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神戸市が描く2040年の緑を核としたウォーターフロントの未来

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四国の犬
公開日:2025.07.08
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神戸ウォーターフロントグランドデザイン資料より

神戸ウォーターフロントグランドデザイン資料より

目次
  1. 復興から再生へ ウォーターフロントの歴史
  2. 神戸空港 国際化の波に乗る新たな玄関口
  3. グランドデザインの3つの柱
  4. ウォーカブル中心への情熱とモビリティ革新への期待
  5. テクノロジーでさらに映える港のランドスケープ
  6. 課題と展望 緑と歩行の未来
  7. 神戸の港、神戸というまちの新たな地平を切り開けるか

「神戸は、新たな国際都市としての可能性を確認した」。2025年4月22日、久元喜造市長は定例会見でこう宣言し、「ウォーターフロントグランドデザイン」を発表した。

1868年の神戸港開港以来、豪華客船や移民船が行き交ったウォーターフロントは、日本の近代化を牽引した。1995年の阪神・淡路大震災で甚大な被害を受け、港湾機能の移転も重なり活気を失ったが、2025年2月の神戸空港の東アジア路線による国際化、4月のGLION ARENA KOBE開業を機に再生のときを迎える。

2040年をターゲットにした、「海、山、空を感じ、みなとまちの歴史と未来をつなぐ」計画は、歩行者優先のウォーカブル空間を最優先とし、グリーンインフラを活用して、神戸市民に新たな憩いの場を、東アジアを中心としたインバウンドに新たな魅力発見の場を創出することを核としている。

神戸空港が新たな玄関口となり、テクノロジーとデザインで織りなすことを目論む神戸の港づくりは、当初描いたデザイン通り現実のものとなるのか。神戸空港の国際化、遺産としての突堤、緑、ウォーカブルといった文脈から紐解く。

復興から再生へ ウォーターフロントの歴史

神戸のウォーターフロントは、近代日本の玄関口だった。中突堤や新港突堤には、ブラジル移民を乗せた「ぶらじる丸」、捕鯨船、豪華客船「さんとす丸」が集まり、海面は小さな船で埋め尽くされた。

1900年代初頭から1940年代にかけて、近代港湾として繁栄したが、1960年代のコンテナ化で状況は一変。大型コンテナ船に対応するため、港湾機能はポートアイランドや六甲アイランドに移り、ウォーターフロントは遊休地化した。

1970年代、メリケン波止場を埋め立てたメリケンパークやハーバーランドの開発が始まったが、1995年の阪神・淡路大震災で壊滅的な打撃を受けた。メリケンパークの岸壁は崩れ、ポートタワーは一時閉鎖。復興に追われた神戸市は、港湾エリアの再開発を後回しにせざるを得なかった。

2012年、ウォーターフロント再開発が本格始動。震災から17年、市民の生活基盤が整った神戸市は、港の新たな役割を模索し始めた。2015年に神戸みなと温泉 蓮が開業、2017年には神戸港開港150周年を記念してメリケンパークがリニューアル、BE KOBEモニュメントが誕生した。このモニュメントは、震災復興のシンボルとして市民に愛され、観光客の撮影スポットになった。

2021年にはポートミュージアム(アトア水族館含む)やフェリシモ、GLIONの本社が新港突堤に進出し、2024年にはポートタワーが午後11時までのナイトタイム営業でリニューアル。2025年4月、GLION ARENA KOBEが開業し、1万人規模の音楽ライブやBリーグの試合でエリアは活気づいた。

2011年の「港都神戸グランドデザイン」はこれらの動きを想定しておらず、2022年のウォーターフロントビジョンも部分的な更新に留まった。市長は「2012年以降の進展は従来の構想を超えた。新たな将来像が必要だった」と強調する。神戸市は2025年4月、ウォーカブル空間とグリーンインフラを軸にした、市民と観光客のための新たな港づくり構想を打ち出した。

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神戸空港 国際化の波に乗る新たな玄関口

2025年2月、神戸空港は国際チャーター便の運航を開始し、東アジアからのインバウンドを呼び込む新たな玄関口となった。市長は「神戸の国際都市としての可能性を現実にする」と述べ、週40便のチャーター便が韓国、中国、台湾からの観光客を運ぶ。

2025年4月の時点で搭乗率は80%超を記録し、市民からは「神戸空港が国際化してよかった」との声が上がる。2030年前後を目標に定期便の就航も予定され、関西エアポート神戸株式会社と連携し、ターミナル拡張やCIQ(税関・出入国管理・検疫)体制の強化を進める。空港は、ウォーターフロントグランドデザインの成功に不可欠な役割を果たす。

