ユニック車の運転手の身に何が?
事故が起こった現場は、そこまで規模は大きくないものの、敷地面積が比較的広かったため、枠足場の組み立てを予定していました。
枠足場はビケと比べると部材自体が重いため、基本的にはユニック車で部材を下ろし、部材を鳶が運んで搬入を行います。当現場では、ユニック車の運転手が現場に到着するのは、朝礼が終わり、鳶が準備を始める頃でした。
しかし、事故当日は違いました。ユニック車が到着したのは昼礼後。到着したユニック車の運転手を見ると、明らかに様子がおかしいではありませんか。
運転席から降りてきた運転手に話を伺うと、どうやら熱中症らしく、ここまで運転してきたこと自体が奇跡だと思えるほど、茫然自失とした表情を浮かべています。
すぐに冷房のきいた部屋で運転手を休ませることにしましたが、さて困ったのは部材の搬入作業です。ブツは到着しましたが、まだユニック車を移動させて操作を行う必要がありました。
鳶が運転するユニック車
現場監督の私には、ろくに搬入の経験はありません。しかも、ユニック車の操作なんて、とてもできません。
どうすべきか職人たちと悩んでいたところ、鳶の一人がユニック車の操作員に名乗りを上げました。
正直、私は心配で、できることならば、この鳶さんには任せたくなかったのですが、そこはまだ若かった私。職人たちの言いなりになってしまい、結局、ユニック車の操作をお願いすることにしました。
颯爽とユニック車に乗り込んだ鳶は、すぐに指定箇所に車をつけましたが、搬入箇所は遊歩道のようになっており、いざアウトリガーを出そうとすると、その遊歩道の構造物に当たってしまいます。何度か試みたものの、どうしてもアウトリガーを出すことができません。
そこで仕方なく、アウトリガーを出さずに、搬入作業をおこなうことになりました。