予想外のことが起きても、「現場を止めない」が最優先
――3現場ではこれまで、いわゆる「予想外のこと」は起きましたか?
西森さん こちらの3つの現場は、いずれも通常の改良工事と比べると、異色な工事というところがあると思っています。さきほどお話のあった仮設物の撤去ですとか、設計の段階で想定し得なかったところで、いろいろな予想外のことが起きているのが印象に残っています。基本的な計画、設計というものを、実際の施工にどう当てはめていくかということで、工種ごとに何度も打ち合わせを行いながら、なんとか進めているところです。私としては、「現場を止めない」ということを最優先に考えながら、やっています。
ここの現場は、いろいろ提案していただけるので、業者さんに恵まれた現場だと思っています。
――あまり前例がない橋梁補強及び歩道部拡幅工事についてはどうですか?
西森さん 橋梁補強及び歩道部拡幅工事については、当初の施工計画からまったく変わっているんです。当初は、ベントが4つ立っていて、ベントの途中に可動域があって、そこでスライドさせる計画でした。
ところが、静岡の落橋事故を受けて、より安全性、確実性を確保する必要が生じました。そこで、トラスガーターを上に乗せて、桁を動かしていく方式に変えました。ベント自体の規模や構造もガラリと変えました。当初の計画と比べると、川田工業さんのほうでほとんどの部分を検討し直してもらって、かなり骨太なモノになっています。
川田工業さんの現場に関しては、工事が一歩進むごとに、予想外のことに直面するという感じでした。川田工業さんには、それらにことごとく対応していただいています。
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予想外はあったり、なかったり
――施工者の視点で、予想外への対応というのはありましたか?
梅原さん 私的には、大きな予想外というのはありませんでした。小さな予想外については、工法の変更などで対応できています。
谷岡さん 予想していた場所に岩盤が出なくて、擁壁などの構造が変わってしまったということはありましたが、たまにある予想外なので、大きな予想外というものは、ウチの現場でもありませんでした。
藤井さん ウチの現場では、大きな予想外が2つほどありました。架設のために、クレーンを据え付ける作業構台を設置しているのですが、杭基礎のため削孔した際、地下水が吹き出してきて、施工できないということがありました。そのときは、工法を変更して施工しました。
ベントの基礎部分についても、実際に図ってみると、地耐力が足りないことが判明しました。地盤改良で対応できるところはそれでやって、対応できないところは杭基礎を施工しました。
――西森さんから、施工計画がガラリと変わったというお話がありましたが、よくあることなのですか?
藤井さん 当初の計画が変更になるのは、良くあることです。
完全週休2日はすでにデフォルト
――いわゆる働き方改革への対応はいかがですか?
西森さん 昔に比べると、事務所全体では進んでいます。私自身としては開通を直近に控えた南国安芸道路 高知龍馬空港IC~香南のいちICを担当していることなどもあり、忙しくてできていないときもあります。
梅原さん ウチの会社として、いわゆる完全週休2日、土日祝日は休みになっていいます。この現場も含め、完全週休2日はデフォルトになっています。現場の対応としては、職員の役割分担を明確にすることで、業務の効率化を図り、できるだけ定時に帰れるようにしています。この現場には、若い人も含め5〜6人の職員が配置されています。通常は2〜3人だと思うのですが、会社の方針として、多めの職員が配置されています。これも働き方改革への対応です。
実際、私も含め、この現場の職員はほぼ定時で帰っています。書類作成については、ペーパーレス化、電子化がだいぶ進んできていますし、測量など作業工程のICT化にも取り組んでおり、業務の簡素化、効率化を図っているところです。
下請け契約も土日祝日休みが前提条件
谷岡さん 当社も会社として、ずいぶん前から完全週休2日を実施しています。当初は、現場を土日祝日を休みにするのは難しいところがありましたが、ここ数年間は、発注者さんにもご配慮いただきながら、完全週休2日で実施してきています。この現場も完全週休2日でやっています。
現場ではいろいろなことが起きているので、定時で帰れない場合もあるのですが、できる限り定時で終わるように努力しています。たとえば、ICTの導入であったり、職員の役割分担だったり、省人化、省力化の取り組みを進めながら、やっているところです。
ただ、職員数については、この現場は私も含め3人ということで、ちょっときついところもありますが、なんとか努力はしています(笑)。
下請けさんも完全週休2日です。見積もりをする段階で、「この現場は完全週休2日なので、それを考慮した見積もりを出してください。土日祝日休みが契約条件です」と伝えています。
業務シェアにより、技術、ノウハウがウスれてしまう心配
藤井さん 当社も各社さんと同じような状況で、会社として完全週休2日でやっていますし、この現場も土日祝日は休みです。残業時間についても、会社としてかなりキビしく縛っていますので、この現場でも、業務をシェアしたり、効率化を図りながら、取り組んでいるところです。
ただ、個人的には、業務をシェアするということは、自分のパートしかやらないということになりかねないので、一つのことをネチッこくやる、マニアックに突き詰める、のめり込んでやる、といったことがウスれてしまうことを心配しています。そういうことを通じて、培われる技術、ノウハウもあると思っているからです。あと数年経てば、答えが出ると思っています。
「定時を過ぎているのに、連絡して良いのか」という悩み
――施工業者などとのコミュニケーションで気をつけていることはありますか?
西森さん ちょっとでも気になることがあったときは、雑談中でも、なんでも話し合うようにしています。業者のみなさんには「ちょっとシツコイな」と思われているかもしれませんが(笑)、ざっくばらんに話し合える関係づくりを心がけています。
ただ、業者さんに確認したいと思ったときに、それが定時を過ぎている場合、一刻も早く連絡したほうが良いのか、明日に回したほうが良いのか、いつも悩んでいます(笑)。
若い社員とのコミュは大丈夫だが、発注者とのコミュは「まだまだ」
――現場でのコミュニケーションで気をつけていることはありますか?
梅原さん 現場には22才、23才ぐらいの若い職員がいますが、私自身26才でして、そんなに年が離れていないし、バカ話などもしてくれるので、彼らとのコミュニケーションはうまくとれていると思っています。
発注者とのコミュニケーションについては、わかっていないこともあるので、「まだまだこれからかな」と思っているところです(笑)。
――定時を過ぎた連絡についてはどうですか?
梅原さん 私自身は、たとえ定時を過ぎていても、連絡しちゃいます。なので、発注者さんからの連絡も、定時を過ぎていたとしても、私は大丈夫です。