株式会社交換できるくんと伊藤忠エネクスホームライフ株式会社は、工事付き住宅設備ECを手軽に開設できるクラウド型プラットフォーム「Replaform(リプラフォーム)」を共同開発し、2025年7月1日からハウスメーカー、管理会社、不動産事業者などへの導入提案を順次進めている。同年8月には伊藤忠エネクスホームライフがリプラフォームを採用し、「eコトもーる」を開設した。今後、リプラフォームの導入を通じて各業界の新たな事業機会を創出し、住設交換ビジネスのDXに貢献する。
リプラフォームは、ECサイト構築、オンライン見積り、受発注管理、工程管理までをワンストップで提供する法人向け住設ECプラットフォーム。専門的なIT知識や大規模なシステム投資を必要とせず、容易に導入・運用が可能だ。現地調査不要のオンライン見積りに加え、在庫・商品管理や、施工体制まで含めた「工事付きEC」の仕組みをクラウドで提供する。
これまで交換できるくんには、ハウスメーカーや管理会社などから、当社の工事付き住宅設備EC「交換できるくん」をOEM提供してほしいという要望が多数寄せられていた。この市場ニーズを背景に、リプラフォームの共同開発が実現した。交換できるくんの100%子会社である株式会社KDサービスが、オンライン見積りから注文、仕入れ、施工手配までを一括で担うことで、住宅設備ECの開設・運用コストを大幅に低減し、企業の新規事業参入を後押しする。
これと並行し、交換できるくんとKDサービスは、水道・ガス・電気など複数の住宅設備に対応可能な多能工人材「プロフェッショナル交換士」を育成する研修施設「交換技能アカデミー」をさらに充実させていく。リプラフォーム事業の拡大には小工事を担う多能工が不可欠であり、プロフェッショナル交換士の育成が重要であるとの考えだ。
今回、KDサービスの代表取締役社長の吉田正弘氏、執行役員の池田峻二氏に話を聞いた。
大規模工事につなげるために小工事も重要視する

左から、KDサービスの代表取締役社長の吉田正弘氏、執行役員の池田峻二氏
――クラウド型プラットフォーム「Replaform」(リブラフォーム)サービスが開始された背景から教えてください。
池田峻二氏(以下、池田氏) マンションの管理会社やハウスメーカーからは、「交換できるくん」と同じようなサイトをつくりたいというご要望がこれまで数多くいただいてきました。背景には、不動産会社やハウスメーカーが販売した物件の顧客と長く関係を維持し、次のビジネスにつなげたいという狙いがあります。ライフタイムバリュー(LTV)の観点では、時間をかけて顧客価値を高めていくことが何より重要です。その先には、大規模リフォームやリノベーション、外壁塗装などといった事業領域も見据えています。そして、その過程で必ず発生する小工事への対応を大切にしているのです。
これまで住宅の小工事は、チラシ配布やメール配信などで集客し、電話で問い合わせを受ける反響営業が一般的でした。しかし、「交換できるくん」のサイトが持つ仕組みは、こうした従来の集客課題を解決します。そこで当社は、その仕組みを基にした工事付き住宅設備ECを手軽に始められるプラットフォーム事業を、伊藤忠エネクスホームライフと2024年9月から共同開発し、2025年7月にリリースしました。「Replaform(リプラフォーム)」は、「リフォーム」と「プラットフォーム」を掛け合わせました。
現在も多くの問い合わせをいただいています。このシステムをゼロから立ち上げるには、数億円規模の投資が必要ですが、当社のサブスクリプションモデルなら初期費用なし・最短約1週間で導入可能です。

