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首都圏の水害を防ぐ大規模プロジェクト。荒川第二調節池排水門・囲繞堤工事現場に迫る

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公開日:2025.06.25
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地域との対話 広報活動と情報発信

荒川第二・三調節池整備工事は、首都圏の安全を支える重要なインフラ事業だが、その効果を一般市民に伝えることは容易ではない。宮﨑氏は、「河川事業は目に見えにくい部分が多いため、積極的な情報発信が必要です」と強調する。

事務所では、年間約100回の視察を受け入れ、工事の意義や進捗を説明している。市川氏は、「高校生向けの見学会では、土木工事の魅力を伝え、建設業界への興味を喚起しています。昨年は見学会に参加した高校生全員が弊社に入社するなど、成果を上げています」と語る。こうした取り組みは、担い手不足が課題となる業界において、次世代の技術者を育成する一助となっている。

髙橋氏は、IHIインフラ建設の広報活動として、「江戸川区に設立した体験型研修施設では、職場体験や動画配信・見学会などを行い、水門の構造や機能を学生や地域の方々に紹介しています。これにより、水門の役割や必要性を身近に感じてもらうことができます」と述べる。こうした対外的な発信は、公共工事の価値を広く認知させるだけでなく、業界全体のイメージ向上にも寄与している。

建設業界の魅力と課題

荒川第二・三調節池整備工事に携わる3氏は、建設業界の魅力についてそれぞれの視点から語った。宮﨑氏は、「大規模プロジェクトに関わるやりがいや、発注者と建設会社が一丸となって施設を完成させる達成感は、他では味わえないものです」と述べる。今後、数十年以上にわたり地域を守るインフラを構築する仕事は、技術者としての誇りにつながる。

市川氏は、「目に見える形で構造物が完成していく過程は、大きなやりがいです。BIM/CIMの活用や視察対応を通じて、業界の先進性もアピールできる」と語る。一方、髙橋氏は、「水門工事は土木、機械、電気の技術が結集する総合的な仕事であり、多様な人材が活躍できる場です。完成時の達成感を若い世代に伝えたい」と強調する。

しかし、課題も少なくない。市川氏は、「若手の技術者不足や、従来の『男は黙って』という業界文化からの脱却が求められています」と指摘。女性や外国人技術者の登用も進んでいるが、さらなる環境整備が必要だ。髙橋氏は、「水門工事の知名度が低く、学生へのアピールが難しい」と課題を挙げる。これに対し、体験型施設やインターンシップを通じて、業界の魅力を発信する取り組みが進められている。

建設現場にも押し寄せるダイバーシティの波

荒川第二・三調節池工事現場では、若手技術者の育成とダイバーシティの推進が重要なテーマとなっている。市川氏は、「BIM/CIMを活用することで、経験の浅い技術者でも高精度な施工が可能になり、若手の負担を軽減できます」と語る。飛島建設では、ミャンマー人技術者や女性技術者を積極的に登用し、代理人として活躍する女性社員もいる。「女性だからという意識はなく、能力に応じて公平に接することが大切」と市川氏は強調する。

髙橋氏は、IHIインフラ建設の取り組みとして、「フィリピン人技術者を採用し、日本での経験を海外プロジェクトに活かしてもらう計画です。また、設計出身の若手を現場に配置し、幅広いスキルを習得させています」と説明。こうしたローテーションは、総合的な技術者を育成する上で効果的だ。

誰でも活躍できる建設現場を目指すことが、業界の未来につながる

荒川第二・三調節池整備工事は、単なるインフラ整備にとどまらず、建設業界の未来を切り開くプロジェクトでもある。BIM/CIMの活用や働き方改革、環境配慮、広報活動を通じて、業界はデジタル化と持続可能性を両立させようとしている。

宮﨑氏は、「この事業を通じて、若い技術者に土木の魅力を伝え、業界の担い手を増やしたい」と展望を語る。市川氏は、「DXやBIM/CIMを活用し、誰でも活躍できる建設現場を目指すことが、業界の未来につながる」と強調。髙橋氏は、「水門工事の技術を次世代に継承し、維持管理のデジタル化も推進したい」と意気込む。

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四国の犬
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基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
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