資格取得の学費を会社が無利息でサポート
――精神面のフォロー体制はメンター制度で整えた一方で、若手にとって現実的な壁となる「資格取得」はどうサポートしているのでしょうか。
大里氏 とくに一級建築士は資格学校に通うと高額費用がかかり、独学での合格も非常に難しいのが現状です。資金面がネックとなって挑戦の機会を逃してしまうことがないよう、当社では資格学校の受講費用を会社が無利息で融資する制度を設けています。
――無利息とはいえ、若手にとって高額の返済は大きな負担になりませんか?
丸山氏 見事一発で合格した際には、融資額の30%を返済免除する制度を設けています。例えば100万円を借りた場合であれば、30万円が返済免除となり、残り70万円を月々1万円ずつ給与から返済してもらう形です。
ただ、一級建築士の場合は「資格手当が毎月5万円」付与されるため、返済を差し引いても毎月実質4万円のプラスになります。その他各資格に応じて手当を支給しています。
――残業が多くなり勉強時間が確保できなければ合格が難しい資格だと思いますが、その点の配慮は。
丸山氏 おっしゃる通りです。そのため、全社的な取り組みとして「残業を減らし、できるだけ早く帰宅できる環境づくり」を強く推進しています。以前は、本来資格取得に取り組むべき時期であっても、仕事に追われて十分な学習時間を確保できず、資格取得が進まない社員も一定数いました。
現在は現場のDX化や業務改善が進んだことで学習時間を確保しやすい環境が整ってきました。その結果、社員が資格取得に前向きに取り組めるようになり、資格取得が当たり前の文化として定着しつつあります。
現場DXで年間休日125日を死守
――休日確保と現場の稼働のバランスは、どのように解決しているのでしょうか
丸山氏 今まで6日間かけて行っていた業務を5日間に凝縮するわけですから、ツールを最大限活用して「生産性を劇的に向上させる」取り組みを進めなければ実現できません。会社としても、そのためのサポートを全力で推進することで、休日確保を実現しています。
――生産性向上のために、どんなDXツールが効果を上げていますか?
大里氏 最も大きな効果を出しているのが、施工管理アプリの「スパイダープラス(SPIDER+)」です。以前は、写真整理や検査書類の作成に膨大な時間を費やしていました。たとえば、建物完成前の仕上げ検査では、紙の図面に記入した内容を事務所へ持ち帰り、パソコンで各協力業者向けの指摘一覧表を作成するだけで4〜5時間かかっていました。
導入後は現場でタブレットを使いながら検査を行い、指摘箇所をその場で撮影して図面と紐付けるだけでデータが自動的に整理されます。事務所に戻って出力するだけで書類が完成するため、今ではわずか10〜20分で完了するようになりました。
――日常の写真整理業務でも、生産性は向上されましたか?
大里氏 劇的に向上しました。以前は夕方に事務所へ戻り、デジカメのデータをパソコンへ取り込み、一枚一枚手作業で整理していましたが、今では現場でタブレットを使って撮影すると、その場で自動整理され、クラウドへ保存されます。以前は写真整理などの事務作業で遅い時間まで残業することも珍しくありませんでしたが、現在では業務効率が大幅に向上されています。
写真整理などに費やしていた時間が大幅に削減されたことで、その分を本来の施工管理や図面の検討といった技術者のコア業務に充てられるようになりました。時間的にも精神的にも余裕を持って、より良い建物作りを検討できるようになったため、結果として以前よりも品質の高い建物を提供できていると感じています。
――そこまで徹底されていると、現場の週休2日も確実に守れそうですね。
大里氏 現場でも、週休2日を確保するとともに、有給休暇の取得状況についても適切に管理しています。建築部では課長クラスであるグループリーダーが中心となり、メンバーの勤怠状況や有休休暇の取得状況を日々確認しています。
――とはいえ、実際の現場ではどうしても土曜日に稼働しなければならない場面もあるかと思いますが。
丸山氏 状況によってはもちろんあります。そのため当社では、土曜日に休日出勤をする場合は、事前に平日の振替休日をシステム上で設定しなければ、出勤申請自体が承認されない仕組みになっています。これにより、年間休日数125日をきっちり確保できるよう運用しています。
大里氏 現場内でもローテーションを組み、遅くとも1ヶ月以内には必ず振替休日を取得できるようにしています。短工期の案件などで一時的に業務が集中する場合は、プロジェクトが竣工した後にまとまった休暇を取得するケースもありますが、当社は「健康経営優良法人ブライト500」の認定も受けていますので、社員の健康を第一に考えて、できるだけ定期的に休暇を取得できる仕組みづくりに全社で取り組んでいます。



