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国交省海岸室配属になったからには、海のことを知るために「サーフィンを始めよう」と画策している井上剛介さん

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公開日:2025.03.24
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2026年の本格的な台風期までに本復旧工事完了を目指す

応急復旧(大型土のう等の敷設)完了(井上さん写真提供)

応急復旧(大型土のう等の敷設)完了(井上さん写真提供)

――被災地にはいつごろ入ったのですか?

井上さん 私が最初に被災地に入ったのは2024年6月でした。発災から6ヶ月ほど経っていたので、それなりにガレキの撤去作業などが進んでいるものと思っていたのですが、現場に行ってみると、発災後からほとんど手つかずといった状態でした。

地震により被災した家屋は原形をとどめずに倒壊していましたが、津波被害を受けた家屋は、家屋の構造は残っているものの、津波が壁を破壊して、さらにはその奥の壁も突き破り、津波が通った方向だけ筒抜けとなっていたことが印象的でした。そうした津波被害を受けた家屋や、建物に残る痕跡水位を確認しながら、被害状況を確認しました。

――本復旧完了はいつごろの見込みですか?

井上さん 水管理・国土保全局が工事を担当する地区は、全部で4地区あるのですが、発災から1年が経過した2024年末までに上戸地区と正院地区の工事に着手済みで、残りの2地区については、現在地元の方々などとの調整を鋭意進めているところで、それが完了次第、工事に着手する予定です。今のところの見込みでは、2026年の本格的な台風期までに工事を完了させることにしています。北陸地方整備局や工事を担当する能登復興事務所などと定期的に打ち合わせを行い、情報を共有しながら、本復旧工事を進めているところです。

――災害復旧に関わるのは初めてですか?

井上さん 本省において、平成30年西日本豪雨や令和元年東日本台風などの災害対応を行ったほか、その後岡山河川事務所に異動して災害を踏まえた治水計画づくりなどに携わったことはありますが、本格的に災害復旧に関わったのは、今回が初めてです。河川と海岸は復旧の考え方も違いますし、現場と離れた本省で関わることの難しさを実感しました。「こうしておけば良かった」と思ったこともありましたが、それも含めて勉強になっています。

砂の動きや波のメカニズムなど不確定な要素が多い

仕事中の井上さん

仕事中の井上さん

――気候変動を踏まえた海岸保全への転換とはどのような仕事ですか?

井上さん 気候変動と砂浜の関係でいくと、気温が2~4度上がると、全国の砂浜が6~8割が失われるという研究結果があります。本当にそうなるかは誰にもわかりませんが、気温上昇により、海面水位が数十cm上がり、台風なども強くなった結果、砂浜が失われると言われています。

サーファーをはじめ、散歩したりビーチバレーしたり、いろいろな方々が砂浜を利用しています。そういった方々のためにも、砂浜をしっかり保全するということで、私のラインでは、都道府県において気候変動を踏まえた海岸保全基本計画の見直しが進められているため、その検討にあたって技術的助言をしています。

――いわゆる河川屋が海岸の仕事をやることの意味について、どうお考えですか?

井上さん 河川と海岸はつながっているので、切っても切り離せない関係にあると感じています。当然、河川と海岸は連携しなければなりません。河川管理者が河川のことだけ考えて整備を行った結果、海岸に悪さをする可能性があります。海岸は水や土砂の流れの末端になるからです。海岸管理者の立場からすると、「河川でこうしてくれたら、ダムや砂防でこうしてくれたら」という思いがあります。そういう思いを持った職員が河川やダムのセクションに行くと、また違った解を出すことができるかもしれません。

私自身河川畑の人間ですが、今海岸を経験していることは、いずれまた河川の仕事をする上で、視野が広がる機会になっていると感じています。そういう意味でも勉強になっています。

――海岸ならではの難しさを感じることはありますか?

井上さん 河川は、堤防やダムといったカタチのある構造物でカチッと守りますが、海岸は、砂というカタチのないもので守る、自然のチカラで守るという違いがあると思っています。もちろん海岸でも堤防やブロックを使って守ることはありますが、河川のようにそれが前提にはなっていないということです。砂は、波によって動きが変わりますし、波のメカニズムの解析も困難なので、不確定な要素が非常に多いです。そういうところが海岸事業の難しさだと感じています。

「井上さんもサーフィンやりなよ」

プライベートで訪れた神奈川の鵠沼海岸(井上さん写真提供)

プライベートで訪れた神奈川の鵠沼海岸(井上さん写真提供)

――海岸事業を進める上では、海岸の「利用者」のことも考える必要があるそうですが。

井上さん 海岸は日本全国津々浦々にあるわけですが、海岸ごとに景色や砂の質、波の高さなどが違うんです。私自身も息子と海水浴などで海によく遊びに行っているので、砂浜からの恩恵を受けています。そんな砂浜の環境を保全する仕事に携われることは、やりがいを感じますし、私の息子を含めた後世に残していくことに使命感を感じています。

とは言え、私自身毎日海岸を見ているわけではありません。福岡でお話ししたサーファーの方が「自分らは毎日海岸に来ているので、波の変化、砂浜の変化が感覚的にわかるんだ」とおっしゃっていましたが、スゴく説得力がありました。その方から「井上さんもサーフィンやりなよ」と言われました(笑)。

私は「なんでもやる性分」なので、サーフィンをやろうと思っています。家から海に出るまで2時間ぐらいかかるのが大きなネックになっているのですが、後日静岡出張の際にも別の方から同じことを言われたので、「これはやらんといかんな」と考えているところです(笑)。

広島にいたとき、太田川でサップをやっていました。サップをやると、堤防で眺めるよりも、川の状態がよくわかるんです。海も同じで、陸から眺めるのではなく、海の中に入らないとわからないことがきっとあるはずなんです。

本省にずっといて、エラそうなことを言うのではなく、実際の海を知ろうと努めながら、いろいろ吸収することが大事かなと感じているところです。海を知っているのといないのとでは、やはり説得力が違うと思うので。

――期待しています(笑)。

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この記事を書いた人

四国の犬
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基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
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