セパの溶接の工夫
型枠を組み終わったら、枠が動いたり浮いてしまったりするのを防ぐためにセパの溶接を行う。その際、セパの溶接の仕方によって、生コン打設時に型枠にかかる力のかかり方に違いが出てくることは、多くの現場監督もご存知だと思う。膨張性がある生コンは打設すると枠が膨れるため、サポートなどでツッパリを取ることは当たり前の話である。しかし、セパの溶接一つで、枠の上下にかかる力を利用できることは、案外知られていない。
まず型枠のセパは、横方向のセパと縦方向のセパを十字型に溶接する。その際、どちらか片方向のセパを少し下方向に曲げて溶接することで、型枠が上に行こうとする力を抑えることができる。つまり枠の浮き止めの役割だ。逆に横セパと縦セパを水平に溶接してしまうと枠が上に浮いてしまう。これは生コンの圧力がセパにかかる力を利用した施工方法である。
水平に溶接されたセパに生コンが入ると、生コンは性質上、上方向にセパを引っ張ろうとするが、それで型枠が浮いてしまう原因になる。逆に下方向に向いたセパに生コンが入ると、生コン重量の力がそのまま下方向のセパにかかる。そうすることで下方向に圧が働き、枠が浮き上がることを防いでくれるというわけだ。
意外とセパの溶接の仕方で、枠の浮き止めをできるということを知らない施工者は多い。私もこの方法を知ったときは非常に感動した。
施工管理技士は「資格の教科書」よりも「職人の知恵」から学べ
職人たちは毎日施工を行いながら、色々な知恵を身に着け、日々勉強している。しかし、私たち施工管理技士は資格の教科書に載っている施工方法が絶対に正しいのだと思い込んでしまいがちだ。
毎日、目まぐるしく状況が変化する環境の中で施工を行っている職人たちの知恵は、教科書では学ぶことが出来ないくらいに勉強になる。
私は施工者を管理する立場だが、職人たちからは勉強させてもらってばかりである。施工管理技士に必要な応用力は、職人たちから学ばせてもらうのが一番の近道かもしれない。
型枠大工とかいう底辺が勉強しろとか偉そうなこと言ってて滑稽ですね。