民間相手の地域建設業で必要な技術者とは?
舗装工事などを手がけるTS GROUP(タケムラグループ、竹村仁志代表、本社=三重県四日市市)には、1級土木施工管理技士をはじめ、12名の技術者がいます。
地域密着で、民間相手の仕事を主力とする地域建設業では、技術者にはどのような能力が求められるのでしょうか?
TS GROUPの株式会社コーストメイトの技術者である竹村信亮さん(タケムラ代表の弟さん)と光本誠さん、そして竹村仁志代表をまじえ、お話を伺いました。
「体を動かす仕事が好き」で土木の世界に

株式会社コーストメイト 竹村信亮さん
施工の神様(以下、施工):まず、土木の仕事に興味を持ったきっかけは?
竹村信亮(以下、信亮):家業が舗装の仕事をやっていたことはあります。農芸高校に通っていた頃、夏休みに庭師さんのもとでアルバイトをしていたのですが、アルバイトが終わって、ダンプに乗って帰っているときに、「体を動かす仕事は、気持ちいいなあ」と思ったことが、きっかけです。
施工:光本さんは?
光本誠(以下、光本):子供の頃に、土木工事現場で働いている人を見て、「カッコイイ」と思ったことがきっかけです。高校でも土木を勉強しました。高校の勉強では、教室の中での座学よりも、外での実習の方が時間が経つのが早く感じました。それだけ授業に集中していたんでしょうね。自分は外での作業が好きなんだ、と改めて気づきました。
施工:土木の仕事のやりがいは?
信亮:2年ほど前、東邦ガス株式会社の舗装の現場が印象に残っています。ちょうど年度末の繁忙期で、普通の半分の人数で作業をせざるを得ませんでした。私は監督だったのですが、私も作業にかかりっきりでした。どちらかと言えば、恥ずかしい話かもしれませんが、1万3000平方メートルほどの舗装工事を少人数で仕上げたということで、思い出に残る仕事ですね。
施工:普通は何名でやる作業なんですか?
信亮:切削、オーバーレイ工だと、普通は7〜8名です。それを5名でやりました。
竹村仁志社長(以下、竹村):素人をかき集めて、やっとその人数でした。
信亮:全員素人でしたが、必死でやっているうちに、いつもはやらせてもらえない仕事もできるので、それぞれがスキルアップするんですよね。私自身、監督として、技術者として、楽しかった現場です。
図面が読めない現場監督の下で、ジェットコースターの基礎づくり

株式会社コーストメイト 光本誠さん
施工:光本さんの土木のやりがいは?
光本:竹村社長のもとでは、「チャレンジ」する仕事もけっこうあって、そういう仕事に取り組んだときにやりがいを感じます。3年ほど前、株式会社NIPPOさんの下請けで、鈴鹿サーキットでジェットコースターの基礎をつくる仕事をやったことがあります。
私は最初、ジェットコースターの設置は、まず基礎をつくって、あとから柱を立て、ボルトで角度などを合わせるのだと考えていました。ところが実際は違っていて、あらかじめジェットコースターの構造は決まっていて、北海道でつくって、それを現地に持ってきて、そのまま設置するというやり方だったんです。だから、基礎の部分は、位置や角度などに一切の誤差なく、キッチリつくらなければいけません。それを知ったとき、私は焦りを覚えました。
ジェットコースターの組み立ては、別の専門会社が行うわけですが、次々とレールが組み立てられ、最後につながったときに、やりがいのある仕事をしたなあ、という感じがしました。
施工:現場監督だったのですか?
光本:現場監督は別にいたのですが、初めての方でした。
竹村:その人は、図面が読めない監督だったんです。だから、光本くんが実質的に監督をやっていたんですよ(笑)。
光本:その監督さんに「これはどうしたら良いですか」と聞いても、「下請けの仕事は、自分たちで考えなアカン」という返答でした。かなり不安な現場でした。派遣で来た監督さんだったようです。
施工:辛かった?
光本:辛かったですね(笑)。
50代、土木。私もMです。
しかし、Sも多いと思います(笑)