デジタルに頼りすぎも危険
また最近の多くの企業で「オンライン会議」が取り入れられている。大手のゼネコン会社では、検査時などでも使用することがあり、時間の効率化として注目を集めている。
しかし、現場にいない人間を騙すことは簡単だと思わないだろうか。虚偽書類を作成する人間の心理として監視が甘ければ、バレる危険性が少ないと思うはずだ。東大阪市の偽造事件を例に想像してみても、埋め戻しの状況確認がオンラインだけの場合、表面に改良土を使用して、下のほとんどを掘削土にしておけば欺くのは簡単である。
虚偽書類の作成を未然に防ぐのであれば、工事責任者が検査などはしっかりと立ち合い、「実際に目で確認する」ことが重要である。
素晴らしい技術が進歩していく一方で、検査などもオンラインで済ましてしまうのはいかがなものだろうかと考えている。
虚偽書類は施工業者の悲鳴
虚偽書類が増えていくのは、ある意味「施工業者からの悲鳴」だと私は考える。不正に肩入れするつもりはないが、はっきり言って、私自身、今の工事単価の厳しさに頭を抱えている。こういった背景を払拭しなければ、不正に手を染めてしまう業者は、いなくならないであろう。そして犯罪行為の時ばかり、建設業が大きく報道され、さらにイメージが悪化する懸念もある。
工事の材料費は上がっているのに、従来よりも安く施工してくれという担当者が多いのだから、施工業者は赤字だらけである。 虚偽書類を許してはならない一方で、工事単価の見直しも大きな課題なのではないだろうか。
と同時に、技術者としての倫理を今一度、胸に刻みたい。
土木技術者倫理規定の倫理綱領
土木技術者は、
土木が有する社会および自然との深遠な関わりを認識し、
品位と名誉を重んじ、
技術の進歩ならびに知の深化および総合化に努め、
国民および国家の安寧と繁栄、
人類の福利とその持続的発展に、
知徳をもって貢献する。(公益社団法人 土木学会 土木技術者の倫理規定より)