高流動コンクリートの注意点とは?
これまでの高流動コンクリートで考えると、粉体量を多くするため粘性が強いという特徴が挙げられます。新しくJIS化される高流動コンクリートは、増粘剤含有高性能AE減水剤を使用しての製造が見込まれていますが、高い粘性を持つということは、ポンプ圧送時の圧力が損失されることを考慮しなくていけません。
また、分離抵抗性が高くなることでブリージング量が少なくなることも考えられます。ブリージングが少ないと、コンクリート打設後の表面が乾燥しやすくなり、ひび割れが発生しやすくなります。そのため、散水や養生剤の使用などの初期養生に配慮が必要となってきます。
さらに、流動性が高くなるということは、型枠にかかる側圧も強くなることも注意が必要な部分です。
高流動コンクリートの新たな試験方法「Jリングフロー試験」
高流動コンクリートの性能評価試験として、第一に挙げられるのがスランプフロー試験ですが、他にも間隙通過性試験、漏斗流下試験など様々な試験があります。しかし、今回のJIS化に向けて、より簡易な試験方法が採用されます。それがJリングフロー試験です。
Jリングフロー試験は通常のフロー板に、鉄筋に見立てたJリングを設置することで、流動性と同時に間隙通過性も評価する試験方法です。この試験方法により、効率良く高流動コンクリートの性能を評価することができるようになります。
実際、私自身も高流動コンクリートの出荷に関わりましたが、出荷の際の試験がフロー試験に加え2つも3つもあり、人員も必要でかつ時間もかかるなど、非常に大変な思いをしたものです。
今こそ、生コン業界が変わる時!
高流動コンクリートは、これまでの普通の生コンよりも製造側や施工側での注意点が多く存在しますが、今後の人口減少や職人不足のことを考えると、積極的に採用・推進されるものと考えられます。新しい技術の導入が苦手な生コン業界ゆえ、今回改正される高流動コンのJIS化を進める工場と、そうでない工場の二極化が進む気がします。
コンクリートを製造する側の考えとして「需要があるかどうかも分からないのに、わざわざJISを取得するのか」という意見もあるかもしれません。しかし時代の流れには逆らうことはできず、需要は確実に増えていくと考えられます。
逆に、施工者側に対して積極的に高流動コンクリートを提案できるような工場こそが生き残っていくと思います。今こそ、施工者側も工場側に要望を出すなどして、建設業界が解決すべき問題に対して関係者が一丸となって対峙しなければならないのではないでしょうか。