型枠大工Dさんの”労災認定”を優先?
X労働基準監督署が「特定元方事業開始報告違反」を使用した理由は、推測ですが、型枠大工Dさんの救済を急いだためではないでしょうか。事故から5カ月もたっており、切羽詰まって相談に来たDさんの労災を認定して休業補償を得る必要があったのでしょう。まず、事故隠しを迅速に処理する必要があると判断したと思われます。
そこで、X労働基準監督署はA建設から提出されていた「特定元方事業開始報告」は実態と合わないので無効とみなし、実質的に工事を請け負っているゼネコンBを「特定元方事業開始報告違反」として東京地検に書類送検しました。同法違反について問えば、労働基準監督官による立ち入り検査が可能になります。
そして次に、ゼネコンBと同社専務取締役、下請け業者C工業らを労働安全衛生法違反(事故隠し)で書類送検しました。こうして、A建設とゼネコンBの丸投げを調査する時間を省き、迅速にDさんの労災を認定したのだと思われます。
ちなみに、特定元方事業開始報告とは、『実質的に工事を担う』建設会社が労基署に届け出なければならない制度です。このケースではゼネコンBが提出するべき報告書です。
建設業・造船業では同じ場所で多数の企業の社員や関係請負人が混在して作業をするケースが多いため、特定元方事業者は事業開始報告を所轄の労働基準監督署長に提出する必要があります。次のような事項を記載します。
- 常時使用労働者数(元方事業者の労働者数と関係請負人の労働者数の合計)
- 統括安全衛生責任者または元方安全衛生管理者の選任状況
- 工事の概要(建築面積や建屋の高さなど)
A建設については、この後の処分となりました。A建設がゼネコンBに丸投げしたことが事故隠しにつながったとして、X労働基準監督署はA建設について調査に入りました。
職人であるDさんへの温情とは違って、こちらは異例の刑事責任追及に乗り出したということでした。
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勉強になりました!
ためになる記事でしたw
行政関連の不正記事も見たいものですね!
素晴らしい。
労基署がもっと不正を暴けるよう、予算をつけるべきでしょう。