容積率を余らせて6,740万円の賠償命令
一方で、容積率を余らせたためにビルの価値が下落したとする判例があります。
Xは店舗とマンションの複合ビルを建てるにあたり、可能な限り延床面積が大きい建物を要望していました。既存建物の敷地面積は約218平方メートル、許容容積率は400%でしたが、前面道路が建築基準法42条2項に基づく「2項道路」であったため、新築時はセットバックする必要がありました。
当初、施工側のY社が提案したのは「容積率398.38%」でした。道路後退後の計画敷地面積を約176.5平方メートルとし、容積率対象の延床面積を約703平方メートルとした鉄筋コンクリート造7階建てを建築する計画でした。
Xは2013年8月にY社と設計・監理業務委託契約、建築工事請負契約を締結しました。既存建物の解体、設計・監理、新築工事を合計した代金は約2億5,500万円でした。ところが契約後、Y社は道路後退距離の起点を見誤っていたことに気づきます。敷地面積は正確には200.8平方メートルでしたが、Y社はそのまま設計を進めて確認申請を行いました。その際の容積率は355.5%と記載されていたのです。
Xは是正を求めましたが、すでに基礎工事が終わっており増床には限界がありました。最終的に延床面積を740平方メートルに増やし、容積率は368.8%となりました。しかし、Xの不満は募り、このトラブルによって引き渡し予定も1年半遅れることとなりました。
Xは1億3,420万円の賠償を求めて提訴。東京地裁は2023年5月、4,030万円の賠償を命じる1審判決を下しました。延床面積についてY社に責任はないとしましたが、引き渡しが1年以上遅延したことが請負契約における債務不履行にあたるという判決でした。
その後、X・Y社の双方が控訴した2審では1審判決を変更し、賠償額は6,740万円となりました(2024年2月21日 東京高裁)。1審、2審ともに「容積率を使い切る」という合意はなかったとしています。合意違反があったわけではないのですが、「容積率の不足により建物としての下落額が1億2,200万円」というXの主張のうち2割の2,440万円について債務不履行との相当因果関係を認めたものでした。ただ、この2割の判断根拠は不明とされています。しかし、根拠不明とはいえ、容積率を目いっぱい使わなかったことによる価値の下落は認定されています。
容積率で限界が法定されている以上、逆に考えると、その範囲で目いっぱい使うのは土地の活用としてあるべき姿なのかもしれません。
「施工管理求人ナビ」では施工管理の求人を広く扱っています。転職活動もサポートしていますので、気になる方はぜひ一度ご相談ください。
⇒転職アドバイザーに相談してみる