リプラフォームのビジネスモデル
薄利多売の小工事はリソースを割けない事情も
――従来はどのような課題があったのでしょうか。
池田氏 従来の住設交換サービスについて取引先企業にうかがうと、大きく4点の課題が挙げられました。
- 自社顧客に住設交換を提案したいが、対面営業には限界がある
- 工事の見積り対応や業者手配にリソースがかかるが、人も時間も足りない
- 新商品の発売や価格改定、在庫管理など商品メンテナンスの負担が大きい
- 施工業者に住宅設備交換を丸投げしているため、実績データが社内に残らない。
小工事は1件あたりの単価が15万円前後と比較的低く、住宅業界にとっては薄利多売のビジネスです。したがって、この領域に人件費などのリソースを割きにくいという事情があります。
一方で、トイレ、エアコン、ガスコンロ、レンジフード、食洗器など扱う商品は多岐にわたり、付随する部材も膨大です。さらにメーカーによる年1〜2回の価格改定や新商品発売もあり、この一連の管理は非常に手間がかかる業務です。
専門知識不要でEC参入、顧客接点の強化とデータ活用を実現
――リプラフォーム導入により、どのようなメリットが生まれますか。
池田氏 小工事を施工業者に丸投げしてしまうと、顧客との接点が失われ、どの商品に交換されたかといった情報が管理会社に残りません。結果として顧客データが蓄積されず、関係も途絶えてしまいます。リプラフォームを導入すれば、次のようなメリットが生まれます。
まず、ITや住宅設備交換に詳しくなくても、自社ブランドのECサイトを簡単に構築でき、お客様に直接アプローチできるようになります。次に、オンライン見積りから注文までの一連の流れがすべてネットで完結でき、これまで煩雑だった実務は当社が代行します。商品追加や価格改定といったメンテナンスもリプラフォーム側で担うため、仕入れや在庫管理に追われる必要もありません。さらに、ダッシュボード機能を使えば、交換実績や顧客属性を可視化でき、そのデータを活用してPDCAサイクルを回し、LTVの向上につなげることが可能です。

――リプラフォームを導入している会社は。
池田氏 現在、LPガス供給会社の伊藤忠エネクスホームライフ株式会社がリプラフォームを採用し、「eコトもーる」(※)というサービスを開始しています。申し込み以降の業務はKDサービスが担い、「eコトもーる」のサイトにも指定業者として明記されています。
※eコトもーる・・・伊藤忠エネクスホームライフが運営する給湯器、ガスコンロやエアコンなどの住宅関連商品を扱うECサイト。
本格的な営業展開も始まっており、加盟企業は今後さらに増える見込みです。Webからの問い合わせも多く、アプローチ先も数十社です。当初想定していたハウスメーカーやマンション管理会社だけでなく、エネルギー系インフラ企業、家電量販店などからも声がかかっています。
費用削減でECを容易に作成できる効果も
――リプラフォームを導入する効果を改めてお聞かせください。
吉田正弘氏(以下、吉田社長) マンション管理会社やハウスメーカーは多くの顧客基盤を持っていますが、その顧客に対して工事付き住宅設備ECで手軽に販売したいというニーズは根強くありました。しかし実際には、ECサイトの構築には時間と費用もかかり、投資に見合う成果が得られるのか不安を感じる取引先企業が少なくありませんでした。リプラフォームを導入すれば、初期費用はほぼゼロで、月々の負担も抑えてサイトを立ち上げられるという大きなメリットがあります。
また、新規事業は「10件に1件当たれば良い」とよく言われますが、「交換できるくん」が持つノウハウは、他社にはない強みです。確かに費用と時間をかければECサイト自体はつくれます。しかし、それを育てることができるかどうかは別の問題です。顧客にとって使いやすく、見やすいサイトを実装できるかどうかが勝負どころになります。当社には20年にわたり蓄積してきたノウハウがあります。その優位性を、リプラフォームという形で提供するのが、今回の仕組みです。

池田氏 リプラフォームは単なる物販ではなく、施工という役務まで網羅しています。お客様から送られた写真だけで、現在お使いの機器からECで選んだ商品が設置可能かどうかを判断するシステムは、当社ならではのノウハウだと自負しています。
新規事業としてECサイトを立ち上げても、ノウハウがなければ成功は極めて難しいと考えます。しかし、当社が20年間にわたり培ってきた知見を詰めこんだリプラフォームを導入いただければ、成功への近道になると考えています。
住設交換は、専門技術を持つ「交換士」が活躍
――商品の設置は「プロフェッショナル交換士」が担当するのでしょうか。
池田氏 はい。設置は当社の「プロフェッショナル交換士」が担当します。住宅設備の交換・取り付けに特化した専門エンジニアで、従来の職人のイメージを刷新し、クリーンでスタイリッシュ、かつ高収入も期待できる新しいサービス業としてブランド化を目指しています。
水・ガス・電気といった幅広い分野の交換技術を習得しているため、マルチに対応できるのが特長です。その結果、お客様は安心して長期的な信頼を寄せることができ、交換士自身も年間を通じて安定した仕事を得られます。

