注文住宅・規格住宅の販売やリフォーム事業、フランチャイズチェーン事業を展開するアエラホーム株式会社(中島秀行社長)は建築家など外部とのコラボレートを強化している。第一に、建築家とつくる新たな住宅シリーズ「まちの建築家プロジェクト」をスタート、第一弾と第二弾と続きすでに8つのセミオーダー住宅の販売を開始した。
アエラホームは、「永く住み続けることができる本当の価値のある住まい」をテーマに設計コンペを開催。約100名の建築家が参加し、112作品の応募作品の中から、21作品を2025年末までに発売する意向だ。
また、昨年創業60周年を機に、2023年12月にカリフォルニア工務店(西村剛敏社長)とのコラボレーション商品「THE CA.」を発売した。「THE CA.」は、カリフォルニア工務店が提案する4種類のスタイル「サニーサイドハウス」「オーシャンフロントハウス」「ヒルトップモダンハウス」「ピークハウス」をパッケージ化した規格住宅。カリフォルニア工務店のデザインとアエラホームの住宅性能で、理想のライフスタイルと住まいの快適性、環境性能を実現した商品だ。
今回これらのコラボレーションの内容と高性能の時代について、アエラホームの企画開発部部長兼CSR室長の大森幹郎氏、設計部次長の柄沢隆一氏に話を聞いた。
「まちの建築家プロジェクト」がスタート
――まず、アエラホームの概要からお願いします。
大森幹郎氏(以下、大森氏) 新築注文住宅をメインにリフォーム、フランチャイズ(FC)事業を手掛けています。最近では、規格住宅に進出されているハウスメーカーもありますが、アエラホームも例外ではなく、規格住宅も一部販売しています。当社の強みとしては住宅の性能にこだわりを持ち、リフォームも同じように性能に力を入れている点です。
――販売で強いエリアはどこですか。
大森氏 当社は1963年に山梨県で中島工務店として創業し、東京に進出した経緯があるため、元々の地盤である山梨県では安定した販売基盤を持っています。そのほか、断熱性能などの評価から、東北地方といった寒冷地域にも大きな需要があります。

企画開発部部長兼CSR室長の大森幹郎氏
――今年は性能重視の時代が謳われ、高性能住宅の提供が大きなカギといわれています。
大森氏 政府としても住宅性能を向上していく方針なので、その点は工務店の力量も底上げされていくでしょう。アエラホームも断熱や気密性能をさらに向上させており、国が規準化していない点にも配慮しながら、高性能住宅の提供に注力しています。耐震性能も、従来はほぼ耐震システムの導入に留まっていましたが、制震システムも合わせた複合的な耐震・制震システムの採用で、巨大地震への対応を実施しています。
――事業としては、新たに「まちの建築家プロジェクト」をスタートさせ、話題になっています。
柄沢隆一氏(以下、柄沢氏) 「まちの建築家プロジェクト」は、当社が選定した建築家が設計したプランの中からお客様にあったプランを選んでいただけるセミオーダー型の商品になります。建築家に依頼をすることは一般的にハードルが高いですが、当社のようなハウスメーカーを介して建築家と気軽につながっていただきたいという思いから開始しました。2024年9月には第一弾として5名の建築家による5つのセミオーダー住宅を、第二弾は同年12月に3名の建築家プランによるセミオーダー住宅の販売を開始しました。

まちの建築家プロジェクト
――参加される建築家の方々はどのように選定したのでしょうか?
柄沢氏 「永く住み続け事ができる本当の価値のある住まい」をテーマに設計コンペを実施しました。コンペでは、図面だけでなく、当社のパーパスである新しい「暮らしの価値」の創造につながっているかどうかも重視しましたね。最終的に、100名以上の建築家の皆さまから112作品の応募作品が集まりました。
この中から、2025年中には21組26名の建築家と共に規格住宅商品化していく予定です。いずれも、このテーマに沿って提案いただいた間取り、外観や仕様などのプランをもとに、アエラホームの断熱、気密、耐震・制震性能を組み込ませています。

