橋桁が架からない橋脚も作った
施工:50年の土木人生で失敗談は?
原田:まず仕事をする以上、失敗しない人間はいないですが、私の場合、測量の勘違い、図面の見方の間違い、打ち合せ不足、発注者との踏み込んだコミニュケーション不足などで大きな失敗を経験しました。
特に若い頃は、橋桁が架からない橋脚を作ってしまったこともあります。失敗の原因は、図面を思い込みで見てしまったことです。結果、橋脚を解体して作り直しです。会社には多大な迷惑を掛けてしまいましたが、工期内に竣工したのでひと安心でした。
施工:他にも失敗を?
原田:下水道管(推進管)を所定の位置へ到達できなかった失敗もあります。これも測量の思い込み違いでした。予算も工期も大幅にオーバーした苦い経験があります。
他にも現場で怒られた失敗談はたくさんありますが、その場しのぎで対応してはいけないということを、声を大にして申し上げたいです。50年も土木屋をやっていれば、成功した経験も失敗と同様にたくさんありますが、失敗は私の土木屋としての礎を形成しています。
施工:施工管理で最も苦労するのは?
原田:私は元請け、下請けの正社員、老年になってからは派遣社員も経験しているので、それぞれの立場での苦労があるので一概に言えません。施工管理の仕事によっても色々な苦労があります。
ただ1つだけ施工管理で最も重要な心構えを挙げるとすれば、安全第一を肝に銘じ、下請けも含み、皆と仲良く作業に携わることです。
施工:土木技術者になって良かったと思う瞬間は?
原田:現場代理人・監理技術者として、無災害で出来映え良く竣工したときです。引き渡し検査の時に、発注者からお礼を言われたときは、土木屋をしていて良かったなと、胸にくるものがありましたね。大成建設のCMではないですが、地図に残る仕事ができたときは、多くの土木技術者が土木技術者になって良かったと思うのでは。
一番楽しく立派なことは、一生涯を貫く仕事を持つこと
施工:長年の現場経験から、今後の建設業はどうあるべきと思いますか?
原田:週休2日を導入し、それに係わる工期、工費を発注者自体が見つめないと、若い人に人気がなく、業界全体が衰退してしまうと思います。しかし、建設業から離れる人がいても、歯を食い縛って頑張っている若者もいることは、声を大きくして言いたい。
建設業の一番の問題点は、若者の人手不足および職人さんの現場経験者が大幅に不足していることです。だから私も土木に恩返しするつもりで現役を貫いています。
施工:建設現場で働く女性「けんせつ小町」が増えているようですが?
原田:現場の環境が色々改善されるので良いことです。自分が苦労して施工した建築物、構造物を2、3年後に観るのも楽しいですよ。
施工:最後に土木技術者としての教訓等があれば教えて下さい。
原田:福沢諭吉の心訓「世の中で一番楽しく立派なことは、一生涯を貫く仕事を持つことである」。私はこれを肝に銘じて土木屋を50年続けてきました。それから、最初の現場で土木について教えてくれた先輩の土木屋を尊敬する気持ちを今も持ち続けています。
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いやー私は57才で派遣ですが、頭が下がります❗️