市民にとって、空港の国際化は地域経済の活性化をもたらす。観光客の増加は、ウォーターフロントの飲食店やマルシェに賑わいを創出する。神戸市は、2025年度の観光収入として前年比15%増の推定200億円を見込む。地元商店街やホテル業界は新たな雇用を創出し、市民の生活に活気をもたらす。

インバウンドにとって、空港は神戸の魅力を最初に感じるゲートウェイだ。韓国からのゴルフツアー客は、空港からバスでウォーターフロントへ向かい、緑地でのピクニックやメリケンパークの夜景ツアーを楽しむ。中国からの家族旅行者は、ポートループでアリーナやマリーナにアクセスし、Bリーグ観戦や瀬戸内クルーズを満喫。台湾の若者グループは、神戸ビーフのレストランや水族館を訪れ、SNSで緑豊かな港をシェア。

空港の国際化は、ウォーターフロントのウォーカブル空間や緑と直結し、東アジア客に神戸の新たな魅力を発見させる。計画では、空港とウォーターフロントのシームレスな接続が、観光客の滞在時間を延ばし、地域経済に年間数十億円の経済効果をもたらすと期待される。

グランドデザインの3つの柱

グランドデザインは、ハーバーランドから新港突堤西を3エリア(中突堤、京橋、新港突堤西)に分け、4つの戦略(ウォーカブル空間、緑と自然、ナイトタイムエコノミー、官民連携)を軸に展開する。2040年を目標に、歩いて楽しむ空間とグリーンインフラを通じて、市民の憩いとインバウンドの魅力を高める。

神戸ウォーターフロントグランドデザイン資料より

神戸ウォーターフロントグランドデザイン資料より

中突堤 緑の憩いの公園

中突堤は、ポートタワーとメリケンパークが象徴する神戸の顔だ。

市長は「観光・商業機能を強化し、緑あふれる空間へ進化させる」と述べる。かつて緑が皆無だったエリアは、BE KOBEモニュメントやメリケンパークのリニューアルで観光名所となったが、計画ではさらに緑地を増やし、市民が歩いて憩う都市公園のような空間を目指す。

家族連れは芝生の広場でピクニックを楽しみ、高齢者は緑地を散策し健康を維持。子どもたちは木陰で遊び、週末には地元産のマルシェが賑わう。海上デッキは、メリケンパークとハーバーランドを直結し、市民が散歩やサイクリングで港を満喫。東アジアからの観光客は、船着き場から小型船に乗り、緑豊かな港の歴史を体感。スマート照明やIoTセンサーで混雑を管理し、プロジェクションマッピングで夜の景観を彩る。太陽光パネルや雨水再利用システムが、市民と観光客の快適な環境を支える。

神戸ウォーターフロントグランドデザイン資料より

神戸ウォーターフロントグランドデザイン資料より

京橋 緑地でつながる交流

京橋エリアは、ウォーターフロントのエントランスとして、中突堤と新港突堤西をつなぐ。

近くを通る阪神高速3号神戸線の大規模修繕に伴い、迂回路確保のため船溜まりを埋め立て、仮設道路を建設。この土地を修繕後に緑地や賑わい施設に転換する。市長は「飲食、音楽、スポーツの施設を誘致し、にぎわいを創出する」と意気込む。

韓国や中国からの観光客は、ライブステージで地元アーティストのパフォーマンスを鑑賞し、緑豊かな環境に魅了される。スマートインフラとして、AIが交通最適化を支援し、センサーが植生の灌漑を管理(水使用量30%削減)。緑地化は海面上昇への対応にも役立ち、京橋は歩いてつながる市民と観光客の交流の場となる。

神戸ウォーターフロントグランドデザイン資料より

神戸ウォーターフロントグランドデザイン資料より

新港突堤西 緑とイベントの融合

新港突堤西は、GLION ARENA KOBE(1万人収容)を核とした賑わいエリアだ。

かつて倉庫街だった場所は、水族館、飲食店、フェリシモやGLIONの本社が集まり、活気がある。市長は「海から見る神戸の夜景は新たな魅力」と語り、ドローンショーや連動型イルミネーションでナイトタイムエコノミーを強化。

東アジアからの観光客は、音楽フェスや花火イベントに魅了され、飲食店で神戸ビーフを堪能。大型艇向けマリーナは、台湾や香港からのヨットツアーを迎える。2024年に発見された海軍操練所跡は、緑地と調和した見学施設として保存され、市民や観光客が歩いて歴史を学ぶ。AIによる混雑予測が、イベント時の歩行者体験を向上させる。

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