コンクリートスラッジの再資源化、有効活用方法
数十年も前から、地球環境保全や工場側の費用負担軽減という観点から、このコンクリートスラッジを有効活用できないかという論文や研究は数多くされています。しかし、実用化や一般的な普及までには至っていないのが現状です。
これまでの多くの研究は、スラッジを加工するなどして、コンクリート混和材や脱リン剤、酸性排水の中和剤などとしての再資源化を試みるものだったようですが、より広く普及する再資源化の糸口が必要です。
コンクリートスラッジの有効活用としては、再生路盤材の一部としての使用方法などが挙げられますが、その使用量はそれほど多くなく、スラッジの発生量に対して少ないため、あまり有効な方法とはいえません。
コンクリートスラッジの成分を考えると、コンクリートが元になった廃棄物なので、成分としては強アルカリです。その性質を利用して、例えば現場での埋め戻し材として使用できれば、白アリ対策にも有効でしょうし、「通常の土などよりも締まりがいい」ということで、工場に引き取りに来る業者も実際います。
また最近では、ポンプ圧送の先行材としての使用方法も確立されつつあるようです。もともと先行モルタルなどはそのまま廃棄物となるものなので、コンクリートの廃棄物であるスラッジを先行材として使用できるのであれば、環境的にも非常に良いものであると言えます。
持続可能な社会を目指して残コン問題解決を!
このように、生コン業界からの目線ではありますが、環境に配慮した持続可能な社会を目指す意味でも、残コン問題というのは解決しなければならない喫緊の課題だと多くのコンクリート業界関係者は口を揃えて訴えています。
しかしながら、これは生コン業界だけではなく、設計者や施工者、さらにはポンプ圧送業界などの周辺業界も一緒になって取り組むべき問題であり、そうしなければ解決できない問題なのです。