最終図面がどれだか分からない
以前私が関わっていた改修工事も危なかった。
図面が現状の寸法や形を把握していないために、改修部分だけ独自に寸法を決めていて、既存部分との取り合いが一切考慮されていなかった。それではまずいと、何故誰も思わないのか不思議でならなかった。
現状寸法に合わせ、改修部分の寸法を調整しなければいけないという意思が図面に何一つ反映されていない。素人だって、それでいいのかと思うだろう。
さらに追い打ちをかけるように図面が何種類もあり、どれが最終図面が分からなくなっていた。私の持っている図面と打ち合わせで来たサブコンの人間が持ってる図面が違う、なんてこともあった。
図面には承認印もサインの類も何もなく、大丈夫かいな?と思っていたが、やはり大丈夫じゃなかった。要は、改修工事に伴う現状の把握だけでなく、基本的な図面そのものの完成さえおぼつかない状態だったのだ。
よく図面を見ると、寸法に括弧が付いてる部分があり、その数字が現場寸法合わせの部分じゃないか?と推測したのは、私自身が現場の寸法を計って変だなあと感じたからだ。こんな調子では、施工に役立つ図面には到底ならない。
図面が現場の基本で、施工の唯一の拠りどころになる。にもかかららず、現場を助けるハズの図面が、現場を混乱させ、逆に脚を引っ張っているような状況だった。
図面の描き手に文句を言いながらも杓子定規な描き方しか知らない人、もしくは新築のいつも同じような図面を描いてるとこうなってしまう。
改修工事が技術者を進歩させる
こんなことになるのは、与えられたものに何一つ疑問を持たず、もっと現場の施工者が分かりやすいように工夫しよう!ちゃんとした建築を造ろう!という、図面が本来果たすべき役割を残念ながら分かっていないからだ。
決まり切った平面図、断面図だけを描いて終わりだと思っているのだろうが、図面の中に完成の3次元の姿図を入れたり、展開図の代わりにパースを描き入れるなど、いくらでも表現方法はあるはずだ。
基本が大切だが、その上にさらに何かを付け加えていくこと。もっと上手く表現する方法はないか?と常々考えていれば、ドンドン色々なアイデアが湧いてくるはずだ。
既成概念だけに凝り固まっていては、現状は打破できない。多くの先輩がいて、とてもそんな冒険はできないよ!と言う人もいるだろうが、それを言うなら一度でもそんな提案を先輩にしたことがあるのかどうかを聞きたい。言っておくが、そんなに難しいことではない。
改修工事は面倒だが、図面を描く立場であろうと、現場の施工管理の仕事であろうと、間違いなく建築技術者を進歩させる。
どんなに経験豊富な技術者でも、100%の確信が持てないことはたくさんある。そんな時は、できるだけ現場に出向くことで、解決策に導いてくれることが多々ある。
自分で考え、実践してみることが進歩の近道だ。若い人には是非、挑戦してほしい。
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昔の図面が嘘ばっかりな時とかありますよねw
図面がなくなってたりして埋設物がわからないとかもw
昔の人がいかに適当だったか(楽だった)分かりますねw
付けを払わされる今の人は大変だと思いませんか?
設計図じゃないよ。ただの絵だから。
耳の痛いコラムでした。
明日工期終了を迎える現場がまさにそれで、図面は何十年も前の新築図を元に内部改修の図面を書いただけ。
それから小さな改修が入ってるからボード1枚分、タイル1枚分寸法が違ったりして、危うく製作品の作り替えになるところでした。
図面だけで言うならそれこそ建築とサブコンの図面の間取りが違ったりして大混乱。
贅沢を言うなら1年前にこのコラムを見たかったですね(笑)
問題は、改修設計図があまりにもずさんな設計である場合が多いこと。
設計者は既設の実測をしていないのだろう。
新築時の図面から机上で設計しているため、改修の納まりは施工者が施工図で示してやらないと完成しない。
施工者がコンサルに頼りすぎなのも大きな問題で
コンサルのレベルが落ちているのも問題だと思いますよ
2番さんそんなことあるはずないじゃないですかw
自分の経験からいってもそんなことは…。
後は想像におまかせしますw
耐震改修工事の時に現調した時に、補強すべき梁が存在しない事を思い出しました。
発注者に報告しても、竣工図で梁が有るのに、梁が無いわけ無いの一点張りで建物全景、補強箇所と図面対比書類を作成してやっと理解してもらった事があります。その後は構造計算をやり直しになり補強すべき梁を新たに作成することになりましたが…
改修工事は基本、制作図作図前に現調して、制作前に最終確認で現場を当たり発注するようにしてます。その分、納まりを現場で悩むので技術者の成長に繋がると思いますね。
まあ、昔は竣工図=設計図で保管してたから仕方ありませんが。