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「土木と建築の境目はなくなる」土木学会と日本建築学会が脱炭素実現へシンポ開催

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公開日:2026.01.05
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建築と土木の「大同団結」で国難に挑む

休憩を挟み、池内会長から会長特別プロジェクト「カーボンニュートラルでレジリエントな社会づくりプロジェクト」の説明があった。要旨は以下の通り。

「この10年間では雨の降り方のステージが変わってきた。カーボンニュートラルについて約1年前から各事業主体にヒアリングを実施してきたが、個別の取組みは熱心であっても、横のつながりがなく、全体を俯瞰する形になっていないのが現状だ。カーボンニュートラルの取組みの中でも、災害時のレジリエンス強化について発信していきたい。そして次に、現場で課題となっている足かせを解いていきたい」

土木学会の池内幸司会長

土木学会の池内幸司会長

また、官民連携で総合的で分野横断的にカーボンニュートラルの実現を目指す「矢作川・豊川CN(カーボンニュートラル)プロジェクト」を紹介し、「市町村単位で解けなかった課題がお互いに連携することで解けていくようになるため、流域単位で考えてはどうか」と提示した。

矢作川・豊川CNプロジェクトのパンフレット

矢作川・豊川CNプロジェクトのパンフレット

池内会長はさらに、「次世代の人材はカーボンニュートラルの取組みに熱心だ。土木の魅力を発信する上でも、カーボンニュートラルを世に出していくことが重要だ」と強調した。

続いて小野田会長が「脱炭素に関する日本建築学会の取り組みについて」をテーマに語った。 同学会では2021年1月に「気候非常事態宣言」を発出し、組織を挙げてこの問題に取り組んでいる。論点として、①地球環境全体、②脱炭素の取り組み、③気候災害、の3点が示された。地球環境全体について建築面でどのように考えるかは重要な項目であり、これまでアクションプログラムを検討してきた。

日本建築学会の小野田泰明会長

日本建築学会の小野田泰明会長

日本建築学会では、「脱炭素都市・建築推進特別調査委員会」(大岡龍三委員長、東京大学教授)を設置し活動しているが、同委員会は2026年3月で発展的解消し、元日本建築学会長の田辺新一早稲田大学教授を委員長とする新たな特別調査委員会を立ち上げると表明した。 小野田会長は、シンポジウム後の記者会見にて、この特別委員会について触れ、「社会ニーズが最もあるところに人的資源を投入していく。脱炭素は非常に広範な分野であるため、田辺委員長の下でシームレスに物事を共有し、課題を解決していきたい」と語った。

また、建築五会(日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会、日本建設業連合会、日本建築学会)は、脱炭素建築モデルづくりのタスクフォースを組織し、モデルを作成中だ。災害の激甚化については建築分野でも真剣に受け止める必要があると強調し、精査な整備を展開している。このほか、都市計画・土木・地盤工学・火山噴火などの研究者と連携したマルチハザードに対応可能な耐複合災害建築に関する調査研究活動を推進するため、「マルチハザードに対応可能な耐複合災害建築小委員会」(久田嘉章主査、工学院大学教授)により整備を進める。

小野田会長は最後に「建築系も土木を学ばなければならないが、一方で土木系の方にも建築を学んでほしいと願っている。公共工事と公共発注が中心の土木分野と、民業が中心となる建築では温度差はあるが、人口減少が続いていく中で、戦略的に土木と建築が手を携えて脱炭素の実現に向けた活動を行うことは重要だと認識している」とまとめた。

シンポジウムの最後では、日本建築学会の「脱炭素都市・建築推進特別調査委員会」活動報告について大岡委員長が報告した。活動内容は、建築学や関連分野総体の学術的知見を根拠とした政策決定への助言、社会や産業に対する行動規範の根拠となる知見の提供など、社会と積極的に関わる調査研究活動の推進を図ることを目的としている。

現在の活動としては、建設から廃棄までのホールカーボンでのLCA評価手法についての提案、LCA評価の事例集の作成、市民を含めた脱炭素に関するステークホルダー巻き込みのための方法論の整理、脱炭素都市・建築推進のための政策課題、総合研究協議会の開催などを実施している。なお、2025年度日本建築学会大会(九州)では「脱炭素を実現するための日本建築学会の課題」をテーマとした総合研究協議会を開催している。

2025年度日本建築学会大会(九州)での「脱炭素を実現するための日本建築学会の課題」をテーマとした総合研究協議会

2025年度日本建築学会大会(九州)での「脱炭素を実現するための日本建築学会の課題」をテーマとした総合研究協議会

最後に、両学会長がシンポジウムの感想を語った。 池内会長は、「各WGの話を聞いていて、両学会で共通することは多いと改めて感じた。各々文化が異なる点はあるが、大同団結して、連携すべきところはより強く連携していきたい。BIM/CIMについては、建築と土木に分けること自体がナンセンスだ。TFの先生方は大変かと思うが、引き続き活動をお願いしたい」と述べた。

小野田会長は、「多岐にわたる項目でともに活動するためには、やるべきことが数多くあり、各WGを所掌される先生方が高い理念を持って活動されている。 最近、建設系7学会(空気調和・衛生工学会、地盤工学会、土木学会、日本造園学会、日本都市計画学会、日本コンクリート学会、日本建築学会)で議論したことがある。人口が本格的に減少していく中で国土を維持する役割として、インフラに携わる専門家は重要だ。これからどのようにして国土を支えていくのか。この点こそが、社会から各学会に対して期待されていることなのだと思う」と述べた。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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コメント(1)

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  • - 2026/01/06 19:55

    この話し合いで国益が上がるとは思えません
    もっと根本的な問題を解決するべきですね

    まずは国の機関が連携をすることが大事だと思うのですがどうでしょうか?

    国益が無ければ日本の衰退は止まらないでしょう

    返信する 通報する

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