設計部次長の柄沢隆一氏
――デザイン的な特徴は?
柄沢氏 外観はもちろん、空間にも特徴を持たせています。たとえば、平屋住宅の中庭をコの字型にかたちづくり、住んでいる人が集まる工夫を施しているほか、ツボ庭を追加しています。2階建て住宅では1階に風呂、トイレ、キッチンなど水回り施設を集中させています。外観のデザインだけではなく、間取りの見栄えなどにも配慮しました。
また、当社の販売エリアは郊外が多く、都心部の狭小地よりも周辺環境や借景を楽しめるので、広めの間取り、開けた設計としています。
価格についても、建築家にお願いすると高額になると思われる方もいますが、ほとんどが約2,000万円台半ばで販売しています。

「DOMA(土間)のある暮らし」(デザイン:SQOOL一級建築士事務所 鈴木俊彦氏)
――建築家はデザインを重視しても、性能についてはそれほど重きを置いていないイメージがあります。
柄沢氏 建築家の住宅はデザインにシフトしすぎることもありますが、性能に強みを持つ当社とともに設計することで、デザインに加えて性能や耐震・制震もマッチングした商品を開発できました。

「そらにひらく"囲い庭"のある家」(デザイン:設計事務所obitoke 岩井和也氏)
――リリース後の反響はいかがですか?
大森氏 ニッチな商品でしたが、想定以上に大きかったですね。もちろん、もっとこだわりたいという方が潜在的にいらっしゃることは想定していましたが、建築家に依頼したいというニーズがここまで多いとは考えていませんでした。「わたしの敷地でも建てられるかどうか見にきてほしい」「この先生とお話がしたい」というご依頼もいただいています。
現在は規格住宅ですが、今後はデザインの強化を図る意味でも注文住宅の開発も考えています。皆さん、新進気鋭の若手建築家ですので、「まちの建築家プロジェクト」を登竜門としていただき、名前を売ってほしいと願っています。
参考:アエラホームと歩む、まちの建築家プロジェクト公式サイト
“カリフォルニアスタイル”と性能を両立
――コラボで言えば、カリフォルニア工務店とのコラボ―ションも手掛けていますね。
柄沢氏 2023年12月にコラボレーション商品「THE CA.」を発売しました。これも規格住宅として売り出していて、異なる4つのスタイルを販売中です。
カリフォルニア住宅のテイストを守りつつも、私たちが持つ高気密・高断熱や耐震・制震の技術を組み込んだ住宅を当社で提供できる点が大きなメリットといえます。今後、プランを増やしていくつもりです。

カリフォルニア工務店とのコラボ商品「オーシャンフロントハウス」
――カリフォルニア工務店には熱烈なファンが多いです。コラボするうえでは、両社とも多くの努力があったと思うのですが。
柄沢氏 カリフォルニア工務店で提案しているのは、デザインだけではなく、ライフスタイルです。
当社は耐震等級3の最高グレードで住宅建設をしています。ただ、カリフォルニア工務店の住宅は当社ほど耐震性のグレードが高くないため、壁などの設置については両社で詳細を詰めていきました。当社としても”カリフォルニアスタイル”を壊さないような仕様とするよう配慮しました。
当社はデザインに課題があると考えていたため、互いに不足している部分を補えたと思います。

カリフォルニア工務店とのコラボ商品「ヒルトップモダンハウス」
――話は変わりますが、中島工務店時代はローコスト住宅を主軸にされていました。それがいまは高性能へと大きく転換されています。何かキッカケがあったのでしょうか。
大森氏 中島鷹秀会長の社長時代、ある住宅FCに加盟し、10年連続でトップを取るほど工業化された住宅建築で大きな手腕を発揮していましたが、ヨーロッパへ視察に行った際、「これから、日本でもスクラップアンドビルドの時代は終わり、断熱性などに注力した質の高い住宅を増やしていかなければいけない」と認識を新たにしたようです。
基本建物の設備は後から追加できますが、構造躯体は後から手を付けられない部分です。そこで構造躯体の性能を向上させることを大事にしながら、高性能住宅を供給してきた歴史があります。
――今後の方針は。
大森氏 当社では新たにパーパスを設定し、その中で新しい「暮らしの価値」の創造を掲げています。このパーパスがカリフォルニア工務店や建築家との協業につながりました。これからも私たちだけでは提供できなかった価値を、外部の方や企業とも協力しながら創造していきたいですね。
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