――リリースには「施工分野の協業」とありましたが、この点について詳しく教えてください。
池田氏 現在、検討段階ですが、伊藤忠エネクスホームライフはガス工事の施工スタッフを抱えており、リプラフォームの工事での連携に加えて、水回り工事まで対応範囲を広げたいというご要望があります。そのため、交換できるくんと当社が共同運営する研修施設「交換技能アカデミー」で共同研修を行い、同社スタッフの多能工化を支援していく計画です。
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吉田社長 「交換技能アカデミー」は、2024年11月にスタートし、すでに1期生が巣立ち、現在は2期生を育成中です。当社は「プロフェッショナル交換士」という職業名称を創設し、水道・ガス・電気など複数の住宅設備に対応できる多能工人材を増やしていきます。2025年6月30日には、交換士が250名を突破しました。こうした人材育成こそが、リプラフォーム事業の拡大を支える基盤となると考えています。
――取扱商品について教えてください。
池田氏 基本的には「交換できるくん」のサイトとほぼ同じ商品を扱います。具体的には、食洗機やガスコンロ、IHクッキングヒーター、レンジフード、トイレ、ガス給湯器などのキッチン・水回り機器を中心に、蛇口・水栓、浴室乾燥機、壁掛けエアコン、エコキュートなどもラインナップしています。将来的にはさらに品揃えを拡充していく予定です。たとえばインターホンや宅配ボックスなど、住まい全体を快適にする商材も検討の余地があります。

主要取扱メーカー
――リプラフォームのビジネスモデルについてはいかがですか。
池田氏 リプラフォームのビジネスモデルは、2つの形で考えています。ひとつは「交換できるくん」みたいに、誰でも利用できるオープンなECサイト。これは伊藤忠エネクスホームライフさんでの導入がそのイメージです。もうひとつは、不動産会社が管理しているマンションの入居者など、特定の顧客だけが利用できるクローズドなサイトです。
このオープン型とクローズド型、2つのサイトを使い分けながら展開していく方針です。
吉田社長 KDサービスでは、お客様がECサイトを立ち上げる際に、柔軟なカスタマイズにも対応します。オンライン見積りから受注・決済・工事、さらには10年保証やアフターサポートまで、「交換できるくん」が持つ資産(アセット)をすべて提供できるのが強みです。そのため事業者様は安心してリプラフォーム事業を始められます。多くのお客様にご利用いただき、ともに成長していきたいと考えています。
既存顧客基盤を新たな収益源に
――伊藤忠エネクスホームライフとの業務提携からリプラフォームは本格始動しましたが、この経緯を教えてください。
池田氏 伊藤忠エネクスホームライフとの提携は、まずは第1弾としてリプラフォームの共同開発、続いて第2弾として資本提携となります。同社は、LPガスの供給先が年々減少する中で、既存の顧客基盤を活かした新規事業を模索しており、当社に声をかけていただいたのがきっかけです。従来は、住宅設備の受注は営業スタッフが対面で行っていましたが、営業に依存せずに販売できるECシステムの構築を目指されており、そこが当社の強みと一致して、共同開発に至りました。
――リプラフォームの今後の方針についてお聞かせください。
池田氏 今後の方針として大きく2点あります。1つ目は、現在「交換できるくん」で扱っていない商品も取り入れ、商材点数を増やしていくこと。2つ目は、システム面での強化です。AIの活用に加え、現在のECサイトだけでなくスマートフォン向けのアプリ版の開発なども検討しています。
吉田社長 デジタル化を進めたい企業にとって、リプラフォームは大きな武器になると考えています。現在アプローチしている既にお声がけいただいている数十社に、利用のメリットをしっかり伝えていきたいです。
また、プラットフォームをさらにバージョンアップしていく方針です。ECサイトは立ち上げるだけでなく、継続的に育てていくノウハウが必要です。その「育て方」においても、「交換できるくん」とリプラフォームが伴走できるような体制を整えていきます。
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