元請けゼネコンが仕事を依頼するときの鉄則
私も元請けのゼネコンにいて、社内の人や外注先に仕事を依頼するときに、気をつけていることがあります。それは「品質の基準を示すこと」です。どんなものが必要か?形は?誤差の範囲は?いつまでに?など、品質を左右する要素は依頼する側が示すべき事項です。
元請けのゼネコンが下請け会社に仕事を頼む場合、品質の基準を示すことで、指定通りのモノが出来上がります。図面を提示し、数量を示し、期限を教える。材料は何を使うかをきちんと公開する。完成形のイメージを具体化して示す。これをやるから、下請け会社さんが仕事をできます。この流れは鉄則です。
品質管理の手法については、受注者にゆだねてもいいですが、基準をしっかり示すことは必須条件。逆に、これを怠ると、とんでもないことになります。現場で「こんなイメージで」とか「ああやって」とか「こうじゃない」とか抽象的なことばっかり職長さんや作業員さんに言ってたら現場はメチャクチャになります。
元請けの建設コンサルタントが下請けの会社に仕事を頼む場合も、必要な設計項目を提示し、業務の範囲(全部やってもらうのか、ある一部だけでいいのか)をきちんと線引きし、いつまでにどんな資料が必要かを指示します。完成形のイメージを具体化して示すから、下請け会社さんも仕事ができます。下請け先に「あの図をこうしてああして」とか「こんなイメージじゃない」ばっかり言ってたらどうなることか想像できますよね。
役所も大手企業も「品質基準」をきちんと示すこと!
役所だけではありません。大手企業にも仕事の依頼方法がデタラメな人はいます。
私はかつて、下請けで設計を行う会社に勤めてました。建設業界では誰もが知ってる大手の会社から仕事を頂き、設計業務をやっていましたが、たまに全然イメージを伝えてこない人がいて、そうなると仕事がいつまでたっても終わらないんです。「イメージと違うよ」としか言われない。具体的なことは何も指示されない。その繰り返しなので、工期はどんどん迫るけど、検討業務が1ミリも前に進みません。
ある時、その担当者の上司から謝罪の電話が会社に入ったことがあります。「ちゃんと指示ができてなくて申し訳ない」と。普段は厳しく接してくる人なんですが、平身低頭といった感じの雰囲気が受話器越しに伝わってきました。最終的にはどうにかまとまりましたが、そのときもイライラしました。
民間企業はまだ少ないほうですが、完成形のイメージを全然伝えない、イメージ持てない人は、役所で目立ち、なおさらタチが悪いです。全部受注者にしわ寄せを押し付け、その挙句「企業努力だろ!」と訳の分からないアホなことを言う人もいます。その発注者の怠慢たるや・・・そんなことを何度も体験して、仕事を依頼するときは、自分自身も「品質基準をきちんと示すこと」を学びました。外注するときはもちろんのこと、社内や組織内の人に仕事をお願いするときもそうです。
何をいつまでにやるのか、ポイントはどこか、何を参考にすればいいか、などを明示することは、仕事を依頼する側の責務です。