原発事故による除染作業と家屋解体工事
2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震による災害および、これに伴う福島第一原子力発電所事故による災害が発生し、福島県の南相馬市、いわき市などは、津波による甚大な被害を受けました。
今では高台移転の宅地造成や、沿岸部の高い擁壁の建設が一気に進み、生活基盤整備は整ってきています。が、震災から7年目を迎えようとしても、原発事故からの復興だけは「まだまだこれから」の感が否めません。
原発事故の復興事業として、一般の皆さんが一番に連想するのは「除染」だと思います。汚染された表土を剥ぎ取り、きれいな土と入れ替える。ヒタスラこの繰り返しです。除染特別地域の除染については、すでに完了しました。
しかし、実は除染作業以外にも、除染と足並みを揃えて進めている、大きな仕事があります。
それは「被災家屋等の解体工事」です。
地震によって建物が半壊もしくは全壊した場合、一般的には家主が解体工事を発注し、新たに家を建築することになりますが、福島県では国が家屋解体工事を実施しているのです。
普通、地震の影響だけで国が家屋解体工事を実施することはありませんが、「放射線物質に汚染された廃棄物」という扱いになったため、国が実施しているわけです。
福島県の汚染廃棄物対策地域では、平成24年6月11日に放射性物質汚染対処特措法に基づく対策地域内廃棄物処理計画を策定(平成25年12月26日改定)し、これに基づいて、災害廃棄物等の処理を実施しています。
さらに、津波による災害物の収集、片付けごみの収集など、復興事業を達成するため、日本を代表するゼネコンを筆頭に、全国から集まった精鋭たちが東北復興のために取り組んでいます。
災害廃棄物の処理
災害廃棄物の処理は下記のように進めています。
【1】仮置場の造成
帰還の妨げとなる廃棄物を速やかに撤去し、仮置場に搬入することを優先とし、仮置場の整備を行います。
仮置場の設置にあたっては、地域住民の方々の御理解を得ることが必要であり、地元自治体と緊密に連携しつつ、設置場所の確保に向けて調整を進めます。
地元の同意が得られた後、仮置場の造成工事等を行います。
【2】家屋解体及び仮置場への廃棄物収集運搬
仮置場の設置が完了した地域から、家屋解体事業を進め、当該仮置場への災害廃棄物等の収集及び運搬を行います。
収集及び運搬にあたっては、可能な限り分別を行った上で、仮置場へと搬入することとし、搬入時には廃棄物が飛散等しないよう十分に養生を行います。
【3】仮置場における廃棄物の選別
仮置場に搬入した災害廃棄物等については、焼却、破砕等の中間処理を円滑に行うため、仮置場において、重機等による粗選別を実施し、可燃物、金属くず、コンクリートくず等に分別します。分別した金属くず、コンクリートくず等については、再生資材化を積極的に実施し、可能な限り再生利用を行います。
【4】仮設焼却施設の建設及び運転
災害廃棄物等の量は膨大であるため、仮設焼却施設においては、安全性を確保し つつ、可能な限り減容化を図ります。
仮設焼却施設の建設は、災害廃棄物等の発生量や発生の時期、処理施設の立地場所の確保の状況等を踏まえ、各自治体と調整を行った上で進めます。既にいくつかの市町村で仮設焼却施設の設置場所を確保し、建設を進めているところです。仮設焼却施設の建設に当たっては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第8条第3項の規定に準じ、周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査を実施します。
仮設焼却施設において、飛散流出防止の措置、モニタリングの実施、周辺住民の健康の保護及び生活環境の保全への配慮に関し、必要な措置をとります。
参照:環境省「放射性物質汚染廃棄物処理情報サイト」
確かに「特殊勤務手当は6,600円」ですが、基本給は6,400円(福島県の最低賃金798円/時)で働いている作業員がほとんどです。もちろんボーナスなど出ません。手取りの年収で300万円位なのが現実です。