現場代理人、女の言いなりになる
バレンタインデーが過ぎたある日、私は、現場で代理人Uさんと設備工のEさんが雑談しているところを垣間見ました。「またEさんいる・・・」と思いつつ、Eさんの態度が普段とは程遠く、ものすごく大きいことに気がつきました。
言葉がタメ口で、ボディタッチが激しく、しかも多い。とにかく楽しそうに、バシバシとUさんの胸元を叩きまくる。Uさんもニヤニヤと笑みを浮かべ、ひたすらに叩かれる。それを見た私は、その様子を見ても、「へえ~仲良しなんだなあ~」と思い、ちょっと引くのみでした。「バレンタインデーで距離が縮んだのかな?」とも思いました。
この頃から、現場代理人のUさんが何かと私の作成した図面に対して、やたらと質問をしてくるようになりました。例えば、「コンセントの間隔が近すぎるのではないか?」とか、「換気扇の位置はこの位置で部屋全体の換気ができるのか?」とか、現場代理人らしからぬ質問ばかり。現場代理人は、このようなプランに関してはあまり口を出すことはなく、納まりに関して質問をしてくることが多いので、この行動には疑問を感じました。
ある日、Uさんが携帯で誰かと話しているのが聞こえ、どうやら私の現場のことのようなので、聞き耳を立てていると、こんなことを言い始めました。
Uさん「あ~、そこはちょっと俺にはわからない。え?あ~、うん。わかったよ。聞いてみるよ。うん。わかった、ちょっと待って」
スタスタと私のところに来るUさん。
Uさん「ちょっと、A邸のことで質問あるんだけど図面出せる?」
私「はい、何でしょう」
質問は、窓の位置についてでした。
Uさん「この位置では西日が入るのでは?」
私「この窓の位置は施主さんと打合せして決めてありますので、説明して理解してもらっているので大丈夫ですよ。大工さんからの問い合わせですか?電話出ましょうか?」
Uさん「いや、Eさんだから大丈夫。ありがとう」
そう言ってUさんはそそくさと会話の聞こえない所へ立ち去って行きました。「なぜEさんから?」と疑問に思いましたが、Eさんは私に「私も建築士になりたいんですよ~」と言ってくれたことがあったので、私の図面を見ていろいろ勉強してくれているんだなあと、まだまだ気がつかない私は、勝手な解釈をしてしまいました。
現場代理人Uさんの不審な行動はこれに留まらず、この現場や他の現場での発注ミス、打ち合せのドタキャン、検査の依頼忘れ、工期を遅らせる等のミスを連発するようになりました。特にこの現場では、現場には来ているはずなのに状況がまるで頭に入っておらず、「現場で何をやっているの?」という疑問を持たずにはいられない状態になっていました。
そして、毎週行う社内会議の話題が、現場代理人Uさんのミスと、その対策で持ち切りになったある日、大変興味深い出来事が起こりました。
えぐいなー