株主総会で人材獲得の方策を聞く
ただ、ゼネコンとしての新日本建設の死角は、まさにこの人材獲得競争に同業他社に勝てるかという不安だ。そこで私は株主総会の質疑応答において、議長である髙見代表取締役社長に切り込んだ。
「新卒、中途問わず施工管理技士などの技術者獲得競争が熾烈であるが、これにどう対応されますか?」。
髙見代表取締役社長はこう答えた。
「ご指摘の通り、人手不足が深刻であり、即戦力となる施工管理技士の中途採用であらゆる手を尽くして募集をかけておりますが、なかなか難しい面もあります。一方、新卒にも力を入れており、今年の4月には43名入社でありますが、そのうちの22名が施工管理者です。基本的には技術者を中心に採用しています。管理本部や人事担当者が大学などに行って、新日本建設に入社してもらうよう引き続きお願いしています。そしてこれからの取り組みですが、社員の知り合いで技術者がいれば縁故での採用活動を行う予定です」
髙見代表取締役社長が語った知り合いを通した採用活動は、建設業界はともかく、ほかの業界ではかなり広く行われている。「リファラル採用」と呼ばる方法だ。
新日本建設のリファラル採用
リファラル採用は、社員に人材を紹介・推薦してもらう採用手法である。社員の個人的なつながりを活用することで、自社の魅力や社風をターゲットとなる人材に効果的に伝え、企業文化とマッチした人材を集めることができる。採用した人材の離職率が低いこともリファラル採用の利点として挙げられる。髙見代表取締役社長は、社員の個人的なつながりに注目すると述べたが、これを明言することは大きな建設会社の中では珍しい。
そして、新日本建設の強みは、施工管理技士の知識や技術だけではない。施工管理技士のコミュニケーション力も大きいようだ。
入社6年目の現場監督に聞くと、「入社したての頃は自分の方から多くの事を教わりに行き、同じくらい怒られもしました。ですが、現場を取り仕切るのは施工管理の役目ですので、普段の雑談も含めて、職人さんと上手くコミュニケーションを取り、お互い気持ちよく仕事ができるよう目指しています」と語る。
また、別の施工管理者も、「私より年上の人が多いので、盛り上がる話題や笑いのツボにも世代間ギャップがあるんです。でも一緒に過ごすうちに、だんだんとツボがわかってきて、私自身も楽しみながら職人さんたちとコミュニケーションを図っています」と話している。
施工管理技士にとって重要なコミュニケーション力。そのコミュニケーション力に長けた社員を活用した採用活動は、新たな採用ステージへと発展する可能性がある。
注目される新日本建設の株価動向
今後の新日本建設はマンション部門に加え、再開発事業の強化から目が離せない。
建設をスムーズに進めるための、既存建築物の耐震改修「ハイパー耐震工法」、住まいの省エネと快適性を両立する次世代の外断熱工法、子会社である株式会社建研がノウハウを保有するPC(プレキャストコンクリート工法)など技術開発にも余念がない。
客先のニーズに応え、1000億円企業を目指す新日本建設の株価の動向はこれからも注目だ。
読み応えがあるいい記事だなー。
ただ数字が文字で羅列されてると分かりにくいから、グラフにして欲しい(・∀・)