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売上1.5倍、利益3倍!ITスタートアップと老舗補償コンサルが挑む「PMC(共創型経営創造)」

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長井 雄一朗
公開日:2026.06.30
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インタビューに応じる南都技研の新家遼士氏

インタビューに応じる南都技研の新家遼士氏

目次
  1. なぜ「共創」を選択したのか。異業種タッグに踏み切った真意
  2. 現場へのリスペクトと「先行ベースアップ」が生んだ信頼
  3. 「立ち会わない立ち会い」で現場の調査体制を40%削減
  4. RPAと生成AIが実現した、オフィス業務における「属人業務の見える化」
  5. 空いたリソースで九州全域へ。家屋調査DXと新領域への展開
  6. 売上1.5倍・利益3倍。教育コスト減がもたらした「初の新卒採用」

インフラ整備の「隠れた心臓部」である補償コンサルタント業界が今、深刻な構造的危機に直面している。2040年には建設労働者が2000年比で56%減(287万人)となる一方、建設投資額は9兆円増加する「2040年問題(需給ギャップの崩壊)」が目前に迫る。

極度のアナログ業務、後継者不在、若手不足といった「レガシーの罠」に苦しむ中、補償コンサルタントの株式会社南都技研(本社:宮崎県宮崎市、多田佳充社長)は、現場向け遠隔支援ツール「SynQ Remote(シンクリモート)」を展開するITスタートアップの株式会社クアンド(本社:福岡県北九州市、下岡純一郎代表取締役CEO)との「M&A」という大きな決断を下した。

長年現場を泥臭く支えてきた老舗企業と、最先端のITベンチャー。文化も成り立ちも全く異なる両者だが、この異業種タッグを劇的な成功に導いたのは、一般的なM&A後の統合プロセス(PMI)ではなく、互いの強みを掛け合わせる「PMC(Post Merger Co-creation=共創型経営創造)」という考え方だった。

この「共創」の姿勢を大切にした結果、両者は互いへの深いリスペクトによる良好な関係を築き、南都技研はわずか1年で売上1.5倍、営業利益3倍という成果を上げ、創業50年にして初の新卒採用をも実現した。今回は、IT企業であるクアンドから南都技研へと移籍し、執行役員DX推進室長として自ら現場に入り込んで改革を指揮した新家遼士氏に、DXの実態と地方産業のアップデートに向けた展望を聞いた。

なぜ「共創」を選択したのか。異業種タッグに踏み切った真意

クアンドから南都技研に移籍し、執行役員DX推進室長として活躍

クアンドから南都技研に移籍し、執行役員DX推進室長として活躍

――南都技研は、なぜITスタートアップとの戦略的提携という異例の道を選んだのでしょうか。

新家遼士氏(以下、新家氏) 最大の課題は「後継者不在」でした。オーナーが70代を迎え事業承継が急務となる中、同業他社からの打診もあったと聞いています。しかし、同業同士のM&Aでは相手の企業色が強く反映され、長年培った企業文化が失われる懸念があります。

単なる事業存続ではなく、未知の可能性を秘めた異業種(IT企業)と融合することで、「技術の保存」と「企業の進化」を図る道を選択しました。

――逆に、IT企業であるクアンド側が、南都技研との共創を決断した理由は何だったのでしょうか。

新家氏 ITベンダーとして、より深く現場に入り込む必要性を感じていたためです。単なるツールの提供だけでは、顧客の組織風土や深層の業務プロセスにまで踏み込むことが難しく、本質的な課題解決に向けて、さらに一歩踏み込んだ関わり方が必要だと考えていました。

そこで、効率化のノウハウを持つ私たち自身が実業を持ち、内側から変革を証明すべきだと考えたのです。互いに欠けている「現場力」と「IT力」を補完し合うための戦略的提携でした。

左から、南都技研 代表取締役の多田佳充氏、クアンド 代表取締役の下岡純一郎氏

左から、南都技研 代表取締役の多田佳充氏、クアンド 代表取締役の下岡純一郎氏

――補償コンサルタントは公共事業に不可欠な業務ですが、業界が抱える課題について改めて教えてください。

新家氏 私たちの業務は、公共工事の用地買収において土地や建物の調査、事業損失などを算定し、「妥当な補償額」を導き出すものです。公共事業費の15〜20%を占め、補償コンサルタントがいなければインフラ整備は着工できません。

しかし、現地調査はいまだに手書きの野帳からCADへ起こすアナログ手法が主流です。当社の平均年齢も50代後半と高齢化が進んでおり、数年後にベテランが一斉退職すれば貴重な技術が失われてしまうという強い危機感がありました。

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長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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