移動式クレーン作業の安全対策
移動式クレーン作業の安全対策では、用語に関する問題と施工に関する問題の2パターンが出題されます。下線部は、特に注意が必要です。
〇 用語に関する問題
- 吊り上げ荷重→吊り上げる事のできる最大の荷重のこと。ジブの長さを最も短くし、クレーンの傾斜角も最大にした状態で吊り上げる事のできる荷重(フックや吊り具の重量を含む)。
- 定格総荷重→ジブの長さやクレーンの傾斜角といったクレーンの使用状況に合わせたクレーンが持ち上げられることのできる荷重のことで、フックや吊り具の重量を含む。
- 定格荷重→ジブの長さやクレーンの傾斜角といったクレーンの使用状況に合わせたクレーンが持ち上げられることのできる荷重のことで、フックや吊り具の重量を差し引いた、実際に吊上げることの出来る荷重のこと。
試験問題では、「定格荷重」と「定格総荷重」がよく出題されます。「フックや吊り具の重量」を含むかどうかで誤りか正しい記述かどうかを判断しましょう。
また、「定格荷重」とはクレーンの状態に合わせた最大の荷重を表す言葉です。「定格荷重を超えて荷重をかけられる」という記述があった場合は、どんな条件であろうと誤りとなります。
〇 施工に関する問題
- 強風時は吊り荷が風であおられ、転倒などの危険があるため作業は中止しなければならない。
- 吊り荷を上げた状態のままで、運転者は運転席を離れてはならない。
※「安全を確認するため」「作業主任者指揮のもと」など、もっともらしい条件がついていても、吊り荷を上げた状態のまま運転席を離れることは禁止されています。
- 原則、クレーンで労働者を吊り上げてはならない。ただし、作業場やむを得ない場合で、吊り具に専用のとう乗設備を設ける場合のみ労働者を吊り上げることができる。
- クレーン機能付きバックホウでクレーン作業を行う場合は、車両系建設機械と移動式クレーン双方の資格が必用となる。
安全対策(移動式クレーン作業)の練習問題
【例題】次の記述は正しいでしょうか?
◇クレーンの定格荷重とは、「吊り荷」と「フック」「その他吊り具等」の重量を合計した吊り上げ許容荷重のことをいう。
解答×…定格荷重は負荷させることができる最大の荷重から「吊り荷」と「フック」「その他吊り具等」の重量を控除した荷重のことをいう。
◇事業者は、ドラグショベルによりクレーンモードで吊り上げ作業を行う場合、車両系建設機械の運転資格者に特別教育や技能講習を省略して作業をさせることができる。
解答×…ドラグショベルは通常は掘削等の作業を行う建設機械である。クレーン機能は備わっているが、クレーンとして使用する場合は、つり上げ荷重によって、特別教育、技能講習、または免許が必要となる。