まだまだ礒部組から盗みたりない
宮内部長のレクチャー後、高木社長が会社でしたことは「礒部組を全部マネる」こと。高価なアルミタラップも同じものを買った。「いくら高くても関係ないわ。買え!」(高木社長)という勢いで、なにもかもマネた。
効果もいきなりだった。礒部組をマネた現場が徳島県内最高となる83点を獲得。しかも2現場連続。徳島県の優良工事の表彰を受ける。
高木社長は、宮内部長から伝授してもらった点数を取るためのノウハウを仲の良い同業者にシェアした。その結果、他社の評定点もアップ。「同じことをやっていたら、周りに追い抜かれる」リスクが出てきた。しかし、常に切磋琢磨するのが会社経営。「自分とこだけで、ノウハウを抱え込むのは男らしくない」と意に介さない。
「礒部組からは、まだまだ盗み足りない。たぶん、『これで終わり』ということはない。われわれは、ずっと勉強していかないといけない。礒部組のように、地域住民に信頼され求められる企業になることが高木建設の生き残る道だ」。常に進化(深化)を目指すところに、土木、経営の喜びを見出している。
エピローグ:点数を取りたい。どうしたらいいですか?
後日、宮内部長に聞いてみた。
「結局のところ、高木建設に肩入れしたいと思わせたものはなんだったんですかね?」。
すると、こんなような答えが返ってきた。
「高松の発表冒頭の『四国の猿の小猿ぞわれは・・・』、あれは、司馬遼太郎の『坂の上の雲』で、子規が臨終のときに高浜虚子が思い浮かべる短歌なんです。自分が田舎者であることをひそかに卑下していた子規が、その田舎者が日本の俳句と和歌を革新したぞという誇りをこめた歌だと司馬遼太郎は解説してます」。
「もちろんウケねらい半分で、あのときはそれを殊更にしゃべりはしなかったけど、私は 「高知の片田舎」ではあっても、ひとつのムーブメントを少なからず引っ張ってきた自負を『四国の猿の小猿ぞわれは』という子規の短歌にリンクさせてあのときしゃべった。それにストレートに反応したのは高木さんだけなんです。そりゃ肩入れしたくなるでしょう。それがひとつ」。
「にもかかわらず、うちへ来てもらって真っ先に言うのが『点数を取りたい。どうしたらいいですか?』。ええ?そっちかい?とズッコケそうになったけど、すぐに思い直してレクチャーすることにした。そんなアプローチもあり。アタマから否定はできない。現にそういう私にしてからが、キッカケは生き残るために点数をとろうとしたことだった。ある検査員には「点数の亡者」として毛嫌いされていたし、今でも、会社の番頭としてはリアルに高得点を追求しています」。
「けれど、そのために牙を研ごうとしたプロセスで本質に気づいた。入り口はどこからだったとしてもいいんです。最初にうちを訪問してくれたあのとき、最後までリアルで生臭い話だけをした記憶しかないけど、その中から高木さんは本質を嗅ぎとってくれた。プレゼンしかり、創意工夫しかり。そんな会社に肩入れしなかったらウソでしょう(笑)」。
「それにね」宮内部長が付け加えた。
「私、こうべっちゅうやつがキライなんです(※こうべっちゅう=土佐弁で「気取っている、上品ぶっている」の意)。あの人はちがうでしょ?」
※高木社長が衝撃を受けたという事例発表について宮内部長本人が書いたブログはこちら⇒『高知の片田舎で実践するチーム礒部の三方良しの公共事業(その10年)』
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小さい建設会社のものです。私も教えて欲しいです。
叩けよ、さらば開かれん (^_^)
ワイにも教えて
北海道開発局では検査時のプレゼンはダメだということになりました;;
地元企業から中堅ゼネコンを経てスーパーゼネコンで勤めているものです。地元企業は受注するために必死ですね。良い工事評定を得るため技術者のCPDS、創意工夫、社会貢献、記事にあるような本来不必要なプレゼン。自分も地元企業の時は一生懸命やっていましたが、今になって振り返ってみると、稚拙だったなとおもいます。
これも技術者の業務の一環なのかもしれませんが、技術力と言えるものか疑わしいものです。
技術士やコンクリート診断士など高度な資格を取得してより良いものづくりをする方が発注者のためではと思えてなりません。
自分の感覚では、大手になればなるほど工事評定は気にしていないようです。
中堅ゼネコンの頃までは創意工夫やCPDSも会社ぐるみで必死にやっていましたが、今の会社では全く話題にもなりません。
そもそも受注する工事の規模が違うので重きを置くポイントが違うのでしょうが、、、
うちの会社では及第点でいいので設計変更をしっかり見てくれと言う声が聞こえます。
創意工夫などの加点にも力をいれません。
そんなことする暇があるなら休めと言われます。
プレゼンに力を入れるのもいいですが、技術士取得など自己研鑽に励んでは如何でしょうか?
2の方の情報の通り発注者はうわべだけの書類には興味をもっていません。
地元企業に良い点数付けてモチベーションあげないと地方のインフラ整備は誰もしなくなりますよね。どこの地整でも局長表彰取るのは大体地元企業です。それに地域の細々とした工事も地元企業がやってくれるから行政も助かってるわけで、お互い持ちつ持たれつでいい関係が築けてるから、点数を上げてるんだと思います。何千億と言う国家プロジェクトの実績や工学博士や技術士がザラにいるゼネコンが地元の会社に勝てないのですから、地元企業の実力は計り知れないです。