開口部から鉄筋を搬入できない!
実際に現場で施工管理をした際に、その意味がよく分かりました。小田急線の線路の地下化工事に従事していた際、地上で開口部を設け、そこから鉄筋を地下に搬入するのですが、マニュアル通りに作られた配筋図のままでは、鉄筋が入らなかったのです。なので、現場で設計図を描き直し、現場で搬入できるように配筋図を修正して施工に望みました。
具体的には、鉄道を地下化するためのボックスカルバート構築工事の箇所でした。地上の作業ヤードに約8mほどの開口部を設け、そこからさまざまな材料を搬入しており、当然、鉄筋もその開口から搬入する手はずでした。しかし、設計図では鉄筋の長さ10mを超えるものが多数あり、そのままでは作業箇所に入れることができなかったのです。鉄筋をできるだけ斜めにしてクレーンで吊る、ということも一瞬考えたのですが、斜めにするため崩れ落ちるリスクが高まり、実行に移すことはありませんでした。
そこで、現場では鉄筋の長さを短くし、開口部から搬入できるように図面を変えて施工しました。発注者にも設計変更で対応し、検査対応しました。
マニュアルだけでなく、現場の状態をイメージする
マニュアルはあくまでマニュアルであり、現場の状況は逐一異なります。
他の現場でもそれを痛感しました。あれは、とある高速道路のトンネル工事現場でした。この現場では、トンネル掘削の準備工事として、様々な工事を行っていました。その一つが、ジャンクションのランプ橋脚受け替え工事です。
新たに橋脚を新設するため、私は橋脚の配筋図を描いていましたが、いくつか指摘を受けました。その際に、「この道路を使って搬入するので、大きなトレーラーを使えないから、鉄筋の長さを短くしてほしい」という要望があったのです。
実際にどうやって施工するのか、どうやって現場に搬入するのか、をよく考えたり確認し、その状況に合わせて鉄筋を考えないといけないことを痛感しました。その際、現場に搬入するまでどのルートを通ってやってくるのかを調べ、使用できる車両に応じるという柔軟性も必要だということがわかりました。現場での作業手順や効率はもちろんですが、工場から現場までどうやって材料を持ってくるかも、無視できないファクターなのです。
マニュアルは大事ですが、同時に現場の状況をよく踏まえて鉄筋を加工することで、より簡単に鉄筋組立ができるようになるという事例の紹介でした。現場をよくイメージすることが重要なのです。
俺が初めて鉄筋屋をやったのは、鉄筋はまだ丸鋼の時代でした。切断機の回りの残材を売れば2~3人で飲み屋に行けるぐらいの金が入りました。他職の電気、設備の職人は仕事の関係から、基礎の乗り込みにはビール券をもって挨拶に来たものです。監督も低姿勢で1フロアー上がる度に同様です、気楽でいい時代でした
小さな土地で鉄筋の加工と組み立ての依頼をしてもよろしいですか。