生コン工場にとって厄介な「コンクリートスラッジ」
生コン打設時に余ってしまう「戻りコン」という残コン問題は、前回の記事で紹介したように、 生コン業界だけではなく、施工者との問題意識の共有が必要です。
そして生コン業界では、その「戻りコン」問題とは別に、「コンクリートスラッジ」という、もう一つの残コン処理の問題についても、長年議論されてきました。
コンクリートスラッジとは、生コンを運んだ後のミキサー車を洗った洗浄水から出る汚泥のことで、どこの生コン工場からも少なからず発生する産業廃棄物です。
このコンクリートスラッジには、セメントや砂などが多く含まれていると同時に、そのままでは廃棄ができないため、脱水や乾燥の工程を経て処分をします。コンクリートスラッジの処分では、管理型の埋め立て処分場での処分が義務付けられていますが、近年では処分場の確保が困難になってきていることや処分費の高騰など、処分をするにしても多くの問題が発生しているという厄介モノなのです。
スラッジの管理方法に問題がある生コン工場も多い
スラッジの管理方法は工場によって異なりますが、ミキサー車の洗車場に分級設備が導入されていてスラッジと骨材などを分級している場合と、分級設備がなくスラッジと骨材などがそのまま混ざった状態の場合とに分かれます。
分級している場合はフィルタープレスされたスラッジケーキとして管理されますが、分級されない場合は工場敷地内などに野積みをして乾燥することが多く、セメントに含まれる六価クロムなどの有害物質の存在を考えると、コンプライアンス上の問題が多い管理方法とされています。
工場内での野積みを長期間放置すると、保健所などから是正指摘の対象となるのです。

工場内に野積みされたスラッジの山