労働時間が短縮したことで現場が回らなくなることはほぼない。かなり前から過剰な業務をしないよう心掛けているため、特に影響はない」(鈴木氏)

一建設の長期優良住宅のメリット

一建設の長期優良住宅のメリット

質疑応答では、ZEHへの引き上げについても質問があった。

「ZEHとなると太陽光パネルを搭載し、創エネルギーの部分をクリアすればZEHになる。しかし、今、一建設が供給している建物すべてに太陽光パネルを載せることは、事業計画や経営観念上難しい。まず、東京都は2025年4月から太陽光発電設置を義務化するため、その施策をキッカケに状況を見極めながら、全国でどのように供給すべきかについて検討していきたい」(茂庭氏)

関連記事:【一建設】10年前から大工などの技能職を正社員化。次世代の育成にも成功

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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