建築施工管理技士の「コミュ力」を育む改修工事
しかし、近隣住民などに気を回しすぎると、工事が円滑に進まないのも事実だ。工事とは「多かれ少なかれ他人に迷惑を掛けるもの」である。
そこで、大切なのが「コミュニケーション能力」だ。工事の利害関係者に対して、「工事の内容」「迷惑をかけるかもしれない懸念事項」「懸念事項に対する対策」の3つをセットにして説明し、工事に対する理解を得るのも建築施工管理技士の仕事だ。それだけではなく、普段の挨拶や、異変に気づいた時の細やかな配慮や対処、改善の提案などを、コミュニケーションという形で行う必要がある。
なぜなら、人間とは「普段から自分の事を気にかけてくれる人」に対して悪い印象を持ちにくい生き物だからだ。もし工事に関して困った事態が発生した場合でも、利害関係者との継続的なコミュニケーションがあれば、「少し迷惑をおかけしますが、〇〇の方針で工事を進めさせて頂ければ助かります」という、環境を悪化させるような工事方法を提案しても、素直に受け入れてくれるようになる。
このようなコミュニケーション力は、新築工事よりも、改修工事のほうが何倍も身につくので、若い建築施工管理技士には、早い段階で改修工事を経験しておくことをオススメする。
建築施工管理技士の転職にも役立つ改修工事
建設業は、どこまでいっても「人と人とのコミュニケーション」が大切である。コミュニケーション力がない建築施工管理技士は成長しないし、給与も上がらない。建築施工管理技士としてのコミュニケーション力を伸ばすためには、改修工事は非常に効果がある。
蛇足だが、現在では一口に建設業と言っても様々な業種があり、改修工事専門の企業もある。建築施工管理技士は一昔前よりも働きやすい環境を自分で選択できる状況にあるため、改修工事の経験は、建築施工管理技士にとって転職の幅も広がることになるはずである。